穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

犯人はお前だ

2013-09-22 08:00:27 | インポート

  さて、「カラマーゾフの兄弟」には第六感と申しますか、カン働きが鋭い人間が二人出てきます。癲癇の持病のあるスメルジャコフと宗教的傾向のつよい末弟のアリョーシャです。この二人がイワンをどう見ているか。小説の記述にしたがって(ということは作者の意図を探りながら)追っていきましょう。
  第四巻第11編「イワン」は事件後町に戻ってきたイワンの動向を書いています。以下亀山郁夫訳で見ていきます。この編は250ページもあります。以下の引用で示されたページは亀山訳のページ番号です。
 アリョーシャが監獄に収容されているミーチャを訪ねます。いざ帰るときになってミーチャは彼に真剣に尋ねます。245ページ<o:p></o:p>

「アリョーシャ、おれにほんとうのことを言ってくれ。神様の前に出たつもりで。おまえは、おれが犯人だと信じているのか。云々」<o:p></o:p>

・・・・・・・(地の文は省略、しかし重要)<o:p></o:p>

「兄さんが犯人だなんて、一瞬たりとも考えたことはありません」

 長くなるから会話の前後にドストが書いた会話を修飾する地の文は省略したが重要である。以下の引用でもすべてこれらの修飾文に細心の注意を払って読むべきである。

 一方アリョーシャはイワンをどう見ていたか。ミーチャとの会見の後、彼はカテリーナの家を訪れてそこでイワンと偶然遭遇する。ここでカテリーナがイワンは最近幻覚症に悩んでいる、と彼に告げたことは重要な伏線である。 カテリーナの家を出た兄弟は道すがら会話をしている。そのとき、イワンが聞く。

「じゃあ、お前は、いったいだれが殺したというんだね?」<o:p></o:p>

 ・・・(地の文)

「兄さんは、ご自分でだれか知ってるでしょう」低いしみじみとした声でアリョーシャは言った。

「だれなんだ?例のくだらん作り話のことを言っているのか。気が変になったあの癲癇やみのばかの仕事だとかいう? スメルジャコフ犯人説だが?」

アリョシャは全身にふるえが来ているのを感じた。

「兄さんは、ご自分でだれか、知ってるでしょう」力なく、言葉が口をついて出た。息が切れていた。

「いったい、だれなんだ。だれなんだ?」ほとんど凶暴な調子で、イワンは叫んでいた。それまでの沈着さが、一瞬にして消し飛んでいた。

「ぼくが知っているのは、ひとつ」と、アリョーシャは、あいかわらずほとんどささやくような声で言った。「父を殺したのは、あなたじゃないってことだけです」

引用が長くなるのでここでやめるが、続く数ページはきわめて重要である。ドストの芸術的、小説家的が発揮されている。アリョーシャは神のような直感でいう『あなたじゃない(イワンの第一人格ではない)。犯人はおまえだ(イワンの第二人格あるいは分身)。』と正直に兄に告げているのである。
 

残された、解明すべき問題は
 

甲:アリバイを崩すこと、これは後述するが可能であると思っている。
 

乙:「精神病理学的」にイワンのような存在が可能であるか。夢遊病者が夢遊中の行動をまったく記憶していないことから、容易に根拠付けられると考える。また、近頃しきりに言われる人格障害にも類似の事例はあるようだ。

次号をお楽しみに<o:p></o:p>

 


山本一力のあかね空

2011-08-13 08:18:40 | インポート

 大分前に買っておいたのだが、ある日二ページ読み、一月後に五ページ読み、という調子だったのだが、二十ページあたりから一気に九十ページあたりまで読んだ。その後は惰性で進み今のポジションは百四十九ページ。

 文春文庫であるが、巻末の縄田一男氏の解説によると平成十四年直木賞受賞作。解説者は馬鹿に入れ込んでいる。九十ページあたりまではなるほど、と感じた。どうせ職業的書評家は三百六十五日どうにもならない駄作の提灯解説をしなければ生計が成り立たないのだろうから、予想外に良質の作品に出合うと、このように感激してしまうのだろう。

 しかし百ページあたりからはよくない。登場人物の過去にバックフラッシュしての挿入がやたらと増えるのだが、これがごつごつしていて感心しない。縄田先生は感心しているがね。

