老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

世の中平和です

2021年06月20日 19時22分05秒 | ツレアイのこと

◆昨日は、ツレアイの第1回目のコロナワクチン接種があり、雨の中を近くの都島区スポーツセンターまで付き添いで行ってきました。

 無事に接種を終えましたが、私の場合は接種後30分間の安静だったので、今回はこれに備えて本を持参していましたが、何とツレアイは15分間であっという間に過ぎました。

 係りの人に聞くと、“問診医の判断で15分の時もあれば30分の人もいるようです”ということでしたが、思い当たるのは私の場合は不整脈の関係でいわゆる血液をサラサラにする薬を飲んでいること位でした。


 さて、帰宅後に食事を終え、連れ合いがもう寝たいというのでその準備を手伝いながら、「注射した腕が痛くないか?」と聞くと、「なに? 注射って? 私、そんなんしたか?」とのあっけない返答。

 どうやら腕の痛みはなさそうなので、一安心というところですが、最近の我が家のツレアイとの会話はこのような受け答えが多くて、本人はそれなりに記憶力や理解力の低下というアルツハイマー症状への悲しさを感じている悲しい毎日だとは思うのですが、一方ではこのような平和な一面があるのだと思うと、ある意味ではホッとするとともに少し羨ましいような気もします。

 今日の夕方にも問うと、痛いとは言わないものの少しだるい様な感じが見受けられましたが、あまり大したことはないようでした。ヤレヤレ。


 また、昨日のワクチン接種は80歳以上の方の2回目の人も多いようで、車椅子に乗って付き添いの方が同行の人を多く見受けましたが、同じ付き添いでも私の場合はまだ少し楽な立場だと感じました。


◆更に、今日もツレアイを連れて、昨日のワクチン接種会場の下にある都島区の保健所に高齢者のがん検診と特定検診を受けに行ってきました。

・潜血チェックによる大腸検査のための便を採るのに苦労しましたが(ツレアイが、便を採る意味が分からないだろうと、念のために少し前から対応しましたが、やはり便をすぐに水で流してしまうために便が上手く採れず、結局4日かかって2回分が採れました)何とか対応できました。

・特定検診では採尿に私がトイレまで付いて行くわけにもいきませんが、理解できていないツレアイのために看護師さんが対応してくださって、何とか無事に終了。


 認知症が進んでいるツレアイを連れてのワクチン接種や特定検診などは大変ですが、何とか人の手助けをいただきながら他の人並みに接種や検査が受けられるのは本当にありがたいことです。(まさ)


巨大ITの問題点と「データ主権」  その④ ~PFの囲い込みからの脱出~

2021年06月19日 19時39分14秒 | その他

◆前項で見てきたように、大事な個人データが貴重な資源として、PFに集積され、ビッグデータの主要な要素として新しいビジネスに利用されていますが、この状態を「データ資本主義」と呼ぶ人もいます。

 それ程に個人データは21世紀の石油ともいわれるように重要な資源なのです。
また、私たちの生活全体が知らず知らずのうちにPFに吸い上げられるというモデルは、資本主義よりも(領主が農民から地代を吸い上げる)封建制に近いという指摘する人もいるようです。

◆そもそもコンピューターが開発され、PCがある程度普及の兆しを見せ始めた時には、インターネットの理念は「水平的で民主的な空間」であり、誰もが対等の立場で対話できたり情報を入手できるのが大きな魅力となっていたはずです。

 しかし、コンピューター技術やデータ蓄積/解析などの周辺技術が思いもかけないスピードで進歩し、このシステム開発をリードしたPFとかGAFAと呼ばれる所にデータが集中的に蓄積され始めたのです。

◆従って、 “個人データの主権者は自分自身であることを自覚し、自分のデータを渡す・渡さないは自分自身で決めることが大切“といっても、個人にとっては実際問題どのPFに対してどの様に対応するかは非常に難しい線引きとなりますので、いっそのこと個人情報はPFの物ではなく、社会全体の財産として共有し、安心できる管理/運営方法を模索して行くのも方法ではないでしょうか?

