この写真は一か月ほど前、私の部屋で最後に撮った愛犬あんの写真である。
一か月ほどの介護を経て、先週末、あんは天国へと旅立った。
介護中から現在も私は泣いてばかりいる。
あんは大切な家族であり、私にとっては娘のような存在だった。
家からあんの存在が無くなると、こんなにも空虚な空間になるものなのかを私は行き場を無くし、立ちすくむこともあった。
愛犬との別れの辛さを分かっていたつもりであることが分かった。
とてつもない悲しみを分かっていたつもりであることを感じている。
愚かな私はあんとの別れなんか来ないと妄想していたことを目の当たりしている。
それでも、「ありがとう、あん」と呪文のように何度も口にしている、風の中に空に向かって言い放っている。
静かな朝と題したのは、あんが亡くなった翌日、耳の悪くなった母親が毎朝大きな声であんに話しかける声が聞こえない静かな朝に二階の部屋のベッドにいながら哀しくなったからである。
そして、私の家にあんの喪に服し、静かで哀しみに満ちている。
{つづく}