人をののしったり貶したりする場合によく遣う言葉ですが、私は、“給料を受けて生活したり、仕官して俸禄をもらう”場合に使う「禄を食む(ろくをはむ)」という言葉の「禄」に由来していて、“仕事もなく、まっとうな生活をしていない”と言う意味とばかり思っていました。
見事に違ってました。
意味的には、確かに“のらくらしていて役に立たない者”と言う事で、私が思っていたのとそれ程大きくは違っていないのですが、漢字で書けば「陸でなし」或いは「碌でなし」となるようで、「禄でなし」ではなかったのです。
「陸」も「碌」も、“平らであること、正しいこと、まともであること、標準的であること”などを意味し、それを否定した「ろくでなし」は、歪んでいて、ワルくて、まともではない状態をいうようで、「ろくでもない」「ろくに話もできない」も同じような遣われ方のようです。
そういえば、「ろくでなし」という罵りは、悪いこと全部に遣うのではなく、どちらかというと“人の道を外れている”というような場合に遣うことが多いですね。
私は、「ろくでなし」と聞くと、かってアダモや越路吹雪が歌っていたシャンソンの曲を思い浮かべますが、その歌の印象の為か、「ろくでなし」という言い方はどこか人間くさくて愛嬌がある様にも思うのですが・・・(まさ)