ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

バーバー:ヴァイオリン協奏曲 with シャトー・モンペラ

2012-03-20 | CDの試聴記
最初の何小節かを思い浮かべるだけで、何となく幸せな気分にしてくれる音楽がある。
私にとっては、たとえばベートーヴェンの「田園」やラヴェルの弦楽四重奏曲がその代表格なんだけど、このバーバーのヴァイオリン協奏曲も、そんな音楽のひとつ。
第1楽章冒頭でヴァイオリンが奏でる柔らかく優しいメロディを聴くと、どんなときでも気持ちが和む。
そして遠くに壮大な夕焼けを見ているかのような美しい第2楽章、一転して無窮動で一気に駆け抜けるフィナーレ、いずれも実に魅力的だ。
20世紀のヴァイオリン協奏曲の傑作のひとつだと思う。

今聴いているのは、ギル・シャハムが合わせものの達人プレヴィンと組んだディスク。
音色の美しさ、表情の豊かさ、技術の冴え、いずれをとっても一級品だ。
久しぶりに聴いてみて、私は大きな感銘を受けた。

こんな名演にふさわしいお酒は・・・と考えて、シャトー・モンペラを開けることにした。
人気コミック「神の雫」で紹介されたので、ご存知の方も多いと思うが、へそ曲がりの私はすぐには買わなかった。
しかし、やはり一度飲んでみたいという思いがだんだん強くなってきて、ついに昨年末、3本ほど手に入れて飲んでみた。
美味しい!
やはり噂通り、素晴らしいワインだった。
それから、さらに何度かリピートして飲んで見たが、一度も裏切られることはなかった。
それで、先日「えいや」とばかり、1ダースを大人買い。
この思考回路は、CDの全集買いで懲りてるはずなんだけどなぁ(汗)
でも、気にしないでおこう。
だって、これでしばらくの間、また至福の時が過ごせるんだもの。

兎にも角にも、バーバーとシャトー・モンペラ、素晴らしいマリアージュです。

<曲目>
■バーバー:ヴァイオリン協奏曲 作品14
■コルンゴルト:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
■同 組曲《空騒ぎ》 作品11から
<演奏>
■ギル・シャハム(ヴァイオリン)
■アンドレ・プレヴィン(指揮&ピアノ)
■ロンドン交響楽団
<録音>1993年6月 ロンドン
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日露友好ショスタコーヴィチ・プロジェクト2012(3/4) @日比谷公会堂

2012-03-12 | コンサートの感想
あの日から、一年が過ぎた。
昨日の14時46分には、被災地の方々はもちろんのこと、多くの日本人が神様に祈りをささげたはずだ。
試練と言うにはあまりに大きなものだったけど、日本中いや世界中の人たちの祈りは、きっと神様にも届いていることだろう。
一日も早い完全復興を願わずにはいられない。

ところで、先週の金曜日は出張で秋田へ行ってきた。
秋田、3月、金曜日、講演・・・とキーワードを並べていくと、どうしても一年前の出来事を思い出してしまう。
しかし、雨模様の東京とは打って変わって、今年の秋田は快晴だった。
昨年途方にくれる我々を精一杯のホスピタリティでもてなしてくれた「メトロポリタンホテル」も、避難所としてお世話になった秋田拠点センター「アルヴェ」も、平時の活況を取り戻していた。
そんな中、セミナーも無事に終わり、一年前の忘れものを何とか受け取ることができたような気がする。
そして何よりも嬉しかったのが、昨年我々をご自宅に温かく迎えてくださったお客様に再会できたこと。
「日本人も決して捨てたものではない」と昨年書かせてもらったが、いまそれは確信に変わっている。

さて、いささか日が経ってしまったが、先週の日曜日に聴いた日露友好ショスタコーヴィチ・プロジェクトのコンサートの感想を。
そもそも私自身こんなイベントがあることを知らなかったのだけど、前々日にいつもお世話になっているminaminaさんにお誘いいただいて、幸運にも聴くことができた。
このコンサート、プログラムがいかにも通好み。
とくにメインのショスタコーヴィッチの14番なんて、名曲と言われながら滅多に聴けない曲なので、楽しみにして日比谷公会堂へ向かった。
前半はシチェドリンのカルメン組曲。
冒頭は、あの華麗な前奏曲をイメージしていたので、チューブラベルで神秘的に始まったときは一本取られた気持ち。
歌劇カルメンのダイジェスト版ではなく、シチェドリンがこのオペラを主題にして感じたままを音楽にしたという印象。
なかなか素敵な曲でした。
それから、ティンパニの音が実に良い音だなぁと思って舞台をみると、読響OBの菅原さんだった。
何かとても懐かしい気持ちになる。