 ま、百四十九ページまで読んだから最後の399ページまで読むがね。

 過去挿入が全体の流れと粘着していない。粘り気の弱いポストイットをところどころ張り付けたようだ。

 全般的に唐突な画面変換も気になる。また、会話の主語がハッキリしない所が多い。おそらく作者はわざとやっているのだろうが、成功していない。

 九十ページまで読んだ所では、こう書評するつもりだった、エンターテインメントでもせいぜい三百ページまでに収めるべきと考えているが、この筆力なら四百ページまで破たんが無いかもしれない、とね。撤回だ。しかし百五十ページから三百九十九ページまで読み終わった段階で訂正するかもしれない。

 

<o:p></o:p>

 

 


豈郷里の小児に膝を屈せんや

2011-05-09 22:01:18 | インポート

ある日のブログ編集筆、

おい、どうしてヒツと言う字は正しく変換出来んのだ。

>なになに、これはシツと入力しないとだめですよ、室と変換したいんでしょう。

どうしてだ、ヒツだろうが。

>はやく江戸訛りを直さないといけませんよ。ところで相変わらず書いてますね。こんどはどこへ応募するんですか。なに、B学界か。すきですねえ。

こればかりはねえ。くそみたいに毎日ひりだすからな。その都度処理しないと溜まっちゃう。

>汚いな。いい加減新人賞へ応募するのはやめたほうがいいですよ。80歳でしょう。

だけど小説では新人だぜ。年齢制限があるのか。

>ないけどさ、想定外というか、暗黙の了解があるんじゃないの。第一審査員なんてあんたより4,50歳は若いんだよ。

そうか、豈、郷里の小児に膝を屈せんや、か

>そうですよ、下読み何かだと6,70歳違うじゃないの。孫かひ孫だよ

ハハハ、豈、郷里の幼児に膝を屈せんや、だな。しかし、しょうがないだろう。彼らが流通を押さえているんだからな。


センチメンタル・ジャーニー

2011-03-20 08:39:42 | インポート

センチメンタル・ジャーニー(ショートショート)

杉浦は老人の本棚を見ながら哲学書が多いな、と思った。大学では何を専攻していたのだろう。本棚にある本はどれもきれいな状態で長年の間に日に焼けたあともなく装丁が汚れたりしていない。皆最近買った本のように見える。杉浦の疑問に答えるように老人は「最近はセンチメンタル・ジャーニーでね。昔読んだ本を買いなおしたりしている」

「センチメンタル・ジャーニーですか?」と予想外の言葉に杉浦は戸惑った。

「若い時に旅行したところに年を取ってから懐かしくて再訪することをセンチメンタル・ジャーニーというじゃないか」老人は笑った。「新婚旅行の土地を老夫婦が尋ねたりね」

「すると、若い時には哲学に凝ったとかいうことですか」

「そう、これでも哲学徒だったからね。大学を出るとすぐに塵網に落ちたから、そういう本とはすっかり縁が切れてね。全部売っぱらってしまったので、最近出た本を買ったんですよ」

「ジンモウというと」

「ははは、社会に出て会社員になったということですよ、ちょっと気障だったかな。陶淵明の詩にあるでしょう。『誤って塵網に落ちて一去十三年』だったかな」

「なるほど」と杉浦は老人を見た。「デカルトの方法序説か。われおもう、ゆえにわれあり、ですか。明晰判明な知識というわけですね。そういえば、僕もこれを読んだ時に気になったんだが、明晰判明な知識と言うのはなんですかね。妄想もわれおもう、だし。誤ったことを考えるのだって、我思うでしょう」

老人はにこにこして肯いている。

杉浦は続けた。「明晰というのは意識の状態なんだろうけど、判明というのは何のことですか」

「難しいことを言うね」と老人は右の耳の上を指で揉んだ。老人の癖である。「夢だって明晰判明なものがあるからな」

そのとおりだ、と杉浦は考えた。老人はまだ耳の上を揉んでいる。

「最近は夢の中でもセンチメンタル・ジャーニーをやっていてね。子供のころの夢をよく見るんだがこれがびっくりするほど明晰判明なときがある」

「そういえば、夢にもいろいろありますからね。明晰な表象と言うか、生々しくて、詳細で、鮮やかなのも中にはありますね」

「年を取ったせいかな。昔のことをひょいと思い出すんだよ」

「へえ、逆じゃないですか」

「そうじゃないんだな、記憶は『後入れ先だし』が原則なんだが年を取ると脳細胞が少なくなるからかな。最近のことよりかは昔のことが思い出される。それもずっと前のことがね」

