ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




桜湯。荒川区南千住1-5。1989(平成1)年2月19日

写真手前の通りは明治通り。右手にすぐ常磐線のガードで、その先は三ノ輪の大関横町交差点。昭和22年の航空写真を見ると、明治通りの南側は東京大空襲による焼け跡が広がっているが、北側は隅田川まで焼失を免れたようだ。『戦災焼失区域表示帝都近傍図』では、桜湯の右から後ろにかけて建物疎開をしている。
『銭湯遺産』(町田忍著、戎光祥出版、2007年、6264円)によると、大正元年には営業していたらしい。なんと、番台と玄関の柱には、明治43年の荒川大洪水時の床上浸水の跡が残っていたという。明治通りの拡幅にともない、昭和5年に建物全体を後ろへ下げた。その際、玄関や塀、浴室のタイル部分を改装した。浴室のタイル絵はその時に制作されたらしい。入口両脇の腰の部分にもタイル絵がある。1999(平成11)年2月28日で閉店した。
現在は「ラ・アトレ千住三ノ輪」(14階建26戸、2001年5月築)というマンションに建て替わった。タイル絵はたぶん誰かが何処かに保存しているのだと思う。

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