3.11以後の日本

混迷する日本のゆくえを多面的に考える

出生前診断より妊娠中の女性労働者の母体保護を

2012-09-24 09:23:22 | 女性の地位
出生前診断にかんする議論がさかんだ。
いのちの選択につながるからいけない・・・、とか、これについて議論をするのはよいことだ。

出生前診断の議論も重要だが、同時に、障がいのある子だろうが無い子だろうが、とにかく産むことを選択した女性たちには全面的に社会は支える、これも重要だと思う。

妊娠中の女性労働者に対し、必ずしも保護されているわけではないようである。
先日の新聞で、過酷な労働環境のもと、早産、流産、低体重児の出産が多くなっているという記事をよんだ。
派遣や非正規雇用に従事する女性労働者、女性労働者はもともとこの手が多いわけであるが、妊娠を告げると解雇されることがあり、言い出せず、妊娠を隠して夜勤などを続けた結果、流産してしまったというような話もあるという。小林美希『職場流産-雇用崩壊後の妊娠・出産・育児』岩波書店 2011、参照。

妊娠出産ほど個人差のあるものはない。ましてや相対的に妊娠年齢が高齢化している現在の状況を考えると、個人差はもっとあるだとう。妊娠して無事に出産に至るまでの道のりはけっこう険しい。妊娠しても継続できるか否か実は危うい。

均等法で女性の社会進出が当然のこととされているが、妊婦にとって、過酷な労働環境にさらされることも多いのではないか。

昔は妊婦は農作業をし、あるいは、拭き掃除をしたりして、よく働いたものだ、といわれ、それにならって、昼間は外で男性並にはたらき、帰宅後や週末は家事をこなす、というような妊婦もいるのではないか。

実際、退職することなく、仕事を続行しながら、男性社会の中で、妊婦になることはかなり勇気がいることである。もともと過酷な職場、そんななかで、半人前しか働けないという申し訳なさが、心身を萎縮させ、血流を悪くし、子どもにも悪影響を及ぼしかねない。
妊娠出産は人一人を時間をかけてつくるという再生産活動である。もともと会社や工場、スーパーの競争原理、効率主義にはなじまない活動なのである。

看護や介護という女性依存率の高い職では、労基法すれすれ、夜勤や長時間労働が横行していて、断りきれないような環境でもあるようだ。もっともっと母体の保護を考えるべきである。

出生前診断の是非を議論するのもよいが、妊婦の母体保護のために社会がなにをすべきかという問題にも目をむけるべきだろう。




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