老人が頭を撫でるのを見ながら「そんなものですかね」と杉浦はつぶやいた。

「それだけじゃないんだ。感性記憶が思いもよらない悟性判断に統一されて、目が覚めてからびっくりすることがあるんだ」

「まるでカントですね」


Dark Lady in Black

2011-03-19 09:30:16 | インポート

ダーク レディ イン ブラック(ショートショート)

夕方オートロックの入り口で彼の後から踵を接するように入って来た女性がいた。黒いワンピースなのだろうが、色がかすれたように濃いネズミ色に変色している。顔色が悪いのか黒っぽい。夕方の薄れゆく光の中で顔と服がひとつながりになったような印象がした。

おなじマンションの住人だろうと彼が会釈をしたが、女は挨拶もしない。メールボックスを開けていると女も入って来て郵便物のチェックをする。年齢は四十歳代と見た。

 見知らぬ顔だ。印象に残らぬ無愛想で地味な女だ。時刻からして主婦ならスーパーの白い買物袋を一つ、二つ下げているものだが、その女性は何も持っていない。小さなハンドバッグくらいは下げていたかもしれないが、彼は気がつかなかった。会社勤めのOLが早めに帰宅したのか。知らぬ顔であった。このマンションも入居者が長いあいだには大分入れ替わっていて、知らぬ顔も増えてきた。服装からすると葬式の帰りかもしれない。

珍事はその夜起こった。ベッドに入ると、その女の夢を見た。それが妙でなんだかいやらしい、いろっぽい変な場面が出てくる。女は相変わらず無表情なのだが、状況は極めて迫真的で、彼の意志でどうにも抜けられない状況に陥っている。まるで壊れた映写機のように執拗に同じ場面をリプレーする。かれがベッドの中で身をもがいてどうにか夢魔をふりはらって起き上がった。時計を見ると午前四時だった。

彼は午前三時過ぎには飲まないことにしているのだが、寝ると又彼女が出て来そうなので表象機能をマヒさせようとロンググラスに人差し指の第二関節までワイルドターキーを注いだ。胃のことを考えてコーラで割るとクイクイと喉に流し込んだ。すこし考えて、バーボンを今度は直接口に放り込んだ。そのまま、舌の裏でしばらく転がすとのど口に送りこんだ。嚥下しないように注意して食道の上部に滞留させる。

こうすると胃から吸収するよりか、早くアルコールを吸収する。胃にも負担をかけない。舌下錠と同じ原理だ。アスピリンでも、あの写真の現像液のような酢酸の臭気を我慢して口の中で噛み砕き舌下から吸収させると、二錠もやればスピードと同じようない効果を発揮する。

温かみがじんわりと体内に放射していくのを確認すると彼はベッドに戻った。夢魔は去り今度眼を覚ました時にはカーテンを通して差し込む朝日で室内は明るくなっていた。正八時であった。


ショートショート「インターネット投票」

2011-03-01 10:12:56 | インポート

ショートショート 管理組合のインターネット投票

買い物をすましてマンションに帰って来ると管理人が部屋から出て来て「Xさんは委任状がまだですね」といった。一週間後に管理組合の総会があるのだ。いつも定足数がたりなくて、管理組合いのちの連中は管理人まで動員して委任状を必死に集める。

分譲マンションには管理組合というのがある。これが小学校のホームルームみたいに、事細かに規制をする。随分と珍妙な規則を作る。彼は無視するつもりだった。しかし、辟易したのは管理組合の会合に出席を執拗に強制されることだった。それが義務だとかなんだとか、押しつけがましく強要する。義務じゃなくて、権利だろう。権利は行使しない場合もある。

本来管理会社がやるべき仕事も「自治」の美名のもとに管理組合に押し付ける。管理組合のほうも、押しつけられたとは思わずに大幅な権限が移譲されたと喜んじゃって使命感に高揚する。耐えがたい情景であった。

「それは管理組合マターですから」とか「まず管理組合で決めて下さい」。なにか頼もうと管理会社に電話すると担当の若手はこう言って面倒なことから逃げる。また、管理組合にはこういう活動を命として、張りきるのがいるのだ。

最近理事長や理事の入れ替えがあってからまた、うるさく言ってくることが多くなった。この「チーム」がひときわ熱心に総会に委任状を出せとしつこくせまる。管理人まで動員してうるさく言う。あまりのうるささに彼はインターネットを利用しろと逆提案したのである。

