昨年の12月9日に山谷に向かう電車のなかで途中まで書いていたものを書き終えました。
「やりました!」
狙いに狙い続け、一度は目の前で引き上げる時に落下して、悲鳴をあげたり、自分には釣れないのてみはないかと落ち込んだり、にもかかわらず、釣りに行く前はいつもたくさん釣れる妄想に取り憑かれたりしながら、日々が否応なしに流れて行ったが、やっと昨日、私はタチウオを釣った!
スーパーで買った5%引きの処理済みサンマを餌にした。
釣り始め、うんともすんとも言わないウキを見ていると、釣れる妄想が北風に一瞬にして持っていかれ、跡形もなく消え去り、悲しさだけを残して行った。
でも、しばらくすると水面はザワザワしていた。
カタクチイワシが回ってきた。
今度は一瞬にして希望が湧いてきた。
胸躍らせながら、水面に全集中していると、電気ウキが滲んで見えた。
それは水中に吸い込まれ、滲んで見えたのだった。
タチウオは捕食が上手くない魚と言われ、いったん加えたとして、それを持ち直し、食べ始めるとのこと。
焦って引き上げることはNGなのである。
そんなことは百も承知なのであるが、竿を思いっきり、もうあげたくてあげたくて堪らなくなっていた。
すると、滲んでいたウキが水面に上がってきた。
あっ、もしかして、吐き出しのか、とどん底に落ちたが、もちろん、諦めては居なかった。
次にウキが沈んだら、竿を引き上げようと思った。
私の願いが天に届いたのか、またウキが滲んで見えた。
そう、水中にウキが沈んで行ったのであった。
思いっきりと、竿を引いた。
しっかりと魚の感触が竿から両手に伝わった。
そこから幸せが全身に伝わった。
バラさないように、ドキドキしながらも、丁寧にやり取りを終えると、銀色の太刀がくねりながら、私の目の前に現れてくれた。
歓喜の声を上げ、心が躍り出していた。
綺麗なタチウオを前に大感動だった。
しばらく放心状態だった。
その時を十分に味わい、タチウオの血抜きをした。
ただの一匹のタチウオであるが、私にこの上ない感動を与えてくれた。
釣りはやはり楽しいのである。