今週の朝日新聞の「うたの旅人」はシューベルトだった。このところ、うたの旅人は好きな歌がとりあげられることがなく、ほとんど読んでいなかったが、やっと読みたい記事がでて嬉しい。
シューベルトを生んだ街、ウイーン
冬の旅の菩提樹。
まあ、冬の旅のなかで、菩提樹だけをとりあげても意味がないようにも思えるが、それでも、「48人の若い女子」が歌うのをみるより、ずっといいことはたしかである。多分、48人が好きな人のなかでもシューベルトが好きな人もいるだろうが、だいたい層としては真逆なような気がする。
冬の旅のなかで、歌いたいと思うのは、今のところ、第4曲の「氷結」である。第1曲の「おやすみ」もいいし、
11.春の夢、それから、20.道標と21.旅宿
愛を失い、彼女の家の戸口にさようならのメッセージを残し、静かに立ち去る。絶望の中で追い詰められていく若者。
道に倒れて誰かの名を呼び続けたことがありますか~という切迫感で歌手は歌うべきかと思う第4曲
Ⅳ.Erstarrung
氷結
(自由訳)
僕は雪の野原で、ただひたすら、あの人の足跡を探している
輝く季節にあの人と腕を組み歩いたこの野原で
あの時の僕たちの足跡をたどっている
僕は泣きながら雪の野原に口づける
僕の熱い涙が雪を溶かす
あの時の緑の野原を見たくて
熱い涙よ、氷も雪も融かしてくれ
大地が見えるようになるまで
ああ、あの花が咲き乱れていた野原はどこにいってしまったのだ
花は枯れ、色あせてしまった
どこに緑の草があるんだ
それはあの人の愛と同じ
愛の苦しみだけが残っている
この苦しみだけがあの人のことを思い出させてくれるものだ
僕にここから苦しみ以外何も持って行くなというのか?
この苦しみだけが僕に残されたものなのか。
僕の心は死にそうだ、
凍りつくあの人の姿に
僕の心は凍え死ぬ
僕の心に凍り付いて離れないあの人の姿
いつかこの凍れる心が融け、あの人のことを忘れる日がくるのだろうか
そんな日は来るはずがない(来て欲しくない)
アンスネスの伴奏で、ボストリッジが冬の旅を歌っている。
もちろん、デイースカウも歌っている。
女性も歌っている。白井光子さん、シェーファー。
内藤明美さんの冬の旅全曲のコンサートに行ったことがあるが、女の歌う冬の旅も鬼気迫るものであった。漢字一字で表すとすると「怨」