鳥取県史編纂のお仕事関係で、鳥取県教育会の機関誌を総ざらいしています。
その際に小学校教員検定試験問題が目にとまったのでメモ。今後、日本教育学史研究もしたいのですが、その際に参考になるかなと。
小学校教員に必要とされた教育学知とは何か。小学校教員検定試験問題にそれが反映されているのではと思います。
問題程度は、正直かなり難しいと思う。シンプルすぎて何を答えさせようとしているのかわかりにくいのも、よけい難しく感じさせる原因だろう。師範学校卒以外のルートだと、この問題を解かないと正教員にはなれなかったわけで、当時において正教員へ上進する困難さが伝わってくる。
内容傾向にはヘルバルト主義教育学の影響を確認できるが、それ一色ではなさそうだ。結構興味深い。要研究。
明治30(1897)年度 鳥取県小学校教員検定 乙種検定試験問題(教育・教授・管理のみ抜粋)
【小学校本科正教員 検定試験問題】
○ 教育科
1.意志成長の順序を問ふ
2.教育の目的を問ふ
3.定義とは如何、之を説明せよ
4.ヘルバルト、スペンサル氏の智育説を述べ、之を批評すべし
○ 教授科
1.五段教授法の大要を述ぶべし
2.読書科教授の観念主義及文字主義を説明し、其何れを採るべきかを述べよ
3.生徒用教科書は教授の経過中如何なる場合に必要なるか
○ 管理科
1.学校管理の目的を述ぶべし
2.賞ばつ[四+言+寸]を施行するに注意すべき要項を挙げよ
3.学級教授・分科教授とは如何、且其利害を述ぶべし
【尋常小学校本科正教員 検定試験問題】
○ 教授原理科
1.教授は特殊より普通に全体より部分に及ぶべしと云ふ理由を説明すべし
2.教育の事業は教授と教練とより成ると云ふ意義を説明すべし
3.読書科の要旨及其教授法の大要を説明すべし
○ 管理科
1.学校管理の主義を述ぶべし
2.訓かい[言+毎]を施すに注意すべき要項を述ぶべし
3.尋常小学校に備ふべき表簿の種類を挙げ、且其必要を述ぶべし
出典
「明治三十年度乙種検定試験問題」『山陰之教育』第30号、私立鳥取県教育会事務所、1897年11月、34~41頁。
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