ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




東京電力山崎発電所早川取水堰
神奈川県足柄下郡箱根町湯本。2011(平成23)年11月24日

国道1号の旭橋と函嶺洞門との間、国道のすぐ脇に見られる早川のダムである。この規模では正式にはダムとは言わず取水堰というらしいが、まあダムでいいだろう。右岸の柱のような構造物の、船のような平面形と、その形のまま入口の前に突き出した庇の造形に惹かれるものがあった。
調べてみると、 『山口文象のモダニズム建築 作品新発見か』というサイトが見つかった。HPは伊達美徳という人が製作している 『まちもり通信』で、『山口文象人と作品』の中のレポートのひとつである。伊達氏は都市計画やまちづくりなどの専門家らしく、山口文象に関する著書もある。『新発見か』では雑誌「建築土木工事画報」(1936年11月号)の記事を紹介して、山崎発電所の入口に当たる上屋と取水堰を山口文象の設計だろうとしている。1936(昭和11)年の完成である。
ダムの両端の建て屋は、「当初は可動性のローリング・ゲートだったので、そのゲートの左右に巻上機用の建て屋が対の形で建っている」もの。左岸のプレハブのような建て屋は現在のゴムゲート式に改造したときに建てたものだろうという。


山崎発電所
箱根町湯本
2011(平成23)年11月24日

山崎発電所は取水堰から2km下流の同じ箱根町湯本の山崎地区にある。国道のすぐ脇にあり、登山電車からもよく見えるのだが、ぼくは今まで気がつかなかった。左の写真では建物の特徴がよく判らないが、敷地の外からではこの角度で撮るしかなかった。『新発見か』にはすばらしい写真が載っている。
発電機は地下にあるわけだが、水導管を箱根登山鉄道の線路をくぐるようにしたからだろう。観光地としての美観に配慮したからでもあるしい。 『水力発電所ギャラリー>山崎発電所』によると、運用開始:1936(昭和11)年10月、出力:最大1500KW、常時1080KW、有効落差:59.05m、取水位標高:107.14m、放水位標高:41.48m。
取水堰からの水路は湯本用水路というらしいが、一部は、江戸時代の工事による荻窪用水を改修したものらしい。ちゃんと調査すればおもしろい発見がありそうだ。

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