最近では株主総会でもインターネットで議案の賛否を表明できる。マンションの管理組合もそうしたら、毎回出席者が足りないなどと言って『白紙委任状を出せ』などと無茶なことを言ってくる必要もなくなる。だいたい、毎回、出席者が定数に達しないような管理組合など解散したらいいのだが、いきなりそんなことをいうとびっくりして腰を抜かしそうだ。もっともマンション法に解散規定があったかな。なければマンション法は欠陥法である。

管理組合を解散しろと言ったら、彼らは憲法第九条を改正しろと言われたように驚愕するにちがいない。その結果どういう反応を示し、どういうとばっちりがこちらに跳ね返って来るか予測しがたい。そこでとりあえずインターネットを使うことにしたらどうだ、と言ったのである。

いまどき、インターネットが普及したのに、活用しないような時代遅れでは管理組合の運営が出来るかと先制奇襲攻撃をかけた。理事長やその取り巻きは虚をつかれたのか、静まりかえってしまった。

ところが一人だけ住民の杉浦氏が彼の提案に興味を示してきたのである。杉浦は中年の会社員で会うと人懐っこい笑顔を見せる。

「総会の議事運営をインターネットでする、というご提案はいいですね」と自転車事故に遭った後で戻って来た彼に杉浦は話しかけた。一週間後に予定されている管理組合の総会に提案しましょうというのである。

「結構じゃないですか」というと、提案を作るにあたって意見を聞きたいと言う。

「どうせ、僕は総会には出ないから、杉浦さんのお考えでなさったらいいじゃないですか」

「そうですか、僕も発想は非常にいいと思うのですが、若者のようにインターネットを使ったことがないので、うまくまとまらないんですよ」

「でも、一応骨子はできているのですか」

「ええ、ごく粗っぽいものですが」

「じゃそれを拝見して、僕にもなにかアドバイス出来ることがあれば」

という会話があった後で杉浦は腹案なるものを持って来た。彼の会社の総務課あたりの株主総会担当者に相談しながら作ったものらしい。結構良く出来ている。杉浦の会社は二、三年前から株主総会の議題のインターネット投票をはじめていたのだ。それでXの提案に興味をもったらしい。

「ところで」とXは聞いた。「おかしな法律があるでしょう。通称マンション法とかいうのが。あれではインターネット投票を認めているのかな」

杉浦は「さあ、どうですか」と気がつかなかったようである。

「確か集会によるとかあったかな、書面による決議という規定もあったようだ。インターネット投票は書面による決議になるのかな」

「ははあ」

「一応その辺を調べておくといいですね。管理組合いのちの連中もマンション法なんか読んだこともないんだろうが、念のためにね」

「そうしましょう、それでもし書面による場合は満場一致が条件とか書いてあったらどうしましょう」

「まあ、仮定の話をしてもしょうがないが。総会の決議でマンション法の規定をオーバーライドできるかどうか、だな」

「その辺がごちゃごちゃする可能性があると弁護士に相談したほうがいいかな」

「ま、大げさに考えることもないが。とにかく提案をぶちかまして見るんですな。相手の出方次第だ。もっとも杉浦さんの会社は大企業だから法務部門が立派な弁護士を抱えているんでしょう。出来るなら聞いておいたほうがいいですね」


ショートショート「雨上がり」

2011-02-22 08:57:33 | インポート

狭い歩道の上である。石附のついた先端部分が折れ飛んだ傘を振り上げながら彼は自転車に乗った若い女に言った。

「こんな場末で女と喧嘩しても損をするのはこちらだからな」

女は傘が届かない距離に自転車を止めて「そんな」と少しひるんだ。

一方通行の道路の横に歩道まがいのところがある。只でさえ狭い道幅なのに、場末の常で家の前に私物の植木鉢が置いてある。車道側には街路樹が植えてある。歩行できる幅は歩行者一人分くらいしかない。そこを後ろから自転車に乗った女が追い越そうとしたのである。自動車の運転でもそうだが、女は幅寄せというか前を行く歩行者との間合いの取り方が出来ない。いつも自転車で追い越される時にひやっとさせられるのは女の自転車に決まっている。

