とぎれとぎれの物語

瀬本あきらのHP「風の言葉」をここで復活させました。小説・エッセイをとぎれとぎれに連載します。

「小名浜風力3」

2011-04-24 21:57:16 | 日記
「小名浜風力3」





         小名浜港(「マピオン大百科」より)

 私の耳の奥から子守唄のように響いてくる言葉がある。

 「小名浜風力3」

 この言葉である。子どものころ深夜、ラジオの天気概況で必ず小名浜が出てきた。「おなはま」という言葉の響きが何ともいえない円やかな感じで耳をくすぐった。私はまだ見ぬ小名浜というところを素晴らしいパラダイスのように思っていた。
 その地名をこの度の震災でまた聞くことになった。どこにある。その測候所は。被害はどうだったのか。私はひどく動揺した。
 調べるといわき市にあった。HPには次のように記してある。


 小名浜測候所は、1910年(明治43年)4月28日から、福島測候所小名浜出張所として福島県水産試験場で気象観測を開始しました。 1923年(大正12年)に現在地(いわき市小名浜船引場)に移転。1937年(昭和12年)に国営移管、翌1938年、小名浜測候所と命名され 観測通報等を実施してきました。
 平成20年10月より無人化となり、小名浜特別地域気象観測所として気象観測を継続しています。


 また、次のような記事も見つかった。


 福島県いわき市小名浜で9日、津波で一時浸水した桜(ソメイヨシノ)が咲き、地元の市民団体が「開花」を宣言した。
 咲いたのは、無人化された旧小名浜測候所敷地内の桜。かつての標本木に、6輪の花があるのを「小名浜まちづくり市民会議」が確認した。小名浜港に近い旧測候所にも津波は押し寄せ、桜の木も30センチほど水に漬かったという。例年通りに咲いてくれるのかと心配されていた。


 そうか。浸水したのか。
 それでも桜の木が春を告げてくれたようだ。よかった。よかった。

 「小名浜風力3」

 この言葉は永遠に私の耳の奥で響くことだろう。


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