3.11以後の日本

混迷する日本のゆくえを多面的に考える

日経のやさしい経済学:小塩隆士の生活保護と年金制度についての記事は違うのではないか

2015-10-10 15:00:45 | 現代社会論

2015.10.9日経のやさしい経済学で年金と生活保護について言及している。

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一橋大学教授 小塩隆士 公共政策を考える 第8章 年金制度を考える(8) 未納は生活保護に影響 

 年金は老後になっても生活に困らないための仕組みですが、最低限度の生活を保障するためには生活保護もあります。実際、生活保護を受ける世帯の4割以上は高齢世帯です。年金を受け取るには、何十年も保険料を支払う必要があります。一方、生活保護は、生活に本当に困っているのか審査を受ける必要がありますが、保険料は不要です。
 生活保護があるのに、なぜ強制加入の年金という仕組みがあるのでしょうか。経済学の伝統的な説明は、人々の「モラル・ハザード」に注目します。「年老いてから生活に困ったら生活保護で救済します」と政府がいえば、老後に備えた貯蓄をやめ、所得はすべて消費に回すという人が増えるはずです。
 そうすると世の中全体の貯蓄が減少し、工場や機械など資本ストックの蓄積に回すお金が減少します。経済の生産力が長期的に弱まり、生活保護に期待していた人たちを救済するだけの余裕が世の中になくなってしまいます。
 そうした状況を回避するためには、人々に保険料という形で強制的に貯蓄をさせる制度があったほうがよい、ということになります。ただ、現行の年金制度は賦課方式なので、強制貯蓄の仕組みとして年金を説明することには、少々無理なところがあります。
 むしろ「最低限度の生活を保障する生活保護に余計な圧力を掛けないためにも、年金に強制的に加入させ、保険料の負担を求めるとともに給付を保障すべきだ」という説明の方が説得力があります。
 そう考えると「『保険料未納が増えると年金制度が破綻する』という話は誤解だ」という指摘に、問題があることも分かります。未納の分は将来年金が支給されないため、年金財政に影響はないというのがこの指摘の根拠です。しかし、未納が増えれば生活保護に頼る人も増えます。現行の生活保護が、高齢貧困者の大幅増にどこまで耐えられるかは怪しいところです。老後の所得保障は、あくまでも年金の役割です。
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やさしくしようとしてこんがらがっている。
というか、老齢年金制度と生活保護について、歴史的形成過程をご存じなくて書いているという感じである。
エール大学で学位をとっても、イギリス福祉国家の形成過程については無知なのか?

老齢年金は当初無拠出だった。
そういう意味では生活保護的な制度だった。
ラウントリー先生のライフサイクルを生み出す調査があったはずで、その調査結果、つまり、高齢期はだれもが貧困化するので、年金制度が必要だという結果、それが無拠出老齢年金を作り出した。
が、無拠出では、財源がもたないので、その後社会保険方式を導入したのではなかったか。

今は元気な労働者が、将来の病気や障がい、老後に備えて現役時代から保険料を納める。それを原資として今の高齢者を支えるというのが賦課方式。
未納が増えれば、制度は危うくなることは確かだ。たくさんの人が保険料という形で参加すれば制度の安定性は保てる。
とはいえ、社会保険というのは会社などに属している労働者のものだから、失業などでその枠外の人は当然、発生する。
そういう枠外の人たちのために生活保護というのはあるわけだ。

今日の年金制度は国民年金の額があまりに少額なので、最低生活を維持する額ではない、そのために、生活保護にならざるを得ない人が大発生して、生活保護層の高齢者化が進んでいるのである。
国民年金加入者を確保し、保険料を払ってもらって、安定性を確保し国民年金の額を上げて生活保護以上にするしかないのである。

国民年金制度に税をもっと投入することが必要である。
それには、所得税や消費税を上げてそちらに向けなければならないだろう。

なにはともあれ、税収を確保して、繰り返すが、国民年金のみの世帯の年金額を生活保護以上のレベルにあげることが必要となっていることは確かである。

雇用政策を充実させて、若者雇用を活性化させて、今の若者の生活保護化の防止と若者が将来高齢期に至った時、生活保護にならないような予防策をとる必要がある。

若者も高齢者も二極化していて、下の極にいる人たちは、本当に大変な生活になっていると思われる。
生活困窮者が増えると結婚もしないし、子どもも生まれないので、社会が弱体化する。
社会そのものが疲弊するので富裕層も自分だけよいと思っていると大変なことになるので、よく考えたほうがいいよね。


コメント
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