教育史研究と邦楽作曲の生活

一人の教育学者(日本教育史専門)が日々の動向と思索をつづる、個人的 な表現の場

教育史学会一日目

2005年10月08日 23時55分55秒 | Weblog
 今日は東北大学において教育史学会一日目。受付は8:20からなので、もちろん前日入りしないと広島からは間に合わない。てなわけで、今日は仙台のホテルから朝が始まりました。以下、教員の方は「先生」、院生の方は「さん」で呼んでます。
 学会へ来るといつも面白いのが、会場へ向かう方向の朝の風景。バスなんかでも、必ず見知った先生の顔を見つけることができるのです。ああ、あの先生が乗ってる、あの人どこかで見たことあるな、などと思いながら、東北大学へ。前を歩く人について、ぞろぞろと歩いていく。いつもの学会の朝の風景。教育史学会一日目は、いつも個人研究発表(一般研究発表)→昼休憩→総会→シンポジウム→懇親会、の順。今回も同じ。
 私は午前中の一般研究発表で、10:00から三番目の発表。発表時間25分・質疑時間5分。少し早めに発表は終えておきました。今回は、私の発表のときそこそこ人がいたのに、フロアからの質問がまったくなかったことが残念でした。私と同じ教育会研究に熱心なK先生は学会準備委員長でもあったので非常にお忙しく、発表の場にいなかったそうで、残念。私は発表にいっぱいいっぱいだったので、ほんとに前の方しか視界に入らず、誰が聞きにきていてくださったのかわかりませんが、来てくださった方々、ありがとうございました! なかでも、博論の副指導教員のS先生(ドイツ教育哲学)が見えていたので、びっくり。哲学者の前で「専門性」なんて言葉を使ったもんだから、内心何か言われまいかとびくびくでした(笑)。後で会った時は笑ってただけで、何も言ってませんでしたが(帰った後がこわいな(汗))。
 写真はそのときの発表原稿の最終頁。司会者から出た質問のメモつき。今回の題目は「大日本教育会および帝国教育会に対する文部省諮問」ということで、両会に対する文部省諮問そのものの全体的性質を明らかにする研究であって、いちいちの諮問の中身や答申後の影響を明らかにする研究ではありませんでした。ですので、司会の質問にあった、文部省諮問答申の実際への影響はどうですか、と聞かれたときは、まだ検討していませんとしか答えられなかったのです。そもそも一つ事例をとって研究するとしたって、また「その事例をとりあげるのは妥当なのか」という問題が発生してしまうので、このテーマの論文一本分で私がやれることではないと思います。ところが、偶然にも私の次に発表したTさん(東北大院生)が、そのテーマに沿って一回の諮問の中身について研究されていて、非常に興味深く発表を聞かせてもらいました。つい質問したくなってしまい、いろいろ自分の興味関心にひきよせて質問してしまいました。Tさんには申し訳ない。
 司会のW先生(埼玉工業大学)も、教育会を研究されていたことがあり、最後の総合討論の時間では、生き生きとした目で質問されていました。私と私の前に発表されたYさん(京大院生)は「中央教育会」、先のTさんは「地方教育会」の発表であり、この部会の発表者5名のうち3名が教育会に関する発表で、さながらこの部会は教育会部会のようになっていました。他の2名はその間とりのこされたようになってかわいそうでしたが、今まで司会が総合討論の時に「テーマがばらばらすぎてまとめられません」とギブアップする光景しか見たことがない私は、今回まとまった議論ができたこの部会は非常に生き生きしたものになったように思います。いや…自分の専門だったからかな?(笑)
 総会に出た後、シンポジウム「教育史研究のメディア論的展開」。難しい内容でしたが、ちょっとだけど勉強してきた者にとっては面白かったです。途中休憩前、どうしても行っておかなくてはならないことがあって中座しましたが、全体的に深い内容になっていたと思います。これも自分の専門に関係あったからひいき目に見てるのかもしれません。とりあえず、教育会をメディアとして捉えられないか、しっかり考えようと思って聞いていました。新規な流行に乗っかるのは嫌いなので(笑)、これからは、今日のことを参考にして私なりの答えを見いだして行かなくてはなりませんが。なお、私が疑問に思ったことは、だいたい休憩後のフロアからの質問に出て、その上を行く質問がでる。さすが先生たちだなあと関心してました。
 懇親会は、話ばっかりしていて、あんまり食べ物が食べられませんでした(笑)。まあ、お世話になってる先生方・院生方には挨拶できたので、よかったかな。ホテルに帰って冷静になった後、学部の頃仲のよかったヤツ(東北大の院に入学している、生物系)のことを思い出し、久しぶりに電話をしてみる。今はあんまりうまくないよと言いながら、うまいという牛タン屋にいって牛タンとサンマの刺身を食べる。めちゃくちゃ旨かった。店の名前は忘れました(笑)。この友人が、最近研究方法について疑問があるのだとして、やたら私の研究について質問をする。教育史研究者の現代への姿勢であるとか、私の研究の展望だとか。彼は理系なのだが、非常に熱心に聞いてくるので、私も熱心に答えていました。はたから見たら何話てんだと思われたでしょうね。しかし、非常に有意義な時間でした。いろいろ言われましたが、特に、「お前は今回の発表で小学校教育行政における大日本教育会・帝国教育会の影響力が特に強いことを明らかにしたんだろ? だったら、これからはその点に焦点をしぼってその影響を研究するのがお前の独自性じゃないか?」と言われたのは、納得。その通りだと思います。
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