ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 



富士館。台東区浅草1-43。1985(昭和60)年1月

浅草ROXの北にあった元映画館。現在はパンドラ浅草店というパチンコ屋だがその建物は仮建築だろう。
富士館は1908(明治41)年に開業しているが、1912(大正1)年に後の日活になる会社が運営するようになり、日活の封切館になった。写真の建物は大震災後の昭和2年に改築したもの。設計=僊石政太郎、施工=清水組、構造=SRC 4階建。1800人を収容する巨大な映画館として建てられている。戦時統合が解けて1947(昭和22)年、日活が独立すると「浅草日活劇場」となる。1973(昭和48)年に閉館。(『ウィキペディア』参照)
そのあと、キャバレー新世界が入ったらしい。1959(昭和34)年、瓢箪池を埋立てた跡地に東急グループの、「娯楽の殿堂」を自称した「新世界」が建てられている。1972(昭和47)年に廃業したが、そこにあったキャバレーが旧富士館に移ったものかと想像できる。
右写真左の鉄板の塀は松竹映画劇場(旧帝国館)を取壊した跡である。この劇場も僊石政太郎の設計だった。1年前に来ていれば写真を撮れたかもしれない。



窓の間の黒い壁面は一見戸袋のようにも見えるが、アールデコ風の人物像のレリーフ。たぶん竣工時のままだと思う。1986(昭和61)年10月26日

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