今日は晴れた空があった。
バナナ一本と豆乳一杯を飲んで、ベランダで寝そべっていたあんを呼んで多摩川に向かった。
多摩川に行くと、あいちゃんとあいちゃんのお母さんが見えた。
「あん、あいちゃん、居るよ!行こう!」
そう言ってから、一緒にダッシュで沿線道路を渡った。
グランドに降りると、あいちゃんたちの姿は見れなかった。
たぶん、あいちゃん、沐浴しているかなと思い、川辺まで行くと、あいちゃんとあいちゃんのお母さんは座って多摩川を見ていた。
「おはようございます。あいちゃん、沐浴していたんですか?」
「いえ、いつも帰る時にここに座って多摩川を見るんですよ。ここが一番好きな場所なんです」。
「そうですか、ここは良いですね」。
遠くに行っていたあんもあいちゃんとあいちゃんのお母さんの姿を見ると飛んで近寄ってきた。
それから、あいちゃんと追いかけっこしてしばらく遊んでた。
あいちゃんに追い詰められるとあんは耳を平行し、尻尾をたらんとして、あいちゃんのお母さんの近くに逃げ込み、また走り出し、その繰り返しをして、楽しそうに遊んでいた。
あんは毎日ボール投げで鍛えているあいちゃんにはまだ適わないらしい。
あいちゃんはもう十分遊んでいたので、そこでお別れして、あんとまた少しボール投げをして遊んだ。
心地良い風がほんとうに気持ちが良かった。
あいちゃんのお母さんが一番好きな場所と言うのも、ほんとうに良く分かる。
天国に行ったとしても、自分はまたここにあんと一緒に来たい場所である。
ならば、そこは天国も同じであるようにも思える。
優しい愛に満ちた場所である。
一番好きな場所に座り、日々あるいろいろなことをまた省み、新たに新しいものを育むことが出来る場所である。
川が流れ、風を受け、鳥が飛んでいく先を見る。
地にはタンポポや小さな可愛い花たちが咲いている。
てんとう虫もいた。
あんも自分も微笑む。
あんも自分もここが大好きな場所である。
今日は太陽も微笑んでいた。
「あん、今日も楽しかったね」そう言って、多摩川から帰ってきた。