ナン・ゴールディンは昔わたしが写真を始めた頃に重要な作家として知ったけど、
(→女性写真家について)
重要さはわかったものの特に関心を持たなかった写真家。
彼女の撮るような生々しい写真が特に好みではないということと、
何より自分には遠い世界だったので。
破滅する自由を持った人たちの、ひりひりするような人生。
野放図な自由から生まれるイマジネーション、創造の爆発、過剰、破滅。
でも、そのゴールディンがその後,薬害被害の問題について
こんな活動をしていたことは知らなかった。
中毒性のある薬を安全だと偽って、医師へのキックバックなどいろんな手を使い
大々的に売り出した巨大企業のファミリーを告発し、
様々な美術館に寄付を辞退させたり名前を消すことを要求する活動の話と、
ナン・ゴールディンの家族や姉の話など個人的な過去も語られて、
大変厚みのあるドキュメンタリーになってます。
ドキュメンタリーのわりには長いので3本目に見るにはちょっとヘビーだったけど見て良かった。
特に冒頭の美術館でのデモの様子は、それ自体が素晴らしいアートになっていた。美しかった。
そしてこれを見たすぐあとにネットでこういうニュースを見かけて
またナン・ゴールディンのことを思い出したのでした。
「美術手帖」記事より→飯山由貴がイスラエルのパレスチナ侵攻とスポンサーの川崎重工に抗議。国立西洋美術館「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」記者内覧で
国立西洋美術館にて。飯山由貴氏アクション
SNSで、アーティストは政治的なことを言うなという声も聞くけど
生きていて、政治的でないことなんか何もない。
声を上げて戦う人を心底尊敬します。