◆事実、EUや英国では、政府や裁判などで個人の権利保護のルールを強化しているようですし、中でもス、ペインのバルセロナでの動きが注目されています。

・バルセロナはご存知のように世界的に有名な観光地であるだけに、観光客の殺到に拠りいわゆる“オーバーツーリズム”で市民生活が圧迫され、これからの脱却を目指し市民の生活を守るための町づくりを目指す様々な検討・提案がなされました。

・このバルセロナは元々協同組合の活動が活発だったようですが、上記のような活動の中で、地球環境保護の為の様々な行動目標設定と共に、「情報インフラの民主化」という目標も掲げられて、個人に関する情報も協同組合のように皆で管理して恩恵やサービスをシェアしようという動きが出て、地元密着型の「シンディム」というPFを作ったと言われています

・更に6月13日の新聞報道によれば、GAFAの発祥地で資本主義の権化ともいえる米国でも、独占禁止法に基づいてGAFAの活動を制限しようとの法案が下院の超党派議員の手で提出された由です。


 また、人と地球資源や環境を搾取しながら進む現在の資本主義システムの中で、今迄通りのライフスタイルを続ける事自体が地球の環境負荷を増すことを考えれば、地球が抱える危機を止める為には、やはり経済成長を前提とする社会システムそのものを見直さざるを得ないのではないでしょうか。

 日本は殆ど全ての資源を輸入に頼りながら、相も変わらずに将来の地球の在り方など気にもせずに経済成長を最大の目標として突き進んでいます。

 幸か不幸か、日本は少子高齢化の影響を最先端で経験する国ですし、更に今回のコロナ問題で“オーバーツーリズム”による問題点が浮き彫りにされています。

 そう言う意味では今後の国の在り方を検討するのに絶好の機会である様にも思え、その際には国民の個人データを巡っても既存のGAFAやPFに頼るのではなく、真に国民を守るためのデータ収集・蓄積方法や活用方針を民主的に検討すべき絶好の時期なのではないでしょうか・・・(まさ)


巨大ITの問題点と「データ主権」  その③  ~個人データの主権者は?~

2021年06月18日 19時19分32秒 | その他

◆個人データは宝の山
 「個人データは21世紀の石油」という言葉をよく聞きますが、正に個人情報は宝の山なのです。
 上記のように、一見利便性を謳い文句にして、PFは利用者のデータを吸い上げて、私たちにわからない仕方でさまざまに分析したり加工したりして商品にしているのです。

 「便利だね」と素朴に受け止めていると、私たちの嗜好や政治姿勢だけでなく、生活のあらゆる行動が把握され、データが分析されることになり、やがては、そのデータに基づいて私たちの感情とか欲望までがコントロールされ、行動を変容させられていくのでしょう。

 そうなったらもう、ニセモノの欲望なのか本当の欲望なのか、自分でもわからなくなるでしょう。

 私ごとですが、旅行が好きなので旅行について色々と検索したりしていますが、いつの間にかPCを開くと私の気に入りそうなツアーなどの情報が最優先で提供されていたり、先日は安い中古のPCを検索したところ、その後は中古PCの情報が最優先で表示されるということもあり、ゾッとすることもありますが、皆さんもご経験のことと思います。

 別な言い方をすると、私たちは、PFの便利さを享受しているつもりが、いつの間にかPFの為の「無償労働者」になっているとも言えるでしょう。


◆個人データの主権者は自分だ
 といって、今更PFの利用を無くしたり、PCがない様な不自由な生活に戻ることはできないでしょう。
 しかし、上述のように自分の個人データがいつの間にか無償で提供されて利用されるのも事実です。

