穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

悪貨は良貨を駆逐する

2024-06-17 14:28:49 | 小説みたいなもの

新シリーズのご案内

書評ではなくて新連載のご案内です。

もう少し具体的にいうと家政婦からの介護保険のサービスレベルの避けがたい劣化とでもいいますか。サービスの粗悪化、品質低下といいますか。

つれて医療業界全般を覆う劣化といいますか。これは一部精神病院や老人保健分野でもしばしば新聞だねになりますが。

保険医療業界全体に共通する病根があるようです。

かっての折り目正しい保健婦たちはどこにいったのでしょうか。

新しい保険行政は拡大が質の低下を伴っては

ならないのは当然でしょう。また、新規参入組が優良サービスを駆逐しては本末転倒でしょう。

福祉に拡大は必要ですが、従業員の劣化や、サービスの低下がそれに伴うものであってはいいはずがありませんね。

チャンドラーの作品にも半世紀前にラテン系の流入によりサービスの低下の嘆き節が散見いたしましたが。

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ご無沙汰しています

2024-06-05 14:35:33 | 書評

PCの不調があって、また雑用が重なってブログのほうがお留守になっていました。お許しください。

その間さして本も読まなくて、また書評の意欲のわかない本が多くて失礼しています。

現在新潮文庫で村上春樹訳の「心は孤独な狩人」の鳥羽口を読んでいます。村上が絶賛していますが、どうも退屈で興がのらない。高名な作者じゃない、訳者に敬意を表して今少し辛抱して読んで見ます。

 

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フランシス・アイルズ「殺意」

2024-05-07 10:32:35 | 読まずに書評しよう

前のアップから大分間が空いたので隙間埋めにひとつ。フランシス・アイルズの殺意(創元推理文庫)。感心したから投稿するというのではない。1931年発表の名のある古典だから、未読であったが購入した。

創元社の文庫は活字が小さいので読まないことにしているが、読む本がないのでピックアップした。いずれにせよ、なんというのかな、倒叙法というのかな、いずれにしろ名高い本なので、手を出した。

女房に押さえつけられた田舎医者が、恋愛相手、不倫、と結婚するために権高の女房を殺すという話だが、なかなか事件が起きない。医者だけに毒殺する方法の思いつくまでに、二百ページも進む。

ここまではなんとか読ます。しかしその後が良くない。叙述が整わない。急速に質が落ちる。

それから勢いがついたのか、第二の毒殺を計画する。そしてこの事件からほころびが出て裁判になり死刑になるという話だ。後半はまったく興趣がなくなる。

私の基準からいうとB級ないしC級の小説である。この作者は医者なのか、薬剤師なのか。そのへんは判断できないが、専門家めいた退屈な叙述が長すぎる。

 

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結婚相談所

2024-04-27 07:14:07 | 書評

相変わらず辻村深月『傲慢と善良』126ページ。

婚活中の相手の女性がストーカーに付きまとわれて疾走もとい、失踪するという記述が延々と。

仄かに推測するに「ストーカーされて失踪」というのは胡散臭いがこの推測が当たるかどうかは辛抱して読まないとわからない。

驚くのは、読んでいて、現代の婚活事情である。昔からの結婚相談所からインターネットの婚活サイトまでの記述。三十代で婚活システムを利用したのがほとんどみんな百人くらいの相手と婚活しているというから驚くじゃないか。

主人公のプレイボーイらしい会社社長すら婚活相手は50人というから驚く。飯を食う暇もないじゃないか・

大体でこういう風俗を扱った小説では「数字の根拠である調査を巻末で表示するが、辻村さんは出典には触れない。本当かどうか不明だ。嘘八百にしても唖然とする数字だ。

この実態というか、婚活事情というのは本当なのかね。なんだか悲しいし、グルウミーでSF的だ。

主人公の女性も婚活していたので、ストーカーも婚活相手のなかににいるのではないかと、男が女の昔の婚活相手を虱探しに調べて、探して長い巡礼の旅に上るというのが筋らしい。やれやれ。

 

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へへへ、、

2024-04-26 18:57:09 | 書評

へへへというのは照れ笑い。前回架という名前にルビかないといったが、もう一度最初から読んだらルビがついていた。西沢架(にしざわかける)という名前でした。

どうもそそっかしくてお恥ずかしい。なるほど、カケルならひねりはない。そうでもないか、やはり珍しいかもしれない。

 

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ルビは誰が付けるのか

2024-04-26 15:21:05 | 書評

西村健太がどこかで言っていたが、ルビを付けるのは著者ではなくて編集者らしい。どうりでおかしいのが多い。つけなくていいのにつけたり、振らなければわからないのにつけなかったり。

