「吹上浜」
まず、市内から吹上浜を目指した。
東シナ海を見たかったからだ。
想像よりも早く市内から吹上浜の公園に着いた。
大きな公園の駐車場はがらがらで誰も居なく、少し歩くと広い芝生の広場でゲートボールのようなことをしているおばぁーちゃん二人と木の下でご飯を食べている家族だけしか居なかった。
あとは蝉時雨。
海を目指して歩き始めた。どこをどう行けばいいか、道路脇にあった地図を見たがよく分からなかった。
とりあえず、松林のなかの道を歩き始めた。
海が見えなかったから、いつまでこの松林が続くのだろうか、その浜は砂丘にもなっていたのでほんとうに着くのだろうか、あと何キロももしかしたら歩かなくてはいけないのか、少し心配もしながら歩いていた。
しばらく、歩くとなだらかな坂道が見えた。そこで空も見えた。
そこで期待は瞬時に膨れ、心配は消え、笑顔と元気が出てきた。
{つづく}