ようやく本日の名古屋を最後に、冬の「死のロード」から帰還しました。(笑)
仕事的にはなかなか充実した一週間で、体は確かに疲れていますが、心地よい疲労感というのか、とにかくほっとしたというのが実感です。
さて、移動中・ホテルで聴き込んだのが、このセルのディスク。
初めてセルの29番が聴けるということ、そしてベルリンフィルとのライヴということで、大いに期待していたアルバムです。
最初はその29番。
「ティントン タタタ・ティアタタ・ティアタタ ティントン・・・・」と続く冒頭の魅力的なフレーズ。
しかし、これが、ちっとも良くない。
何度聴いても良くない。
ティントンの「トン」が、やたら硬くて重いのです。
スウィトナーが、そしてケルテスが、あれほど自然に柔らかく聴かせてくれたメロディなのに・・・。
それだけではありません。
とにかくオケの集中力が散漫で、気乗りしていないことが見え見え。
残念ながら、このシンフォニーの最後まで、イメージが変わることはありませんでした。
続くハ長調のピアノ協奏曲。
これは、フィナーレに特に顕著ですが、ライヴの雰囲気が感じられてなかなか良かった。
しかし、セルにしては珍しく場面場面のつなぎに粗さが感じられ、私がこの曲の名盤のひとつだと評価している、スタジオ録音のフライシャー&クリーヴランドオーケストラ盤を凌駕するまでには至りませんでした。
というわけで、ここまでなら、このディスクを採りあげることはなかったでしょう。
そうです。メインのト短調のシンフォニーで、演奏はがらりと変わるのです。
まず第1楽章。
楽章全体を貫くヴィオラの特徴的な音型の扱い、しっとりとしたテーマの歌わせ方やデュナーミクは、既に晩年のスタジオ録音盤やあのジャパン・ライヴを思い起こさせます。
ベルリンフィルの合奏力の高さも、ここへ来て初めてその威力を発揮していますし、何よりもセルがスタイリッシュな鎧を脱ぎ捨てて、本質的にはロマンティックな音楽家であることを隠さないところに、私は大きな感銘を受けました。
5分~5分30秒あたりで最初のテーマに戻る直前に聴くデリケートな表現は、何よりの証左でしょう。
フィナーレの20秒過ぎで、ヴァイオリンが慌てて飛び出してしまうのは、ライヴならではのご愛嬌。
セルの唸り声?が何回か聴けるのも、ファンにとっては嬉しいことですね。
緊張感を徐々に増しながらエンディングを迎えました。
やはり、セルにとってもモーツァルトの40番は特別な音楽だったのかもしれません。
<曲目>
モーツァルト作曲
■交響曲第29番イ長調 K.201
■ピアノ協奏曲第25番ハ長調 K.503
■交響曲第40番ト短調 K.550
<演奏>
■レオン・フライシャー(ピアノ)
■ジョージ・セル(指揮)
■ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
<録音>1957年8月3日、ザルツブルク(ライヴ)
仕事的にはなかなか充実した一週間で、体は確かに疲れていますが、心地よい疲労感というのか、とにかくほっとしたというのが実感です。
さて、移動中・ホテルで聴き込んだのが、このセルのディスク。
初めてセルの29番が聴けるということ、そしてベルリンフィルとのライヴということで、大いに期待していたアルバムです。
最初はその29番。
「ティントン タタタ・ティアタタ・ティアタタ ティントン・・・・」と続く冒頭の魅力的なフレーズ。
しかし、これが、ちっとも良くない。
何度聴いても良くない。
ティントンの「トン」が、やたら硬くて重いのです。
スウィトナーが、そしてケルテスが、あれほど自然に柔らかく聴かせてくれたメロディなのに・・・。
それだけではありません。
とにかくオケの集中力が散漫で、気乗りしていないことが見え見え。
残念ながら、このシンフォニーの最後まで、イメージが変わることはありませんでした。
続くハ長調のピアノ協奏曲。
これは、フィナーレに特に顕著ですが、ライヴの雰囲気が感じられてなかなか良かった。
しかし、セルにしては珍しく場面場面のつなぎに粗さが感じられ、私がこの曲の名盤のひとつだと評価している、スタジオ録音のフライシャー&クリーヴランドオーケストラ盤を凌駕するまでには至りませんでした。
というわけで、ここまでなら、このディスクを採りあげることはなかったでしょう。
そうです。メインのト短調のシンフォニーで、演奏はがらりと変わるのです。
まず第1楽章。
楽章全体を貫くヴィオラの特徴的な音型の扱い、しっとりとしたテーマの歌わせ方やデュナーミクは、既に晩年のスタジオ録音盤やあのジャパン・ライヴを思い起こさせます。
ベルリンフィルの合奏力の高さも、ここへ来て初めてその威力を発揮していますし、何よりもセルがスタイリッシュな鎧を脱ぎ捨てて、本質的にはロマンティックな音楽家であることを隠さないところに、私は大きな感銘を受けました。
5分~5分30秒あたりで最初のテーマに戻る直前に聴くデリケートな表現は、何よりの証左でしょう。
フィナーレの20秒過ぎで、ヴァイオリンが慌てて飛び出してしまうのは、ライヴならではのご愛嬌。
セルの唸り声?が何回か聴けるのも、ファンにとっては嬉しいことですね。
緊張感を徐々に増しながらエンディングを迎えました。
やはり、セルにとってもモーツァルトの40番は特別な音楽だったのかもしれません。
<曲目>
モーツァルト作曲
■交響曲第29番イ長調 K.201
■ピアノ協奏曲第25番ハ長調 K.503
■交響曲第40番ト短調 K.550
<演奏>
■レオン・フライシャー(ピアノ)
■ジョージ・セル(指揮)
■ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
<録音>1957年8月3日、ザルツブルク(ライヴ)