入眠恐怖(入眠できない恐怖)を避けるために深夜読書のために辻村深月の{傲慢と善良}を買った。タイトルはイギリスの女流作家からパクってきたようだ。例によって帯によると映画化されてベストセラーだという。

この本でもルビに捧腹絶倒ものがオンパレードだ。主人公が「架」というらしい。こんな名前は見たことがない。それなのにルビが降っていない。男か女かもわからない。しばらく読んでいると男らしい。

そこで漢和辞典の名前読みを引くと「か、かける、かる」などの読みがある名前では「みつ」とよむとある。さすれば「みつ」と読むのであろう。しかし読んでいくうちに男であることがわかる。

そうすると、みつでは女みたいだ。作者というか出版社はなんとよませるのだろうか。

感心するのは読者が黙っていることだ。世界で一番扱いやすいのだろう。日本の読者は。

 

 

 

 

 

 

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初期習作か

2024-04-20 14:12:39 | ミステリー書評

ロスマクの本を二、三冊まとめて買ったので捨てるまえに「象牙色の嘲笑」というのを読んだ。72ページ。読まずに捨てるのがおしいというさもしい理由だ。

ところがこれは初期の作品らしく、ハードボイルド風なのだ。そして結構出来がいい。チャンドラーをまねたのか、依頼人がゴジラみたいな女だ。すぐに死体が転がるのもハードボイル風だ。

叙述におかしなところもあるが、まあまあだ。ただ題名は彼の通弊で気取っていてどういう意味だか分からない。

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絶筆宣言

2024-04-19 15:08:37 | ミステリー書評

絶筆宣言とは穏やかでないが(自分で書いてびっくりしているが)、ロスマグ(これはロスマクと略するのがただしいのかな)今途中まで、書いた彼の書評を中止するというだけのことだ。どうも、どうみても、書評する価値がない。

どこかのあとがきで村上春樹が好意的ともみられるコメントをしていたというのがあり、本屋で確認したが、村上の若書きならぬ若読み時代の感想で高い評価をしているのを確認して実に意外であった。しかし、どうも首肯できない。(象工場のハッピーエンド)

すくなくともハードボイルドの範疇には入らない。しいて言えば社会派の小説かな。少なくとも小説としての叙述の程度は低い。

なおハードボイルドをプライベートアイを中心とする犯罪ジャンルにまで、まげに曲げるならチャンドラー、ハメットとおなじかもね

 

 

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夜覚めの読書

2024-04-15 23:59:16 | 書評

医者の睡眠論に「夜読書をすると眠れなくなる」というのがあるが、私の場合は「読むものがあればすこし読書をすると睡眠モードに移行する。例えばドストエフスキーの作品はそのようにして読み始めた。難しい文章のほうが頭が疲れるからか、睡眠に移行しやすい。読むに堪えない文章はそもそも読んでも始まらない。

眠気覚ましに興をもって読める作品が良書を見極める目安となる。その意味からするといまよんでいるロスマグの「さむけ」は落第である。今150ページくらいだが、どうしようもない感じになってきた。

なにか、はやりの精神分析を援用しているつもりか、力んでいるがどうしようもない。こういうのは現代の日本の小説にも多い。小説でも「心理学」を援用しているのが多い。勘弁してくれよ。

 

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ロスマグ再評価

2024-04-14 18:12:35 | ハードボイルド

かってはハードボイルドの御三家ということが言われた。もちろん筆頭にチャンドラー、ハメットと続き、ロス・マクドナルドと続く。

ロスマグは一寸格が落ちる。むかしロスマグも読んだが、スピード感がなく退屈であるといいうのが、一般的な見方で、最近ではあまりロスマグのことを取り上げる人がいない。私もそういう印象であったが、最近読むものが無くなってロスマグの代表作の一つ「さむけ」を立ち読みした。結構読みやすそうなので買って20ぺーじほど読んだ。昔の印象と違って結構読めることを発見した。「さむけ」だけに限ったものかもしれないが。

インターネットのブラウザーで(素人書評)を読むと退屈でつまらないというのが現在でも主流らしいが。まだ20ページしか読んでいないが、昔とだいぶ違って軽い文章の印象なので先を読んでみることにした。

ほかの作品も二、三読んだが、題名は覚えていない。「さむけ」は読まなかったのかもしれない。

 

1976年第一刷とあるから新訳ではないようだが、結構スピード感が

 