 出来ればむやみやたらな個人情報提出は防ぎたいところで、個人データの主権者は自分自身であることを自覚し、自分のデータを渡す・渡さないは自分自身で決める。  

 即ち、公共的な目的に資するようなデータの使い方は許容するが、何かの宣伝や、私企業に資するような使い方に対しては拒否するのも一つの方法でしょう。(まさ)



巨大ITの問題点と「データ主権」 その② ~GAFAやPFの高収益の陰で~

2021年06月17日 19時10分29秒 | その他

◆私たちの生活は豊かになっているか?
 コロナ禍の中で外出自粛を余儀なくされていますが、“ウ―バ―イ―ツや色々な宅配サービスで食事を楽しめているし、グーグルやアマゾンなどGAFA(※1)に代表されるPF(プラットフォーマー、※2)を通じたり、或いは近くのコンビニで色々な買い物ができるし、知りたい情報は入手できる。

 更にSNSや会議機能などを通じて友人との連絡や仕事にも不自由なく対応できている。本当に便利で豊かな生活になった”と喜々として現在の生活への満足感を表される方がおられますが、果してそうでしょうか?

※1 GAFA:
 アメリカの大手企業であるグーグル/アマゾン/フェイスブック/アップルの4社の頭文字を並べたもので、何れもITを活用したサービスを展開するためのインフラを提供しています。
 これに、マイクロソフトを加えた情報技術産業における最大かつ最も支配的な企業をビッグ・テック (Big Tech)又はビッグ・ファイブ (Big Five)と呼ぶこともあります。

※2 PF(プラットフォーマー):
 インターネット上で、モノ・サービスの売り手と買い手や、企業と求職者などが出会う「場所(プラットフォーム)」を提供する業者のこと。
 仲介手数料や広告料が主な収入で、利用者が増えるほど利便性が増し、市場支配力も高まる。国内ではヤフーや楽天などが当てはまりますが、コロナ禍での自宅こもり増加に伴いウ―バ―イ―ツなどの業者も急成長しています。

GAFA/PFなどが急成長の陰で
 なるほど、一見便利な生活を享受されている方もおられるでしょうが、チョット考えて見ましょう。
・利用者の拡大で、GAFAやPFは軒並み高利益を上げているようですが、この収益を享受しているのは創業者や一部のエンジニアなどだけで、従業員の多くや、これらのGAFAやPFの下請け業者や物品/サービス提供者は低賃金での過酷な労働や、過当競争を余儀なくされているのは紛れもない事実でしょう。

 私たちが目にする風景としても
・グーグルやアマゾンなどの通販物品の配送員は殆どが駆け足で動いていて、労働に誇りを持って楽しんでいる様には感じられない。
・コンビニなどの従業員も多くが主婦や海外からの留学生のパートのように見受けられますし、フランチャイズのオーナー達は人手不足をカバーするために深夜勤務などを担当している例も多く、何れも社会保障制度が行き亘っているのか常に疑問に感じる。
と共に、これらの労働者の大部分は、労働契約も締結せずに、実際の雇用者が誰かも把握しないまま、自分達の権利を擁護する労働組合の組織も無い状態で働いているのが実情ではないでしょうか。

◆GAFA/PFなどの提供サービスは本当に安いのか?
 また、一方便利で割安だと考えられているGAFAやPFは本当に、割安なのでしょうか?
資本主義社会である以上、これらのGAFAやPFは顧客に利便性を提供することよりも、利益計上や拡大が最大の目的でしょう。

 即ち、“彼らの収入は仲介手数料や広告収入で、便利なサービスは何の見返りもなく無料か格安で提供される”そんな甘い話があるわけがないでしょう。

 当然、彼らはそれでビジネスをしているわけですから表面上の仲介手数料や広告収入だけでなく、上記で見たように従業員(というか、下受け形式の別組織の従業員でしょうが)や、下請け業者の過酷な労働や過当競争で多くの利益を上げていますが、それと共に見逃しては行けない事があります。

