Eur-Asia

西洋と東洋の融合をテーマとした美術展「ユーラシア(Eur-Asia)」の開催を夢見る、キュレーター渡辺真也によるブログ。

松澤宥さんのお孫さんに会う

2008-01-29 08:07:43 | Weblog
先週金曜日、羽鳥美保さんのライブの準備をしていた際、一本の電話があった。

「私、松澤宥の孫の中村と言います。今、祖父の展示をNYにて開催している、ということでお電話差し上げました。」

正直、とても驚いた。松澤宥さんの作品は、美術史家の富井玲子博士が故人より預かっている作品「授」というお札の作品を展示したのだが、松澤さんのご遺族の連絡先が分からず、なかなか連絡が出来なかったのだ。12月になってカタログが完成する、そんな矢先にようやく新聞社の方を通じて長野県にいる遺族の連絡先が分かり、遅ればせながら、カタログと一緒に、アトミック・サンシャイン展に松澤さんの作品を出品させて頂く、連絡をする順序が違ってしまし、申し訳ない、という手紙を送ったのだった。その手紙を読んだ遺族の方が、NYにいらっしゃる宥さんのお孫さんに連絡を差し上げ、その方から電話がかかってきたのであった。

「今晩、時間ありますか?もしよろしかったら、展示会場でライブをやるので、ぜひいらして下さい」
と伝えた所、ライブにいらして下さり、ライブも展示も大変喜んでくれた様子だった。しかし、なにせ私が忙しく、話をするだけの十分な時間を取れなかったので、また日を変えて会うことにした。

松澤さんのお孫さんに当たる中村真似子さんは、NYの大学に通っていると言う。そして、祖父である松澤宥さんの話を、本当に楽しそうに話してくれた。コンセプチャル・アーティストらしいエピソードが、盛りだくさんであった。

「お菓子を食べる時、パパ(松澤宥さんのこと)は、なんにでも、「最高」を付けて話すのが面白かった。「最高カルピス飲みたい人!」「最高ウエハース食べたい人!」「最高緑茶飲みたい人!」みたいな感じで。でも、祖父の入れてくれる緑茶は、本当に最高に美味しかった。たぶん入れ方が上手かったのだと思う」

「花火をやる時、神社などに行くと、子供たちを一列に並べて、皆に花火を持たせて一緒に腕を回す。そうすると、遠くから見ると絵みたいで、綺麗だった」

「本当にポシティブな人だった。人の悪口を言う所を見たことがない。本当に前向きな人だった」

そんな話を聞いていたら、ますます松澤氏に会いたくなってきた。ぜひ一度お会いしてみたい、と思ったまま、実現しなかったのが心残りだ。あの時代に、どうやってコンセプチャル・アートを作ることができたのか、また、彼の作品に出てくる仏教とサンスクリット語の話や、彼が研究していたクザーヌスの話も聞いてみたかった。

「パパもこの展示の様子、喜んでいると思います。これからも頑張って下さい」

と言われたのが、嬉しかった。

松澤宥さん、これからも頑張って行きます。エイエイオー!