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素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

師匠、呆然、口笛が

2023年04月19日 | 日記
 午後、ジムのトレーニングルームに入ると、窓の外を眺めて立つ「師匠」と呼ばれているAさんの姿が目に入った。外で何か事故でもあったのかと尋ねると「口笛が鳴らんのや」という意外な答え。ウグイスが近くの木で鳴いているので返事をしようと口笛を吹こうとしたが息ばかりでちっとも音が出ないことにショックを受けていたところだったとのこと。「若い時は、パッと吹けたのになあ」と吹いてみせるが確かに音はでない。

 私も10年ほど前に同じような経験をした。志摩の実家に向かう車中で流していた音楽に合わせて口笛を吹こうとしたが鳴らないのだ。「どうしたことか?」と愕然とした。師匠の気持ちはよく理解できる。

 その時、唇を含め周辺がやけに固くなっていると感じたので「あえいおうあお」と口を大きく動かして発声練習をしたり唇をブルル・・・と振るわせたりして口周りの筋肉をほぐした。伊勢道路を抜ける20分ばかりやっていた記憶がある。客観的に見ればとても滑稽な光景だった。そのおかげか、実家に着いた頃には口笛らしくなってきた。

 筋肉は使わないと衰えるということを実感して、音読を意識するきっかけになった出来事だった。

 「師匠」は明るい方で、いつも大声で「おはようございます」とスタッフに声をかけて入室し、よもやま話を一席ぶって準備をしてからトレーニングを始めるのが常だったが、コロナ感染予防で「マスク」「黙トレ」が呼びかけられ声を聞く機会がめっきり減った。そのような生活が3年も続くと口まわりの筋肉も衰え、それが口笛が鳴らないということにつながったのでは?と自分の経験も交えて話をすると納得してくれた。「口もしっかり動かしてウグイスに返答ができるようにするわ」とマスクをはずし、口をパクパクしながら腹筋を始めた。
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