私の愛犬あんは注射が大嫌い。
今日、私は胸を痛めながら、あんに狂犬病の注射をさせるために動物病院に行った。
動物病院の傍まで来ると、もうあんはブルブルと震え始めていた。
その緊張と恐怖は私にも否応なしにうつるのである。
病院に入ると、もうあんは必死にそこから逃げようとする。
「イヤだァー!コワいー!」と聞こえるあんの声に、私もそうなる。
そうなるが、やはりやらなくてはならないので、私もあんとともに必死に耐えるのである。
あんの首輪を持ち、暴れるあんを抑え、注射はどうにか終わった。
すると、あんは終わったことがすぐに分かり、少し落ち着く。
「もう痛いことないね・・・」とでも、私に確認しているかのようにして、だんだんと安心していく様に、私もほっとする。
それでも、病院はあんにとって嫌な場所には違いなく、すぐにそこから出たがる。
病院を出れば、気持ち良いの青空があった。
きっとそれまでもあったのかもしれないが、いまちゃんと気が付いた喜びを感じながら、その下をあんと歩いた。
私たちは解放された気分を味わった。
窓を開けて、あんとドライブをした。
あんは笑顔になり、街の香りを楽しそうに嗅いでいた。
嫌なことが終わって、ほんとうに良かったと、二人で笑った。
さて、これから、あんにまたおやつをあげよう。
焼き芋とブロッコリーを少しだけ。
私が仕事に持って行くお弁当を作る間に。
私のパソコンの横にあるマザー・テレサのカレンダーにある言葉が目に留まった。
「大切なのは、それだけ持っているかではなく、どれだけ手放したか、どれだけ持っていないかです」
目に留まったと言うことは、いまの私に何かの意味を成している、その声を丁寧に聴こう。