ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

レ・ヴァン・フランセ(4/20) @東京オペラシティ 

2012-04-22 | コンサートの感想
私はどうも丸の内・大手町と言う場所が苦手だ。
地下通路が整備されているのはとても良いことだけど、いったん地上に上がると同じような高層ビルばかりで、私にはどこに居るのかさっぱり分からなくなってしまう。
先日も自分の会社のビルに入ったつもりが、まるで違うビルで、すっかり冷汗をかいてしまった。
「えーっと、皇居はあっちだから・・・」「こっちにJRが見えるから・・・」というように、順番に考えていかないと危ない。
東京に来てもう20年以上経つのに誠に情けない話だが、いつか慣れる日が来るのだろうか。
いささか心配である。

さて、一昨日、大好きなレ・ヴァン・フランセのコンサートを聴いてきた。
レ・ヴァン・フランセのコンサートは2009年の12月以来ということになるが、今回も最高に楽しい演奏を聴かせてくれた。
魂が震えるようなコンサートも勿論いいが、ときには、心がぱっと晴れやかになるような演奏も聴いてみたい。
この日の彼らの演奏は、まさに後者の理想像だった。
この顔ぶれをみてください。
こんなスーパースターたちが大好きな「お国もの」をやるのだから、当たり前と言われればそれまでだけど、彼らのパフォーマンスはそんな月並みな言葉を遥かに超えるレベルだ。
パユは相変わらず華やかだし、ペイエは豊かな音色で魅了してくれた。
またルルーの演奏を聴くと、私には天衣無縫という言葉しか浮かんでこない。
そして、このアンサンブルの凄さは、内側をバソンのオダンやホルンのヴラトコヴィッチという名人たちが支えているところにある。
この日も二人の妙技は際立っていた。
そんな管楽器の面々を、ポーカーフェースのル・サージュが、表情とは裏腹に細心の気配りを見せながら絶妙にサポートしていく。
あまりの見事さに、私はため息をつきながら、最後まで聴き惚れるしかなかった。

全ての曲が素晴らしかったのだけど、私としては、プーランクのトリオが一番印象に残っている。
第2楽章のあの美しいアンダンテを聴きながら、色々なことがあったこの一年を思い出して、いささか感傷的になってしまった。
前半のトリに据えられたペクの新曲も、斬新でとても面白い。
冒頭の尺八を想わせるフルートのフレーズで始まるが、全曲を通して流れる神秘的な響きがとても素敵だった。
プログラムの最後は、前回と同様、プーランクの六重奏曲。
「音楽って本当に楽しいでしょう。悲しい時もあるけど、そんなときこそ笑顔でいきましょう。皆さんそう思いませんか?」と言われているような気がした。

そして、アンコールは2曲。
2曲目のテュイレのガボットが本当にチャーミングだ。(前回来日時もアンコールで聴かせてくれた曲)
帰りの電車の中でも、ずっとその旋律が私の心の中で鳴りつづけていた。
次回は、是非ラヴェルやサン=サーンスのソナタなんかを聴いてみたいなぁ。

<レ・ヴァン・フランセ>
エマニュエル・パユ(フルート)
ポール・メイエ(クラリネット)
フランソワ・ルルー(オーボエ)
ラドヴァン・ヴラトコヴィッチ(ホルン)
ジルベール・オダン(バソン)
エリック・ル・サージュ(ピアノ)

<日時>2012年4月20日(金)19:00開演
<会場>東京オペラシティ コンサートホール
<曲目>
■イベール:3つの小品
■ニールセン:木管五重奏曲
■ティエリー・ペク:六重奏曲(レ・ヴァン・フランセのための委嘱作品、日本初演)
■プーランク:オーボエ、バソンとピアノのための三重奏曲
■ミヨー:ピアノ、フルート、オーボエ、クラリネットのためのソナタop.47
■プーランク:六重奏曲
(アンコール)
■ルーセル:ディヴェルティメント
■テュイレ:六重奏曲よりガボット

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