小説の「若草物語」はどうも好きになれなかったんですよ。
教訓くささが古くさくて説教くさくて鼻について「赤毛のアン」の方が断然好きだった。
出てくる人たちがキリスト教的善人すぎて、なんの深みもないと思いました。
少女の頃に一度読んで、念のために20代でもう一度読んでみたけど
やっぱり好きになれなかったのです。物語はそこそこ面白かったけど。
でもこの映画はみんな褒めてるし
俳優が最近好きになってきたシアーシャ・ローナンとティモシー・シャラメ君だし、
なによりあの、自意識問題ぐるぐる系のグレタ(フランシス・ハ)ガーウィクが監督とは
いったいどういう映画になってるんだろうと、わくわく。
そしてそんなに期待してみたのに、期待を裏切るどころかもっともっと想像以上に良くて
映画ってすごいなぁと感嘆しました。
そして、いつもの映画の会でも喋ったし、若い友達のポッドキャストでも
この映画をすごくテーマにしゃべったし、存分に味わいました。いい映画体験だったわ。
映画は、小説の「若草物語」だけでなくその続きの計4冊分までのお話ですが
わたしは最初の「若草物語」しか読んでなかったし、昔見たはずの古い映画は覚えてないし
あら、そんな展開だったかしらんと新鮮にみました。
細雪と同じ4人姉妹ものですね。
姉妹というのは4人もいると、並んで歩いているだけで華やかでかわいく楽しいものです。
市川崑監督の「細雪」の桜の下を歩く姉妹の華やかさはいつまでも印象に残るし
この映画では雪の中お隣の貧しいお家へお料理を届けに行くシーンかな。
こっちはもっと若々しく、姉妹特有の甘い美しさがあってもうひたすらかわいい。
姉妹、いいなぁ。わたしも姉妹ほしかったなぁ。
シアーシャ主・ローナン演じるジョーと、お隣の御曹司ローリー役のシャラメ君の衣装が最高。
わたしがふんわりした袖にメロメロに弱いのは以前から何度も書いてるけど
ジョーは袖はふんわりしててもベストやジャケットで凛とした着こなしだし
シャラメ君はもうかわいい王子様。
この二人がパーティを抜け出して家の外でデタラメに踊る様子は
まるで仲良しの可愛い2匹の子犬が戯れあっているような幸福感が溢れているし
あらゆるシーンが美しいし、あらゆるエピソードが面白い。
原作の教訓くささがあんなに嫌だったのに、原作の物語の力に今更気づいた。
もちろん監督の凄腕というのもあって、150年前の話が今見ても全く古くないのは
今も昔も変わらない普遍的な部分がしっかりしている上に
原作のエッセンスを歪めないでうまく現代の問題意識にも沿っているから。
原作を知ってる人にも知らない人にも受け入れられる作品になっててすごい。
予告編を見ると女性の自立が難しかった時代のジョーの物語のように見えるけど
そういうシンプルなメッセージ映画でもなく、すみずみまで丁寧に作られて面白い
何度でも見られる素晴らしい作品になってます。
シアーシャ・ローナンは「ブルックリン」の主演で初めて見て
なんだか大柄で図々しそうな女と微妙な反感を持ったのを撤回します、すみません!
グレタ・ガーウィクも「フランシス・ハ」以来ドスドスしたガサツな感じとか
やっぱり微妙にイラっとする気がしてたのを撤回します!ほんとすみません。
どっちももうついて行きます!
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