カレーを配りに出ると雨が降り始めた。
MCから出て、センターの向かいのドヤの壁に寄りかかるようにして立っていたおじさんがよろめきながらタバコに火を点けようとしていた。
彼の股間から下は濡れていた。酔ってそのまま排泄してしまっただろうと思った。
他の誰もそのおじさんには気が付かず、カレーを配る白髭橋の方に向かっていった。
自分も同じように「カレーを配った後でおじさんに洋服を渡せば良い」と思い、おじさんの姿を確認してから5メートルほど自転車を走らせたが、やはり止まった。
今出来ること、すぐにすれば良い。
あとカレーを配り終えて戻ってくる時間まで彼がその場にいることなど分からない。また少しでも早くその不快感を取り除き、また人のあたたかな声、誰かが心配していること、その思いをいち早く伝えることが何よりだと思った。
自転車を5メートル走らせる時間、行動するまでの決意が固まらなかった。その間、走馬灯まで行かないまでも、過去からの自分の後悔の絵図らがふつふつと上がってきた。
二度と戻らないその時に生きていること、過去にする前に今出来ることを丁寧に行う。
自分は自分の自由のなかから、それを選んだ。
MCに戻ると、すでに昼食を用意するためにほとんどの人は二階に上がっていて、あまりそこには居なかった。
寄付された洋服が仕舞われたタンスから下着、長ズボン、靴下を探した。
ほんとうはブラザーの誰かか委員長に許可を取らなくてはいけないことも知っていたが、それをせずにいち早く彼に洋服を届けようとした。
自分は自分の罪を意識し感じながら、洋服を持ち出した。
彼のいるところまで行くと、かなり酒の臭いした。彼はふらふらと左右にゆったりとよろめきながらタバコを吸っていた。
「洋服を持ってきたよ、はやくセンターに行って着替えると良い」
彼は顔を上げ、自分の顔を確認するとにわかに笑顔を見せ、「すいません・・・、ありがとう・・・、センターに行って・・・」しどろもどろに答えたが、酔いすぎていてしっかりと答えることは出来なかった。
罪を犯したが、これで良いと思った。
酔っている彼の記憶には残らないかもしれないが、不快感は取り除ける。風邪を引く可能性も低くなる。
自分は自分が罪人である確かな存在を大切に感じ抱きしめ味わい、雨を浴びながら白髭橋まで向かった。
それからもう自転車を途中で止めることはなかった。
MCから出て、センターの向かいのドヤの壁に寄りかかるようにして立っていたおじさんがよろめきながらタバコに火を点けようとしていた。
彼の股間から下は濡れていた。酔ってそのまま排泄してしまっただろうと思った。
他の誰もそのおじさんには気が付かず、カレーを配る白髭橋の方に向かっていった。
自分も同じように「カレーを配った後でおじさんに洋服を渡せば良い」と思い、おじさんの姿を確認してから5メートルほど自転車を走らせたが、やはり止まった。
今出来ること、すぐにすれば良い。
あとカレーを配り終えて戻ってくる時間まで彼がその場にいることなど分からない。また少しでも早くその不快感を取り除き、また人のあたたかな声、誰かが心配していること、その思いをいち早く伝えることが何よりだと思った。
自転車を5メートル走らせる時間、行動するまでの決意が固まらなかった。その間、走馬灯まで行かないまでも、過去からの自分の後悔の絵図らがふつふつと上がってきた。
二度と戻らないその時に生きていること、過去にする前に今出来ることを丁寧に行う。
自分は自分の自由のなかから、それを選んだ。
MCに戻ると、すでに昼食を用意するためにほとんどの人は二階に上がっていて、あまりそこには居なかった。
寄付された洋服が仕舞われたタンスから下着、長ズボン、靴下を探した。
ほんとうはブラザーの誰かか委員長に許可を取らなくてはいけないことも知っていたが、それをせずにいち早く彼に洋服を届けようとした。
自分は自分の罪を意識し感じながら、洋服を持ち出した。
彼のいるところまで行くと、かなり酒の臭いした。彼はふらふらと左右にゆったりとよろめきながらタバコを吸っていた。
「洋服を持ってきたよ、はやくセンターに行って着替えると良い」
彼は顔を上げ、自分の顔を確認するとにわかに笑顔を見せ、「すいません・・・、ありがとう・・・、センターに行って・・・」しどろもどろに答えたが、酔いすぎていてしっかりと答えることは出来なかった。
罪を犯したが、これで良いと思った。
酔っている彼の記憶には残らないかもしれないが、不快感は取り除ける。風邪を引く可能性も低くなる。
自分は自分が罪人である確かな存在を大切に感じ抱きしめ味わい、雨を浴びながら白髭橋まで向かった。
それからもう自転車を途中で止めることはなかった。