伊坂幸太郎著『アヒルと鴨のコインロッカー』創元推理文庫
オススメ度★★★☆☆
冒頭からいきなり読者の気をひきつけるシーン、モデルガンを握って書店の裏を見張る青年が登場する。
青年の名は椎名といい、たった2日前に大学入学のために東北のとある都市に引っ越してきたばかりだというのに。一体全体何がどうなって彼は強盗の片割れになってしまったのか?強盗の目的がたった一冊の「広辞苑」を盗む、というのも全く奇妙な話だ。
物語は僕こと、椎名と引越し先のアパートの対面の部屋の住人河崎という学生、そして美人のペットショップオーナーの麗子さんが軸に物語が進行する「現在」とわたしこと、琴美とブータン人の留学生ドルジ、そして河崎が登場して物語が進行する「2年前」のストーリーが平行して語られる。
そしてこの時空が違う物語が交差するとき、思いもよらぬ謎が解かれる仕組みになっている。読者は交差して初めてそれぞれの時空で張られた伏線に改めて気がつき、意外な事の真相に驚くのである。
このあたりの作者の技量は確かに高いと言えるのであるが、どうも自分にはしっくりと楽しめないものを感じるのは何故なのだろう?
どうも登場人物の誰彼にも感情移入ができないことが原因のようだ。伊坂幸太郎氏が描く作中の若者達が僕にとっては全く現実味に乏しい、いや現実味がなくてもいっこうに構わないのだが、魅力を感じない点においては物語を読み進める上で致命傷となってしまう。
巷で評価が高い伊坂幸太郎氏であるが、ちょっとパスさせてもらうことにした。
オススメ度★★★☆☆
冒頭からいきなり読者の気をひきつけるシーン、モデルガンを握って書店の裏を見張る青年が登場する。
青年の名は椎名といい、たった2日前に大学入学のために東北のとある都市に引っ越してきたばかりだというのに。一体全体何がどうなって彼は強盗の片割れになってしまったのか?強盗の目的がたった一冊の「広辞苑」を盗む、というのも全く奇妙な話だ。
物語は僕こと、椎名と引越し先のアパートの対面の部屋の住人河崎という学生、そして美人のペットショップオーナーの麗子さんが軸に物語が進行する「現在」とわたしこと、琴美とブータン人の留学生ドルジ、そして河崎が登場して物語が進行する「2年前」のストーリーが平行して語られる。
そしてこの時空が違う物語が交差するとき、思いもよらぬ謎が解かれる仕組みになっている。読者は交差して初めてそれぞれの時空で張られた伏線に改めて気がつき、意外な事の真相に驚くのである。
このあたりの作者の技量は確かに高いと言えるのであるが、どうも自分にはしっくりと楽しめないものを感じるのは何故なのだろう?
どうも登場人物の誰彼にも感情移入ができないことが原因のようだ。伊坂幸太郎氏が描く作中の若者達が僕にとっては全く現実味に乏しい、いや現実味がなくてもいっこうに構わないのだが、魅力を感じない点においては物語を読み進める上で致命傷となってしまう。
巷で評価が高い伊坂幸太郎氏であるが、ちょっとパスさせてもらうことにした。
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以上は「陽気なギャングが地球を回す」への感想の一部ですが、一冊で次に行くのをやめた、という私の場合です。人気作家であろうと着いてゆけないものは着いてゆけない!
そういう読み方をしたら、そりゃあしっくりこないし、楽しめないだろうな、と思うのです。
あまりよい例ではないですが、ミロの絵をみて、「これは何を描いた絵でどういう意味があるか」議論しているのを、それを脇で聞いてような違和感とでもいいましょうか…。
伊坂幸太郎氏の作品は「グラスホッパー」に次ぎ2作目です。ある作家の批評は最低3作は読んだ後で、と思っていたのですが3作目にとりかかる気力が湧いてきません・・・
ディックさん、こんにちは。
ま、はっきり言って「伏線」や「真相」なんて大げさな?言葉を選んだのは僕の間違いですね。
そんな深刻さを感じて読んでいたわけではないですから。
音楽で例えるなら、軽いポップスを聴くつもりが「妙に耳障り」な「ノリが感じない」部類のサウンドであった、というところでしょうか。
皮膚感覚的に会わないだけです。
この『アヒルと鴨のコインロッカー』よりもこっちがよいと薦めたくなる作品がたくさんありますが、感覚的には、よりいっそう min-min さんの好みから外れていくような感じです。
ぼく自身はしっかりした物語をつむいでいる小説を好む一方で、それと正反対の描き方を推奨する傾向がありますから…。