普段は何気なく使っているのに、「その意味は?」と改めて問われると、返答できない言葉が沢山ありますが、今回紹介するのは漢字交じりにすると、全て「兎」と「角」で、その意味や違いなどが非常にややこしいです。 本当に日本語は難しい・・・
(1)とにかく(兎に角)
「兎に角」という字を見て、『へぇ! ウサギに角があるの?』と反応した高校生がいたとか・・・
現在では漢字混じりではなく、平仮名の「とにかく」が一般的なようです。
・「と」は<そのように>、「かく」は<このように>という意味を指す副詞で、副詞が組み合わさってできた単語で、“なにはともあれ、さておき”といった意味で、<他の事柄は別問題として>という気持ちを表すことを意味しています。
・「とにかくに」という形で平安時代から使われていた言葉で、昔は<あれこれと><なんやかんや>といった意味で使われていたと言われていますが、夏目漱石がよく使っていたことで、広く知られるようになったと言われています
・それが、何故「兎に角」という漢字が当てられるようになったのには、仏教語の「兎角亀毛」からきていると考えられています。
「兎角亀毛」は、<兎の角>+<亀の甲羅の毛>で、実際には存在しないというところから生まれた言葉で、“ありえないさま”といった意味合いがあります。
しかし、「兎に角」と「兎角亀毛」は、実際には全く関係のない言葉で、「兎に角」は、「兎角亀毛」の漢字を拝借してできたのでは?と考えられています。
・よく似た言葉に「兎にも角にも」というのがありますが、「兎に角」は「兎にも角にも」を省略した言葉で、「兎に角」の方が広く一般的に使われています。
(2)ともかく(兎も角):
“いろいろな事情はさておき、何にしても”というような意味で、「兎に角」とほぼ同義語です。
敢えて違う点はと言えば、「兎に角」は「兎に角やってみよう!」のように、前文がなくても自然と使えるのが特徴です。
一方、「兎も角」は、いきなり「兎も角やってみよう!」では少し違和感がありますが、「結果がどうなるかわからないけど、兎も角やってみよう!」と前文があることで、使いやすくなります。
「兎に角」は、相手にはちょっとした威圧感が与えてしまうこともあるかも知れませんが、「兎も角」を使う場合には、ワンクッション文章が入るので少し優しい印象を与えることができます。
(3)「とかく」:
「とかく(兎角)」には主に、“色々”、“ともすれば”、“何はさておき”、“あれこれ良くない様”という4つの意味が含まれる言葉です。
対して、「兎も角」「兎に角」は“何はともあれ、さておき”という意味を表す言葉です。
したがって、「とかく」の複数の意味の中に「とにかく」の意味も包括されているということになります。
以上、非常にややこしい3つの言葉ですが、違いを端的に言えば、
「とにかく」・・・色々と問題はあるものの、それは置いといて他の事柄に触れること
「ともかく」・・・物事が不明確ではあるものの、先に行ったり判断すること
「とかく」・・・あれこれと物事が起きていること
「とにかく」と「ともかく」は細かい意味合いが異なりますが、ほぼ同じように使うことができます。
しかし、「とかく」には上記の意味以外にもたくさんの意味があるため、「とかく」を「とにかく」や「ともかく」に置き換えることはできないということでしょう。(まさ)
※ この項は<違い比較辞典><WURK><例文買取センター>などを参考にさせて頂きました。