今日は朝から雨が降っていた。彼が外出した時には小止みになっていたので、傘は開かずに持っていたのである。そこへ後ろから彼にぶつかるように自転車がきた。こういう時に男なら大体ブレーキを握るものだが、自分のことしか考えない女の場合呼び鈴を鳴らして歩行者を追い散らそうとする。今度は呼び鈴を鳴らす暇もなかったのか、後ろから「アレエ」という悲鳴を彼の背中に浴びせた。

びっくりした彼が体をひねって後ろを見たところ、持っていた傘も体と一緒に回転して横に動いた。その先端が自転車の車輪の間に挟まった。それでも女がブレーキをかけないものだから傘の先端が15センチほどすっぽりと折れてしまった。折れた先は道路の上に転がった。

女は謝るどころか、「あんたが傘を横に突き出したでしょう」と先手を打って非難した。彼は呆れてしまって「後ろには目が付いていないんだよ。後ろから来る人が注意していなければ駄目じゃないか。それに歩道で自転車に乗ったら法律違反だ。警察に言えば罰金だよ」と言うと女は逆上して「ああ、いいよ。警察に行こうよ」と取り乱した。

彼は傘の壊れ具合を確認しようと傘を高く目の前に持ち上げたら、それが傘で殴りかかって来ると思ったのか、女は当たりかまわず大声でわめきだした。道の周りにある町工場もそろそろ扉を開けるころで、荷物を搬入するトラックも集まって来ている。あたりの人たちはこの騒動を見ている。厄介なことになったな、と彼は途方にくれた。

こっちが被害者なのに迷惑な話だ。よく女の勘違いで痴漢と間違えられたという話を聞くが、似たような話になってきた。傘を振り上げた形になっている男のほうが悪者に見えるにちがいない。そこで冒頭言ったような言葉になったのである。

女はいきなり携帯電話を取りだした。この取り込み中に呼び出し音もならないのにどこかの仲間に連絡してここに呼び集めるつもりなのだろうか。30歳くらいの女は化粧っけはないがまあまあの器量で、啖呵の切り方などを聞いていると居酒屋の洗い場あたりに勤めている雰囲気がある。そんなところの男たちを助太刀に呼ばれたら厄介だ。とんだ大事になりそうだ。ひどい目にあったものだと、男は女を咎めることを諦めて「こんな所で喧嘩をしたらこっちが馬鹿を見るだけだからな」と捨て台詞を残してその場を立ち去った。


司馬モデル、目次3

2005-12-10 13:28:48 | インポート

第三部       シンセン組登場

58 審賎組見張所

59 ロシアパブ

60 ペレストロイカ

61 タロット・リーディング

62 タロット・テスト

  テレパシー交信要員募集

63 アグリー・ウーマン再訪

  興信所山岸女史訪問

64 背景音

  留守番電話録音の分析

65 モモコと戯れる朝

  サイバー・スペースをあやつる仁戸田教授

66 ノッポとデブ

  二人の女看守

67 触る

  ノッポ、潜入工作員睦子に色情を抱く

68 照合

  拉致被害者のイメージ照合

69 のぞく

  ノッポの頭をのぞく睦子

70 対策

  睦子、ノッポ対策を工夫する

71 偽善の祭り

  偽善の祭り、甲子園大会のテレビ中継を見ながら

72 燃えよ剣

  ラーメン屋常連の新撰組談義

73 新撰組血風録

  同上

74 ハシケ

  シンセン組見張所を増設する

75 傭兵

  シンセン組の動員編成計画

76 血消しのまじない

77 汽笛一声新橋を

  長倉新八 アムステルダムより動員さる


司馬モデル、目次2

2005-12-10 09:02:47 | インポート

第二部       春子失踪

24 大当たり 

パチンコ屋で大当たり、店の干渉

25 大家族

26 エディプス?

