老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

巨大ITの問題点と「データ主権」  その④ ~PFの囲い込みからの脱出~

2021年06月19日 19時39分14秒 | その他

◆前項で見てきたように、大事な個人データが貴重な資源として、PFに集積され、ビッグデータの主要な要素として新しいビジネスに利用されていますが、この状態を「データ資本主義」と呼ぶ人もいます。

 それ程に個人データは21世紀の石油ともいわれるように重要な資源なのです。
また、私たちの生活全体が知らず知らずのうちにPFに吸い上げられるというモデルは、資本主義よりも(領主が農民から地代を吸い上げる)封建制に近いという指摘する人もいるようです。

◆そもそもコンピューターが開発され、PCがある程度普及の兆しを見せ始めた時には、インターネットの理念は「水平的で民主的な空間」であり、誰もが対等の立場で対話できたり情報を入手できるのが大きな魅力となっていたはずです。

 しかし、コンピューター技術やデータ蓄積/解析などの周辺技術が思いもかけないスピードで進歩し、このシステム開発をリードしたPFとかGAFAと呼ばれる所にデータが集中的に蓄積され始めたのです。

◆従って、 “個人データの主権者は自分自身であることを自覚し、自分のデータを渡す・渡さないは自分自身で決めることが大切“といっても、個人にとっては実際問題どのPFに対してどの様に対応するかは非常に難しい線引きとなりますので、いっそのこと個人情報はPFの物ではなく、社会全体の財産として共有し、安心できる管理/運営方法を模索して行くのも方法ではないでしょうか?

◆事実、EUや英国では、政府や裁判などで個人の権利保護のルールを強化しているようですし、中でもス、ペインのバルセロナでの動きが注目されています。

・バルセロナはご存知のように世界的に有名な観光地であるだけに、観光客の殺到に拠りいわゆる“オーバーツーリズム”で市民生活が圧迫され、これからの脱却を目指し市民の生活を守るための町づくりを目指す様々な検討・提案がなされました。

・このバルセロナは元々協同組合の活動が活発だったようですが、上記のような活動の中で、地球環境保護の為の様々な行動目標設定と共に、「情報インフラの民主化」という目標も掲げられて、個人に関する情報も協同組合のように皆で管理して恩恵やサービスをシェアしようという動きが出て、地元密着型の「シンディム」というPFを作ったと言われています

・更に6月13日の新聞報道によれば、GAFAの発祥地で資本主義の権化ともいえる米国でも、独占禁止法に基づいてGAFAの活動を制限しようとの法案が下院の超党派議員の手で提出された由です。


 また、人と地球資源や環境を搾取しながら進む現在の資本主義システムの中で、今迄通りのライフスタイルを続ける事自体が地球の環境負荷を増すことを考えれば、地球が抱える危機を止める為には、やはり経済成長を前提とする社会システムそのものを見直さざるを得ないのではないでしょうか。

 日本は殆ど全ての資源を輸入に頼りながら、相も変わらずに将来の地球の在り方など気にもせずに経済成長を最大の目標として突き進んでいます。

 幸か不幸か、日本は少子高齢化の影響を最先端で経験する国ですし、更に今回のコロナ問題で“オーバーツーリズム”による問題点が浮き彫りにされています。

 そう言う意味では今後の国の在り方を検討するのに絶好の機会である様にも思え、その際には国民の個人データを巡っても既存のGAFAやPFに頼るのではなく、真に国民を守るためのデータ収集・蓄積方法や活用方針を民主的に検討すべき絶好の時期なのではないでしょうか・・・(まさ)