後半はいよいよショスタコーヴィッチの14番。
「死者の歌」という表題で呼ばれることも多いが、作曲者がつけたものではないということで、この日は副題なしという形でプログラムにも記載されていた。
この曲は11曲からなる歌付きの交響曲で、ロルカ・アボリネール・キューヘリベーケル・リルケという4人の詩人の作品を元に作曲されている。
歌付きのシンフォニーというとマーラーの「大地の歌」を思い浮かべるが、私が受けた印象はまるで違う。
マーラーの方は諦観を感じさせるものの、全体にエネルギーは中だけではなく外へ向けても発散されている。
一方ショスタコーヴィチのこの交響曲の場合は、上手く言えないが、音楽全体が大きなドームのようなものにすっぽり覆われていて、いかに中から大声で叫ぼうとも、そのドームのバリアに弾き飛ばされて外へ出ることができないような感じがするのだ。
誤解を恐れずに言うと、結果的に地中深くどんどん沈潜していかざるを得ないので、正直救いのない音楽という印象を強く受けた。
しかし、その絶望の淵を常時覗き込むようなこの作品に、私は何故か強く魅かれる。
そして、そんな自分がちょっぴり怖かった。
ただ、この日タクトを振った井上道義さんは、「どんな逆境の中でも人は尊厳をもって生きることが可能だということを、この作品から教えられる」とパンフレットに書かれていたので、私もこの曲をもっともっと聴きこんだら、いつの日かマエストロのような境地に達することができるかもしれない。
もう少し時間が必要なことだけは事実のようだが・・・。

貴重な機会をいただいたminaminaさんには、ただただ感謝です。
コンサート後にお付き合いいただいた二次会を含めて、本当にありがとうございました。

<日時>2012年3月4日 (日) 14:30 開演
<会場>日比谷公会堂
<曲目>
■シチェドリン: 「カルメン」組曲(ビゼーのオペラ「カルメン」による)
■ショスタコーヴィチ: 交響曲第14番 op.135
<演奏>
■アンナ・シャファジンスカヤ(ソプラノ)
■ニコライ・ディデンコ(バス)
■井上 道義(指揮)
■オーケストラ・アンサンブル金沢
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J.S.バッハ:マタイ受難曲 by 聖トーマス教会合唱団&ゲヴァントハウス管弦楽団 (2/29) @サントリーホール

2012-03-04 | コンサートの感想
先週の水曜日、赤坂のサントリーホールでマタイを聴いてきた。
前日から関東は雪で、ひょっとすると「ホワイト・マタイ」になるかと思っていたが、コンサートが始まる頃には雪も止んでいた。
この日の席は、ステージ斜め後ろにあるLAゾーンの最前列。
分類上D席になっているが、敬愛するマタイを聴くのに何の不満もない。
期待とともに何か敬虔な気持ちで開演を待った。

ビラーと聖トーマス教会合唱団のバッハは、映像で何度も観たことがあったが、実演はこの日が初めて。
第1曲を導くビラーの表情とタクトを観て、私は「この人のバッハは信頼できる」と直感した。
ビラーは終始自分でも歌いながら指揮をしていたが、はったりのないヒューマンな暖かさを持ったバッハに私は深く感動した。
ソリストに若干の不満がなかったわけではないが、合唱とオケの見事さは特筆もの。
とくに5回現れる受難のコラールは、圧倒的な印象を与えてくれた。
中でも「血と傷にまみれ、苦痛と嘲りにみちた御頭よ」という歌詞で始まる4回目のコラールが、忘れられない。
緊張感をもって強く訴えかける合唱の後、リピートされた後、弱音で歌われる表現の見事さに私は涙が止まらなかった。
個別のアリアでは、ヴィオラ・ダ・ガンバの妙技が聴けた「甘き十字架」が素晴らしかった。
イエスの死の前後の表現は、もう少しドラマティックでも良かったと思うが、ビラーたちのようなスタイルも勿論有だと思う。
ただ演奏とは何の関係もないが、よりによってこの感動的な場面で、近くにいた4人の聴衆が揃って席を立ったことは残念としか言いようがない・・・。

それにしても、マタイと言う音楽の偉大さを、どのように表現すればいいのだろう。
聴くたびに、私は震えるような感動を覚える。
こんな人類の宝のような音楽を、毎年のように実演で聴くことのできる幸せに、ただただ感謝あるのみ。

J.S.バッハ:マタイ受難曲(全曲)BWV244
<日時> 2012年2月29日(水)18時30分開演
<会場> サントリーホール
<演奏>
■福音史家・テノール:マルティン・ペッツォルト
■ソプラノ:ウーテ・ゼルビッヒ
■アルト:シュテファン・カーレ
■バ ス:マティアス・ヴァイヒェルト
■バ ス:ゴットホルト・シュヴァルツ
■指 揮:ゲオルグ・クリストフ・ビラー(トーマス・カントール)
■管弦楽:ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
■合 唱:聖トーマス教会合唱団

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