ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




吉野寿司。文京区根津2-21。2000(平成12)年5月3日

不忍通りの根津小学校入口交差点のところに区立根津図書館(不忍通りふれあい館)がある。写真手前の空き地は図書館裏の広場で、不忍通りの裏通りと不忍通りから入る横丁(根津観音通り)との四つ角の角にある。このあたりなら「あんぱちやの角」といえば分かりやすいかもしれない。あんぱちやは日用雑貨の店だが、他店にはない、ちり紙、ブリキのたらい、わらじなどの品揃えがすごいことで有名だ。変わった店名だが、創業者が岐阜県安八郡の人だからだという。この四つ角は、旧町名の根津八重垣町・根津藍染町・根津片町が接する場所だった。
『不思議の町 根津』(森まゆみ著、ちくま文庫、1997年)に、観音通り商店街の成り立ちが書かれている。戦後、観音通りとなる狭い路地の北側が、昭和18年頃に強制疎開で取り壊しになった。『goo古地図>昭和22年航空写真』を見ると、藍染大通りより広い道路が写っている。戦後、そこに東京都がバラックを建てて根津銀座に出ていた露天商を収容した。その際、入居した店は「文京更正商業組合」の名前で組織されたが、組合長の鱸正蔵氏の発案で、観音像をお堂を造って安置した。商店街の集客を狙ったわけだ。現在ではその観音様は久昌院という寺に移されたという。当書が書かれた当時は、そのバラックがまだ残っていたらしいが、今はどうだろう。


吉野寿司。2002(平成14)年4月28日

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