志が高くメッセージのある政治的な映画を、
映画としてはダメなのに、映画を見慣れてない人たちが心から褒めるのはよくあることだけど
これも悪い予感が当たって、そういう映画に分類されるなと思ってしまった。
上に貼った予告編はすごくいいんですよ。見る気にさせる。
今の政権をかなり直接的に厳しく批判する映画です。そこはとても面白かった。
特にみんなが褒める女優の演技の良さが全くわからない。
オーバーアクションにならないように内側で膨らませる感情の圧の高さが、
奥行きのある演技にはならず、前のめりで力みすぎた顔のやや単調な連続。
「一所懸命」圧みたいなのをぐううーんと押し出してくるんだけど全部同じに見えちゃう。
本当なら彼女の笑顔のシーンなどもう少し多面的な一人の人間としての部分を
ちらりとでも見せたらよかったのに。
人としての真摯さはわかるけど魅力は出せてない。これは彼女のせいじゃないけどね。
予算がなかったのだろうとも思うので、あまりズケズケ書きたくないけど、
役者に頼るしかない脚本になってしまってるので、女優がもう少しうまくないと難しいな。
一生懸命の押し売りのような単調な役と演技。(言い過ぎか。ごめん・・・)
主演男優はよくやってると思うけどその妻役の甘ったるく嘘っぽい演技で
夫婦感が作り物くさくリアリティがない。
けなげに夫を待って家を守るひたすら優しく全てを受け入れてくれる妻、って
「金麦CM」の檀れい的な、イライラもやもやした気分になります。
そしてそういう妻に心配させず守るため、何も話さない夫。古くさ〜。
まあ日本の官僚の世界なので、男の世界になってしまうのは仕方ないのか。
全体に単調な映画で、ディテールを膨らませるよりじっくり撮る方を選ぶというのも
一つの方法だとは思うけど、それがいい方には行ってない。
「じっくり」の中身、映画の映像としての情報が薄い。
自分は個人的に、ディテールが全て!とまでは行かずともディテールの力を
ものすごく重要視しているので、この映画に厳しいのかもしれない。
先日「芳華」をみて、これのあと「Cold war」を見るつもりなのですが、こ
の2本の間では「新聞記者」はまさに、大人と子どもくらいのレベルの差があるなぁと。
ストーリーは
新聞記者・吉岡(シム・ウンギョン)のもとに、大学新設計画に関する極秘情報が匿名FAXで届いた。
日本人の父と韓国人の母のもとアメリカで育ち、ある思いを秘めて日本の新聞社で働いている彼女は、真相を究明すべく調査をはじめる。
一方、内閣情報調査室官僚・杉原(松坂桃李)は葛藤していた。 「国民に尽くす」という信念とは裏腹に、与えられた任務は現政権に不都合なニュースのコントロール。愛する妻の出産が迫ったある日彼は、久々に尊敬する昔の上司・神崎と再会するのだが、その数日後、神崎はビルの屋上から身を投げてしまう。
真実に迫ろうともがく若き新聞記者。
「闇」の存在に気付き、選択を迫られるエリート官僚。
二人の人生が交差するとき、衝撃の事実が明らかになる! 現在進行形のさまざまな問題をダイレクトに射抜く、これまでの日本映画にない新たな社会派エンタテインメント!あなたは、この映画を、信じられるか──?(公式サイトより)
とはいえ、今これを作った勇気と戦う気概は素晴らしいとは思うのです。
「新聞記者」は現在進行中の事件を、誰が見てもそれとわかるように扱ってたので、
「主戦場」を右翼の人らが訴える!と息巻いてたように、
「新聞記者」に対しても、山口敬之さんとか名誉毀損だ訴える!とか言えばいいのに。
いい宣伝になるのにな。
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