27 パチンコ屋2

 狐目の店員、大当たりを妨害する

28 苦情

29 電話機はハイテクな曲者

 春子 嫌がらせ電話になやむ

30 鈿車家の人々

 春子の一族

31 科学者として

 春子の父

32 読書会

 左翼崩れの義兄

33長距離電話

 春子の兄、出張先の九州から連絡つかず

34 環七

 柴十五、クロちゃんの依頼で春子のマンションを訪ねる

35 おちょぼ口

 春子のマンション一階の喫茶店

36 不動産屋

 聞き込み、マンションの近く

37 管理人

 管理人と無人の春子の部屋に入る

38 クロちゃん、デモグラフィーに凝る

 ラーメン屋オーナー、クロちゃん新出店マーケティング

39 兄あらわる

 憔悴した春子の兄、ラーメン屋にあらわる

40 An Ugly Woman 1

41 An Ugly Woman 2

興信所の主任調査員山岸美恵子に失踪人の調査を依頼

42 報告書1

43 報告書2

44 報告書3

 興信所の報告書来る

45 感情移入はポチまでにしとけ

 仁戸田教授、学僕ワグネル・ステキチ 脱亜入欧のこころを語る

46 院外団

仁戸田教授 大正時代の宮中某重大事件を語る

47 ターミナル

 柴十五、独自に春子の行動調査

48 システム金融の男

 同上 パチンコ屋にたむろする小金貸しに話を聞く

49 シリアン ハイビスカス

 柴 パチンコ屋『むくげ』5号店でのトラブルを聞き込む

50 大宮の女

 大宮のパチンコ店から拉致された女

51 踊るドラム

 同上

52 四つの目

 長命研究所 日本支部

53 所長

 同上

54 記憶の尿道

 名古屋の市が岡勝夫、死体を前に途方にくれる

55 漂流

56 迷子

57 夜を待つ

  同上 54の続き

 


司馬モデル、目次1

2005-12-07 09:07:07 | インポート

第一部       柴十五 偸安日記 

   知識人の敵、知的痴漢 柴十五の遊民録

1 プロローグ 余寒

2 送電線の下で 1

3 送電線の下で 2

4 送電線の下で 3

5 送電線の下で 4

6 偏り

 都の東北ラーメン屋大当たりでの遊民談義

7 峠の思い出

8 向精神剤 

 司馬遼太郎の効用

9  泳ぐ女 1

10 泳ぐ女 2

11 蘇我牧場 1

12 蘇我牧場 2

13 蘇我牧場 3

 聖徳太子 母系検討

14 痴漢の楽しみ

 

 おせっかいな知的便利屋 柴十五のあくび

15 Oral versus Nonverbal Communications

和漢史書に見る聖徳太子言動のゆれ 柴十五 新説を披露(コピーライトあり!?)

16 血で血を洗う

 聖徳太子の二人の叔父殺害事件、歴史上暗殺された唯一人の天皇、祟峻天皇

17 空白の25年間 1

18 空白の25年間 2

19 空白の25年間 3

 西暦620年聖徳太子の急死後、645年大化の改新で蘇我入鹿が私設図書館に火を放つまでの25年間、蘇我の館で聖徳太子が編纂した歴史書はどのように改竄されたか

20 産地直送 1

21 産地直送 2

22 産地直送 3

23 産地直送 4

 

 文化移入政策をめぐる聖徳太子と蘇我本家の確執、半島経由と隋直送

 半島利権をめぐる蘇我一族の抵抗

第二部       春子失踪

第三部       シンセン組誕生

第四部       ???

第二部、第三部の目次については後便にてアップ


司馬モデル登場人物のご紹介

2005-11-12 07:50:03 | インポート

柴十五 なりわい:知的便利屋 趣味:知的痴漢

黒岩遼太郎 ラーメンチェーン「大当たり」オーナー 

年2、3回来る7桁の競馬配当金でチェーン店舗展開中。

ラーメン屋のおやじ、おかみさん 名はまだない。

鈿車春子 ラーメン屋ウエイトレス 拉致被害者

鈿車秋子 春子の姪

雲居の助蔵 タクシー運転手

仁戸田八五郎 大学教授 日本兵食史専攻 旧華族

ワグネル・ステキチ 仁戸田教授の学僕

スズキ C国長命研究所 日本支部所長

ノッポ 長命研究所実験棟の女看守

デブ  同上

審賎組メンバー 

組長 近藤勇 警察庁出向

副長 土方歳三 秋葉原のパーツ屋にたむろするバイク野郎

少年A 精神感応交信員 サイコ二級 もとドーム教団員

安達睦子 潜入公安工作員 サイコ二級

山岸美恵子 大日本調査協会 関東支部主任調査員の老婆。

調査員A(男) もと神奈川県警察公安刑事、カルト教団探索

のためレポに仕立てた女性教徒とのトラブルで停職中

ドゴールキー 白系ロシア人の女衒

双子の姉妹:

ソフィア チネマコ ロシアパブ・ホステス 精神感応交信担当 

マリア チネマコ  ロシアパブ・ホステス 精神感応、中継増幅担当

市が岡勝夫 N大学名誉教授 元武装共産革命メンバー 二重スパイ