老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

ショウブ・アヤメ・カキツバタ

2017年06月01日 20時37分00秒 | 園芸福祉・植物とのつながり
 早くも6月に入りましたね。間もなく梅雨入りということになるでしょう。今日はこの時期に相応しい話題です。

 先日、城北公園の菖蒲園を紹介しましたが、これを書いている最中に、“菖蒲とアヤメはどう違うの?”という事が気になりました。

 私は、園芸関係の仕事にも拘わっていましたが、植物の分類などの分野には弱く、更に昔からある「いずれがあやめ、かきつばた」という言葉の意味も気になっていましたので、これを機に菖蒲・アヤメ・カキツバタの違いを調べてみました。

 結果は想像以上に非常に複雑で、「ショウブ」と「アヤメ」は同じ菖蒲という文字を使うこと、更に「ショウブ」には“ショウブ”と“ハナショウブ”という全く違う科目の植物があることなど、かえって頭の中は混乱しましたが、自分なりに下記のように整理して見ました。
<なお、この件に関しては、RICOH Communication Clubや「“植物園にようこそ”青木繁伸(群馬県前橋市)」、WIKIPEDIAなどを参考にさせていただきました。>

◆先ず、ショウブにはショウブ(菖蒲)というサトイモ科植物と、ハナショウブ(花菖蒲)というアヤメ科植物の2種類があり、これは明確に区別しておく必要があります。

・ショウブ(菖蒲)  サトイモ科
全体に良い香があり,端午の節句に飾ったり菖蒲湯として使われるのでなじみは深いかもしれません。
ハナショウブやアヤメとは異なってサトイモ科植物で、花は咲くことは咲くけどきれいな花ではなく、蒲(がま)の穂みたいな黄色い地味なものです

・ハナショウブ(花菖蒲)  アヤメ科
単にショウブという場合は,たいていハナショウブ(花菖蒲)のことです。
葉がショウブに似ていて花を咲かせることからこの名がついたようです。
野生の野花菖蒲(のはなしょうぶ)を原種として改良された国産の園芸植物で、500年位の栽培の歴史があります。

◆次の問題は、アヤメ科植物には、サフラン/フリージア/ニワゼキショウ/パターソニアなど10以上の属があり、アヤメ/ハナショウブ/カキツバタ/ジャーマンアイリス/ヒオウギ/シャガ/キショウブなどは全てアヤメ属(IRIS属)に含まれるという事です。

従って、アヤメ/ハナショウブ/カキツバタは同じアヤメ科アヤメ属の植物として、大きな違いはなく、その区別は極めて難しいと言えましょう。
そのため、アヤメ類の総称として、ハナショウブやカキツバタなどを、アヤメと呼称する習慣が一般的に広まっているようです。

◆それでも、日本に昔から伝わる植物だけに、この3種を何とか区別したいと思う人も多いようで、様々な区別方法が見受けられますが、一番判り易い方法は次の方法ではないかと思います。

(ハナショウブ 花菖蒲)
・比較的大きな花で、花の種類は多く紫系統の他に黄色や白、絞り等、多彩であるがどれも、花弁の根元のところに黄色い目の形の模様がある。
・湿ったところに育ち、花期は5月下旬から6月下旬。

(アヤメ 菖蒲)
・花の種類は紫まれに白で多くないが、花弁の付け根に黄色と紫の虎斑模様(これをアヤメ<文目>という)がある。
・乾いた所に育ち、花期は梅雨時期。

(カキツバタ 杜若)
・カキツバタの色(青紫)を染み出させ布などに書き付けた、つまり衣の染料に使われたことから「書付花」と呼ばれていたのがなまったようです。
・花の種類は青紫のほか紫、白、紋などで、あまり多くないが、花弁の弁の元に白い目型の模様がある。
・水中や湿った所に育ち、花期は5月中旬から下旬

◆先日このブログで紹介したキショウブ(黄菖蒲)は、西アジアからヨーロッパが原産で、日本には明治時代に渡来し、いまでは各地に帰化しています。
水辺や湿地に生えて、高さは60~100センチほどになります。5月から6月ごろ、花茎の先に鮮やかな黄色い花を咲かせます。一日花です。外花被片にはひげ状の突起がなく垂れ下がって咲き、基部には褐色の条が入るのが特徴で、ハナショウブにもっとも近縁です。

◆最後に、昔からある言葉“いずれがあやめ、かきつばた”について
元々は、いずれ劣らぬ美人が二人いるときに使っていましたが、最近はいずれも優劣がつけ難いほど素晴らしいものを例えて使う言葉になっています。
ただ、単にどちらもよく似ていて見分けにくいものを言うわけではありません、美しい(素晴らしい)という前提条件が必要です。
(まさ)

以下の写真は、“植物園にようこそ”青木繁伸(群馬県前橋市)から引用させていただきました。


ショウブ アヤメ科の花とは全く違う花です

ハナショウブ

アヤメ

カキツバタ

キショウブ