 それは、私たちPFのサービス利用者が何かを購入したり、検索したり、他の人のSNSに「いいね」したり、或いはどういう写真をアップしたとか、そういうデータをどんどん吸い上げていくというものです。

 当然に彼らはサービス提供に当り、利用者の氏名・年齢・住所・性別・メールアドレスなどの個別情報を把握していますし、場合に拠ったら口座番号や家族構成なども掴んでいます。
即ち、利用者は色々な個人情報をPFに提供しているといえるでしょう。(まさ)




巨大ITの問題点と「データ主権」  その① ~斎藤幸平氏について~

2021年06月16日 19時14分42秒 | その他

(今日も一日中雨でしたが、最近のコロナによる外出自粛と降雨のために、自然とPCに向き合う時間がなり、前から気になっていたことを纏めてみました)

 約1か月前の5月14~19日に、このブログで「脱炭素と脱原発」というテーマで、私が感じている所を書き込みましたが、その際に“成長を追い求める現在のシステムではやはり人類の将来はない”という事に思い至り、あえて

 “先進国の多くの国民は、現在より少し位不便な生活でも対応できるはずです。SDGsの事を真剣に考えるなら、恵まれている立場の人たちがある程度生活レベルを落としても、世界中のもっと多くの人が少しだけでもよりましな生活が送れるような仕組みを考えても良いのではないでしょうか。”という風に私なりの思いを書きました。

 一方では、口では格好エエことを言っても、「人間の進歩という事をどの様に考えているのか?」「経済の成長による生活レベルの向上こそが大切なのではないか?」「少なくとも、生活の質を落とすことなんか、全く考えられない・・・」という多くの人が抱えている疑問に、明確に理論的に反論できるだけの知識がなくてイラついていました。 

 

 そんな時に、本屋でふと目についた斎藤幸平氏の「人新世の『資本論』」(集英社)を購入して読み始めました。著者はまだ34歳という若い経済思想家で、現在は大阪市大准教授です。

 「資本論」といえば共産主義のバックボーンとなったと言われているカール・マルクスの著作で、私たちが学生時代は誰もが一度は読破を志した本です。

 私も読みかけてはみたものの理解には到らず、その内に共産主義の具現とされていたソ連への失望やソ連の衰退と共に読破を諦めた記憶があります。
また、その後の資本主義国の目覚ましい発展とともに、世界的にも共産主義は資本主義には対抗できないシステムであると思われるようになり、この著作も忘れ去られるようになっていました。

 しかし、斎藤氏は、このカール・マルクスの「資本論」や以後の色々な論文を掘り起こし、それを基に、
・資本主義は人と地球環境を搾取しながら際限なく成長を追い求めるシステムであるとし、現在の経済システムを否定し
・社会の資産や技術はコモンとして社会で共有し管理すべき富だと考える事に拠り
・脱成長でも、地球の環境を守りながら充分にやっていける
という内容の著作です。

 この書物には、脱炭素/脱原発問題を含める環境問題や、最近のコロナウイルス問題も含まれていて、私はまだ完全に理解するには読み込めていません。
何れある程度理解出来ればその時点で概要を紹介させて頂くつもりですが、今暫く時間がかかりそうです。


 そんな時、毎日新聞で5月21日と25日の2回に亘り、毎日新聞の村尾哲記者が斎藤氏にインタビューする形で、巨大ITシステムの持つ問題点を纏められており、上記の同氏の著作とも共通する内容で大変興味深く読ませてもらいました。


 何とかパソコン(文書作成やメール/ブログと色々な検索機能)と携帯電話(通話のみ)は使っているが、色々なSNSやアプリとか、いわゆる「便利機能」を使いこなせていないというか、何か胡散臭さを感じて本能的に拒絶している私には納得できる所が多い内容で、その主なポイントについて新聞記事を引用しながら紹介しましょう。 


 数回にわたる書き込みとなりますが、お付き合いいただければ幸甚です。(まさ)