全然予告編と違う映画だった!
予告を見ると美人霊媒師姉妹の嘘と真実を暴くような映画を想像するけど
全く違う!違いすぎ。腹が立つレベルで、違う!
降霊術の美人霊媒師姉妹の嘘と真実、なんて話じゃ全くないし、
騙しているのか、信じるか信じないか、とか、そういうの全く関係ない映画だから!
「見えないものを見せようとした」、「詐欺師と呼ばれた」ってコピー
それ、ちがーーーうーーーっ!
降霊術のこととか、この姉妹の霊媒師としての真実についてなんか
全然テーマじゃないのになんだこの予告編は!?
これは、あるユダヤ人男の物語なのに!
それも、姉妹に入れ込んで降霊術の虜になった男が
信頼を失って詐欺師にされる話、みたいなあらすじだけの説明ともまた違って、
これ、戦争についての話でもあるのです。いやもう、かなり、戦争の話です。
戦争のときの愛国と外国人排斥の空気と、それでつぶされた男の話。
具体的には、ナチス支配下、ナチスに染まったフランスで、
民族差別による憎悪や反ユダヤ感情の高まりの中、
ナチスによって無茶な理由で捕まったユダヤ人の男の話。とでもいいましょうか。
予告編も、あまりに違って悶々とするけど、この映画のレビューがまた
的外れだらけで、苛立つ。
たとえば、この男をフランスに潜り込んだユダヤ人と書いてある評を見て、
もともと身元を隠して他国に潜り込んだ悪いやつだった、みたいな言い方に、
それはあんまりでしょうと思った。
ドイツによってポーランドを追われ、親に捨てられたひとりぼっちの移民の子が
フランス人として必死で生きてきたのに、
何十年も生きてきてその国で、認められず排斥されるようになるんですよ。
公式サイト自体が、美人姉妹は本物か偽物かって話のように書かれてて
この映画の伝えたいことを何もわかってない宣伝の仕方がとても残念です。
あの時代の、ユダヤ人というだけで裏切られ罪をなすりつけられ憎悪され
捕まえられてしまうような状況、本や映画で見たことないんだろうか?
ナチスのやったこと、ユダヤ人のされたことを、
美人霊媒師の話の背景くらいにしか見られない人にとって
戦争って本当に他人事でしかないのかなぁ、と思う。
美人霊媒師とその姉を援助する映画関係のお金持ち男性。
同じ家に住み、心が通うけど、時代は彼らを翻弄した、というような粗筋ですが
一番悲しく心に残るのは、美人姉妹ではない、このユダヤ人男性だった。
なんとも悲しく切ないです。
とはいえ、ユダヤ人男性の切なさや時代背景だけでなく、
美人姉妹役のナタリー・ポートマンとリリー・ローズ・デップは素晴らしく、
この二人の霊媒師姉妹の不思議な魅力見るだけでも値打ちのある映画だし、
幻想的なシーン、恋する心の機微、忘れがたい美しさのパーティ、などなど
素敵なところがたくさんある映画でした。
降霊術ではなく映画界の話で、映画制作の現場が中心になっているのもいいです。
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