先日、TVで「バタフライエフェクト」という2005年製作の映画をやっていました。
ごく小さな差違が、将来的に予測不能な大きな違いを生じるというカオス理論を取り入れ、愛する人を救うために自分の過去を書き換えようとした男性を主役にした異色サスペンス映画ということでしたが、あまり面白くなくて途中でチャンネルを替えました。
なぜこの映画を観る気になったかというと、バタフライ効果(butterfly effect)という言葉は以前に聞いており何となく記憶に残っているものの、その正式な意味を知らなかったので、少しでも判ればと思った次第です。
結局、この映画からは何も得られなかったので、改めてWIKIPEDIAなどで少し調べてみました。
物理学や数学に疎い私には中々理解しがたい内容でしたが、概略下記のようなことだとの自分なりの理解に至りました。
・自然現象は、時間の経過に従ってその状態を変える
ニュートン力学では、そのような自然現象の変化の法則、すなわち物体の運動の法則を発見し、将来の状態を予測する方法を確立させていった。
・しかしカオス理論(或いは、「カオス力学」」の発見により、ニュートン力学的法則に従うような系でも確率論的にランダムかのような振る舞いを起こし、なおかつ、初期値のわずかな差が将来の状態に無視できない大きな差を発生させる現象がありえることが判った。
要するに、力学系の状態にわずかな変化を与えると、そのわずかな変化が無かった場合とは、その後の系の状態が大きく異なってしまうという現象をいうようです。
これらの現象が、何故にバタフライ効果と呼ばれるようになったかという経緯については、このカオス理論に関して気象学者のエドワード・ローレンツが1972年にアメリカ科学振興協会で行った講演のタイトル"Predictability: Does the Flap of a Butterfly's Wings in Brazil Set Off a Tornado in Texas?"(予測可能性:ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきはテキサスで竜巻を引き起こすか?)が、非常に印象的だったことに由来するようです。
しかし、このバタフライ効果は1987年のジェイムズ・グリック(James Gleick)の著書"Chaos: Making a New Science"(邦題:カオス―新しい科学をつくる)では、「今日の北京で1匹の蝶が空気をかき混ぜれば、翌月のニューヨークの嵐が一変する」という形で説明されておいていて、ブラジルが北京に、そしてテキサスの竜巻がニューヨークの嵐に置き換えられています。
更に、ポピュラーカルチャーでの例としては、1990年の映画『ハバナ』でロバート・レッドフォード演じる主人公が「1匹の蝶が中国ではばたけば、カリブでハリケーンを起こす」というセリフを話すシーンがあり、ここではテキサスの竜巻がカリブのハリケーンに替わっているようです。
しかし、いずれの場合も、力学的に極めて小さな動きの象徴として元の「蝶の羽ばたき」はそのままなので、バタフライ効果という言葉が、しっかり定着しているのでしょう。(まさ)