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名物に旨いもの無し

2024-04-07 17:22:48 | 小説みたいなもの

ワシントン・アーヴィングのアルハンブラ物語を買った。著者の文章は高校の教科書にも掲載され名文家として明治時代から日本では名高いそうである。アラブのイベリア半島支配の最後の拠点として豪華華麗な宮殿として知られる。

前から一度読んでみたいと思ったが、市販されていない。それが先日光文社古典文庫の翻訳があったので期待して買った。これもこの本を取り巻く惹句がすごいので一度は現地に行きたいと思った。スペインを旅行した時にはいこうと思ったがスケジュールのやりくりがつかず断念したことがある。

そんなこんなで、つい手を出してしまった(買ってしまった)。読んでみて期待外れで旅行記としては平板な叙述であった。ま、名物に旨いもの無しかな。

どうも最近興味ある本に巡り合えない。読書日照りというところだ。

 

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ドスト「ステパンチェコヴォ村の住人」

2024-04-01 16:56:10 | 書評

ようやっと読み終わった。ひどい作品で、書評を書く気もなかったが、訳者や出版社の褒め方が、言いぐさがひどいので誤解を避けるためにも、やはり一言言っておいたほうがいいのかな、と思ったのでちょっと触れる。

要約すればドストの作品としてはひどいの一言に尽きる。着想、キャラ建はいいのだが、作品としては最低である。

出版社や翻訳者の惹句はすざましいのだが、まあ、30点だろう、ドストの作品の平均点が75点とすれば、25点くらいかもしれない。

訳者の解説に丸谷才一がドストの作品ではこれがいいといったと紹介しているが、本当に丸谷がいっているなら、ひどい話だ。こんなに褒めて恥ずかしくないのかな。

ほんちょっと後の作品で「死の家の記録」という良い作品があるが、それとの比較にもならない。

 

 

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ドストエフスキーの「ステパンチコヴォ村とその住人達

2024-03-29 19:01:33 | ドストエフスキー書評

表題のドストの長編をだいぶ昔に英文で読んだが途中で投げ出した。最初の二十ページほど叙述がごたごたしていて頭にはいらなかった。今回光文社文庫で読みだしたが、やはり最初の二、三十ページの叙述が錯綜していてやはり頭に入らなかった。四、五回読み返したかな。ようやく検討がついて読み進んだ。あとは平坦な叙述になっている。ドストにしては、書き出しが整理していない。

以降はすらすらと抵抗なく読める。長編としては「死の家の記録」より二年ほど早い。「死の家の」がシベリア抑留後最初の長編と思っていたが、それより二年ほど早い。復帰第一作(長編では)らしい。この作品は最初いくつかの出版社から断られたらしいが最初の数十ページを読んだだけなら出版を断られるだろう。

 

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白鵬三変化

2024-03-14 07:38:06 | 無題

白鵬部屋(宮城野部屋?)の暴力問題。私の白鵬評価は三変化した。

現役時代のエクセントリックな言動は苦々しく見ていた。引退してNHKなどの解説者になった後は、その解説がわかりやすいのに全く別人を見るような気がした。

NHKの解説者になってからの解説は非常に理論的で、相撲競技の技術的面をわかりやすく解説していたので感心していた。高い知性がないとこういう解説は難しい。

相撲という特殊な技術的世界を一般人にもわかりやすく説明したのに感心した。

そして今度の暴力、いじめ問題のモンゴル的異様さに驚く。

まったく別人格のような変化を見た。

報道によると、問題の力士は五歳から札幌で育ったというのに日本的常識が欠如しているのにも一驚を喫した。

 

 

 

 

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地下室の手記の裏バージョン

2024-03-09 20:33:28 | ドストエフスキー書評

「未成年」新潮文庫上p135まで読んだ。100ページから120ページあたりまでの記述は「地下室の手記」の裏バージョンといえる。一読の価値あり。つまり地下室の手記の独白者の裏バージョンとして読める。

ロスチャイルドになるための腕試しとしてある競売に出かけた後で青年たちの集まりで、思わず主人公が発言する。『自分の理想は言わない主義なのだが、、つまり自分は隅の老人じゃない青年として生きるのを信条としている』ってこれは「地下室の手記の裏バージョンになる。併せて読む価値がある。

これを書きたくて、書き残していたのが「未成年」の執筆動機とも受け取れる。併せて読むと重層的に筆者の主人公の一キャラクターが理解できると思う。

おそらくこのポイントが執筆動機の一つと思われる。

ドストの、筆者のキャラクターが出ているのは「二重人格」、「地下室の手記」とそれから「未成年」らしいね。

 

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