ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




内野邸。神奈川県小田原市板橋。2012(平成24)年4月7日

箱根板橋の旧東海道沿いの中でも目立って目を惹く建物で、また重要な建物である。通りに面して蔵(店蔵)と土蔵造りの母屋(店舗兼用住宅)と隠居処(通りの側は上に窓を開けた漆喰の壁をのせた板塀)が並んでいる。裏には醤油醸造の工場や倉庫が残っている。
現在、「 板橋まちなみファクトリー」というボランティア団体によって、土日を中心に内部公開がされている。150円の入館料では リーフレットの費用くらいにしかならないのではないかと心配だ。これからの維持管理には市や県の補助が必須だろう。
建物については『 庭園(歴史的建造物)保全活用推進員』というサイトに詳しい。1903(明治36)年11月に店蔵、文庫蔵、穀蔵が建った。大工棟梁は板橋村の鈴木卵之助という人で、鈴木工務店は今も続いているらしい。
母屋の右の石造アーチが店舗の出入り口で「武功醤油醸造工場」の看板がかかっている。廃業したのは昭和55年という。

板橋まちなみファクトリー>歴史と背景』に、小田原電気鉄道の路面電車(小田原駅行きらしい)が内野醤油店の前を通過している昭和9年の写真が載っている。店のすぐ東の電柱に「上板橋電車停留場」の標示板があり、子どもを背負った女性が電車を待っている。この写真で路面電車が旧東海道を走っていたことが判った。翌昭和10年には箱根登山電車が小田原―箱根湯本間で開通し、路面電車は箱根板橋―小田原間に短縮される。



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