穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

「破門」終わりはよろしいようで

2017-01-29 19:42:03 | 直木賞と本屋大賞

あと百ページあまり残した所でどうしようかと思った。この種の小説は最後まで我慢して読むと失望がいや増すのが普通なのでね。ところが捨てる機会も無いまま放置してあったのを本日手に取って最後まで読んだ。予想に反して終わりの部分はそれまでの部分に比較すれば「非常によい」。 

この小説の出だしはどうだったのか、とか、途中の細かい筋はすっかり忘れているのだが、そんなこととは関係なく気持ちよく読めた。これは非常に珍しいことだ。相当な腕だと認めよう、終わりの部分を読んだ印象は。

ところで前にタイトルで「ヤクザは小説家である。声優である」なんて書いたがすこし補足しないと何のことかわからないだろう。その心はヤクザも小説家も自分で考えた勝手な筋を相手に強引に売りつける、である。小説家は不特定多数から一冊100円だか150円だかの印税で広く浅く売りつける。ヤクザは「因縁」という名のフィクションを特定の目を付けた個人から強請り取る。ヤクザは小説家と違い対面販売だから相手を脅す声色を練習しておかなければならない、という訳である。

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« これがハードボイルドだって... | トップ | 破門が映画になるそうだ »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

直木賞と本屋大賞」カテゴリの最新記事