ベランダでいまタバコを一本吸った。
ぽとりとしおれた朝顔が落ちてきた。
その朝顔は朝は青色だった。
いまはピンク色に近い紫色になり、しぼみ始め、その一番最初に咲いたであろうと朝顔がぽとりと自分の前に落ちたのだろう。
時の流れを知らせるように。
昨日は佐賀からりかちゃんが遊びに来てくれた。
あんは案の定大喜び。
そして、りかちゃんの食べ物を狙っていた。
自分は絶対に何もくれないと分かっているのだ。
八時には新宿で待ち合わせているコウ君に会いに行くために家を出なくてはならなかった。
がしかし、その前に酔って、二人ともしばらく寝ていた。
それをずっと待っていた者がいた。
あんである。
あんは二人がうたた寝をするまで、ずっと待っていたのだった。
獲物を捕るまで執念深く待つ野性をあんは忘れていなかった。
つまみをほとんど食べ、片付けていたが、ピーナッツがあり、それを食べていた。
そこに自分の野生の感が応戦した。
あんが何かしているとすぐに目が覚めたのだった。
気が付いた時にはピーナッツの入った皿のなかを舐めていた。
「ダメ!」と言ってすぐにあんを放した。
たぶん、舐めただけであろうと思っていたが、さっき散歩に行くとあんのうんちのなかにはピーナッツが何個かあった。
やはり食べていたのだった。
それでも、そのまま出てきて良かった。
下痢もしていなければ、アレルギーもないようだった。
細心の注意を払っていたにも関わらず、芋焼酎に負け、その自分に注意を払っていなかった。
そんな愚かな自分のまえにぽとりとしおれた朝顔が落ちた。
何か笑えた。
昨日はたくさんカルカッタのこと、マザーのことを話した。
仕事で予定よりは遅れてしまったが、久しぶりにコウ君にも会えて良かった。
人それぞれ、日々いろいろとあるだろうが、それを乗り越えていく力は必ず備わっているものである。
時にしおれ、色を変え、落ちる時もあるだろうが、決して、それがすべてではない。
瞬間であり、一部である。
全体から見れば、それは必要な一部でもありえるものである。