ジェフリー・アーチャー著『誇りと復讐(上・下)』(原題:A Prisoner of Birth) 新潮文庫 2009.6.1 発行 上781円+tax下743円+tax
オススメ度:★★★★★
冒頭、主人公ダニーのプロポーズの場面から一転血なまぐさい殺人事件が起こり、直ちに法廷での裁判の場面に移ったあたりで、「ありゃ、これは長々と法廷審議が続く法廷ミステリー小説かな?これはちと苦手な部類の小説だわい・・・」と思い込んだのだが、どっこい、物語は主人公が22年の判決をくらい刑務所に移ってから急展開を始めたではないか!
もちろん、法廷での検察側の勅撰弁護士ペインと被告側弁護人レドメインとの間の丁々発止のやりとりは確かに興奮させられるものがあったが、これが最後まで続くのか?と思うとちょっと引く感があった。
著者のストーリーテリングの巧みさもさることながら、主人公ニックと婚約者のベスを始め、刑務所で友人となった貴族出身の元軍人のニックやその元部下ビック・アル、ダニーの4人の仇敵たち、そして上述の弁護人たち、特にレドメインの父親のキャラ造詣は見事と言えよう。
下巻でのどんでん返しは特に読み応えがあり、「どうなるのか、どうなるのか?」という思いに駆られ一気読みモードに突入することうけあいだ。
恐らく今年度読んだ小説の中でも1,2を争う傑作と言える。
唯一疑問なのは、スペンサー・クレイグほどの人物、オックスフォード出の法廷弁護士ともあろう人物が酔った上とはいえ、かくも単純に暴力(ナイフを使った殺人)に走るものであろうか?という点。
私は最後の最後まで、このクレイグは刺し殺したバーニー・ウィルソンに対して隠された強い恨みか確執があるに違いないと思っていた。
というのは、殺人を行った後のクレイグの行動があまりにも迅速かつ適切であったためで、とうてい酔っ払ったあげく見境なく殺人を犯してしまった人間の行動とは思えないものがあるからだ。
オススメ度:★★★★★
冒頭、主人公ダニーのプロポーズの場面から一転血なまぐさい殺人事件が起こり、直ちに法廷での裁判の場面に移ったあたりで、「ありゃ、これは長々と法廷審議が続く法廷ミステリー小説かな?これはちと苦手な部類の小説だわい・・・」と思い込んだのだが、どっこい、物語は主人公が22年の判決をくらい刑務所に移ってから急展開を始めたではないか!
もちろん、法廷での検察側の勅撰弁護士ペインと被告側弁護人レドメインとの間の丁々発止のやりとりは確かに興奮させられるものがあったが、これが最後まで続くのか?と思うとちょっと引く感があった。
著者のストーリーテリングの巧みさもさることながら、主人公ニックと婚約者のベスを始め、刑務所で友人となった貴族出身の元軍人のニックやその元部下ビック・アル、ダニーの4人の仇敵たち、そして上述の弁護人たち、特にレドメインの父親のキャラ造詣は見事と言えよう。
下巻でのどんでん返しは特に読み応えがあり、「どうなるのか、どうなるのか?」という思いに駆られ一気読みモードに突入することうけあいだ。
恐らく今年度読んだ小説の中でも1,2を争う傑作と言える。
唯一疑問なのは、スペンサー・クレイグほどの人物、オックスフォード出の法廷弁護士ともあろう人物が酔った上とはいえ、かくも単純に暴力(ナイフを使った殺人)に走るものであろうか?という点。
私は最後の最後まで、このクレイグは刺し殺したバーニー・ウィルソンに対して隠された強い恨みか確執があるに違いないと思っていた。
というのは、殺人を行った後のクレイグの行動があまりにも迅速かつ適切であったためで、とうてい酔っ払ったあげく見境なく殺人を犯してしまった人間の行動とは思えないものがあるからだ。
・嵐を走る者/T・ジェファーソン・パーカー
・リンカーン弁護士/マイクル・コナリー
・誇りと復讐/ジェフリー・アーチャー
ハヤカワの復刊を含めて最近翻訳物が当たっていまして、明日は「震えるスパイ」の感想を記事にしますが、「エニグマ奇襲指令」もよかったし、これからいろいろと楽しみです。
当方の体調の様子を見ながらになりますが、お会いできたら嬉しいです。