シスターポリタは変わらなかった、何て言うんだろう。
ようこそ、と笑顔で迎えると言うよりも、やんちゃ兄弟を向かい入れてくれる感じ、そこには少し照れもあり、また人懐っこさもあり、また現れたの、と言う冗談めいた表情もするし、面白さもあった。
「チャ デベ?」(チャイを出してね)と私は、何の返事もしないで、すたすたとゲストルームに歩いて行った。
私とジョンはついて行き、テーブルに座ると、ちゃんと後から他のシスターがチャイとケーキを持って来てくれた。
シスターポリタは私たちにポットからチャイをティーカップに入れ、砂糖まで入れてくれた。
ジョンはチャイを運んで来てくれたシスターに「シスターポリタは良い院長なの?」と聞くと、そのシスターは笑い出し、「あとで教えてくれれば良いですよ」と言って、また笑わせた、シスターポリタも笑っていた。
一時間以上いろいろと私たちは話し笑った。
そのすべては到底書き切れないが、面白いところを少しだけ忘れないうちに書いておく。
ジョンがマザーが聖人になったけど、シスターはどうなの?と聞くと、「on the way」と答え、私たちを笑わせた。
確かにそうかも知れないが、そう答えるシスターが、さて、他に居るのだろうか、と思えた。
冗談とも本気とも取れる、またユーモアのセンスも良く、私とジョンはやっぱりシスターポリタが好きである。
書くか、どうか、迷ったが、まあ、日本に帰ってから、書くことにするが、シスターポリタがマザーの面白い話しもしてくれた。
シスターポリタは院長であるから、シャンティダンのなかでは一番偉いが、他のシスターたちと同じ生活をしていると言う。
部屋が特別に与えられる訳ではなく、食べるのも寝るのも他のシスターたちと一緒で、ただ院長にはテーブル一つが与えられていると教えてくれた。
時折、若いシスターが用事があるようで、私たちのところに来て、シスターポリタに話し掛けていたが、若いシスターはやはりかなり畏まっていた。
院長であるシスターポリタは威厳もあるのだと感じた。
それから、同じ敷地内にあるダニエルのいるブラザーの施設に行った。
私はどうしても私にカテキズムを教えてくれたダニエルと、私に洗礼を授けてくれたジョンを会わせたかった。
この機会を逃せば、私の生涯で二度と三人で会うことはないだろうと思ったからである。
ジョンは水曜日に帰り、私は四月の初めに日本に帰る。
そしてダニエルは八月終わり最終誓願式があり、それが終れば、ヨーロッパに行く予定であるから、私もカルカッタを離れれば、次はいつダニエルに会えるか分からない。
それにこれが最後のカルカッタになるかも知れないと思っているからである。
次あると思い、今日を生きるより、かけがえのない今日を生きる他ないのである。
二人はとても打ち解け、話し合い、微笑み合う、その姿を見ることがどれほどの喜び、恵み、幸せだったか、私はその私を知り切ることがないだろうと思ったほどだった。
ダニエルはこれで四回兄弟が会いに来てくれたと、ほんとうに喜んでくれた。
私もその喜びを全身に感じた。この喜び、神さまとマザーに感謝する以外、何があるのだろか。