改造社ビル。中央区銀座5-13。1992(平成4)年2月16日
前の大通りは昭和通り、写真左が晴海通りとの三原橋交差点。中央のビルが改造社ビルで、今も健在だからけっこう有名だ。改造社書店と日之出寿司本店が入っている。正面の右半分がタイルや瓦が剥ぎ取られて壁面を白く塗っている。装飾を施した古いビルがどのように経年変化するかを、まともに見せられる思いである。普通ならタイルや瓦の剥落を恐れて事前に取り去ったことが考えられる。しかしそれなら半分だけ改修するというのも変だ。改修をした人が古いビルはみっともない、と考えて真新しいビルに見えるように直したのかもしれない。今ならちょっと考えられないが、昭和初期に建てられたビルが普通に存在していた頃なら、こういう例はけっこうあったような気がする。
現在では下右の写真のように、改修によって瓦はなくなってしまった。
改造社ビルの左に越中屋商店が入っているビルは林ビルというが、やはり戦前の古いビルである。現在は三原橋交差点角のぎんざ日之出寿司と林ビルは「デュープレックス銀座タワー(2006年10月竣工)」に替わった。
左:1986(昭和61)年5月11日、右:2000(平成12)年1月19日
ウィキペディアで、改造社書店が雑誌『改造』と円本の改造社の末裔と知って驚いた。今の今まで出版社の改造社とこの改造社書店とが結びつかなかったのはうかつだった。ただし改造社ビルが、改造社が建てたかとなると疑わしい。昭和10年頃の火保図では「采女会/倉」、昭和30年代のそれでは「三原橋ビル/不二貿易KK他六社」という記載だ。
改造社の円本、『現代日本文学全集』の1冊が手元にある。15年ほど前に神保町で100円で買ったものだと思う。昭和5年の発行で、奥付の住所は東京市芝区愛宕下町4-40だ。残念ながら「定価1円」という文字は入っていない。
昔の出版業界については、ぼくはもっぱら『私の岩波物語』(山本夏彦著、文春文庫、1997年)を参考にしている。
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専門の研究者なども、古いビルであってもこのような現状であるビルに関しては触れたがらないようなので、詳しいことは不明のままですね。