ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

レスピーギ 組曲「鳥」

2005-08-31 | CDの試聴記
今日も休暇中です。
撮りだめしておいたBS・CSの番組を観たり、気の向くままCDを聴いたり、読書をしてゆったり過ごしました。
久しぶりに時間がゆっくり過ぎていく気がします。

今日ご紹介するのは、レスピーギの組曲「鳥」です。
今年が酉年なので・・・なんてことはなく、この曲以前から好きでよく聴いていました。

<曲目>
レスピーギ 組曲「鳥」
<演奏>
I・ケルテス指揮
ロンドン交響楽団

全部で5楽章からなる愛らしい組曲ですが、どの楽章にも鳥たちが隠れています。
第1楽章 前奏曲
ラモー家の「牝鶏」とパスキーニさんちの「郭公」が隠れています。
それから出だしの何とも軽やかで可愛いフレーズ。私には「どじょっこ、ふなっこ」のリズミックバージョンに聴こえます。
第2楽章は、ガロー宅の「鳩」さんです。オーボエの姿を借りた鳴き声がとてもきれい。
第3楽章は、再びラモー家の「牝鶏」の登場です。 最後はながーい鳴き声で終わります。
第四楽章は、17世紀生まれの野生の「夜鴬」(おー、一体何歳だ?)が隠れています。この鳴き声は、確かヴァン・エイクのリコーダー曲集にもあったような気がします。
第5楽章は、第1楽章以来久しぶりにパスキーニさんちの「郭公」が、装いも新たに登場。この楽章ではかなり自由に鳴いてくれます。
そして最後には、フーガ風のフレーズを経て、第1楽章の軽快なテーマが愛らしいチェレスタを使って帰ってきますが、まあ何と美しいこと。

ここまで上手くバロック様式を使って優雅に曲が作れるとは・・・。
さすがレスピーギです。
ローマ3部作もいいけど、第3組曲まである「リュートのための古風な舞曲とアリア」がお好きな方であれば、絶対気にいってもらえます。
是非、ご一聴を。








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芥川也寸志 交響管弦楽のための音楽

2005-08-30 | CDの試聴記
今週は、少し遅めですが夏休みをもらっています。
昨日から、水上温泉近くの上牧(かみもく)温泉というところに行ってきました。泊まったのは、ゆったりした立派な造りの旅館で、日に最大2組しか予約をとりません。昨日はたまたま他の客がなかったので、何と贅沢なことに事実上貸しきりということになりました。
料理は美味しいし、温泉は貸切状態ですからいつでも入れるし、女将さんをはじめとする家族的で気持ちのいい接客と相まって、もうこれ以上ない贅沢を味わわせてもらいました。しかもお値段はきわめてリーゾナブルなんです。
夕食時には、「てんからもん」という鹿児島の芋焼酎をいただきましたが、これがまた美味しいんです。焼酎好きの私には堪えられない一日になりました。

素晴らしい料理、酒、温泉、ときたら、次は素敵な音楽ですよね。
こんなとき重宝するのが、愛用のipod + B&Oのイヤホンという黄金のコンビです。聴きたいCD・気になっているCDをipodに詰め込んでいきました。
今日とりあげた芥川也寸志の管弦楽作品集以外に、トリスタンとイゾルデ(デ・ワールト指揮によるオーケストラ編曲版)、パルシファル(同)、マティスの歌ったシューマンの「女の愛と生涯」等、たっぷり素晴らしい音楽を堪能することができました。
それらについては後日感想を書きたいと思います。

<曲目>
芥川也寸志(作曲)
交響管絃楽のための音楽 (1950)
絃楽のための三楽章-トリプティーク (1953)
交響曲 第1番 (1955)
エローラ交響曲 (1957/8)
<演奏>
芥川也寸志(指揮)
新交響楽団
(1986年11月30日 ライブ録音)

今日とりあげた「交響管絃楽のための音楽」は、1950年のNHK放送開始25周年管弦楽作品懸賞で、團伊玖磨さんの交響曲第1番とともに特賞を獲得した作品で、芥川也寸志さんの事実上の出世作といわれています。
曲は2楽章構成で演奏時間も10分足らずの曲ですが、若々しく活力に満ちた素晴らしい作品だと思います。
第1楽章はアンダンティーノ。バルトークの管弦楽のためのディベルティメントを思わせるような雰囲気で始まりますが、中間部の哀愁を帯びた旋律が印象に残ります。
第2楽章はアレグロ。シンバルの一撃のあとトロンボーンによって奏でられる明るいリズミックな旋律が第1楽章と見事な対比を作ります。思わず口ずさみたくなるような変拍子の明るいメロディです。このあたりのいい意味での人懐っこさが、その後映画音楽の世界でも名曲を数多く生み出した芥川さんの真骨頂でしょう。
この曲がアメリカで200回以上も演奏されたという事実も、芥川さんの魅力をよく物語っていると思います。

このCDに含まれている他の曲についても、いずれも若き日の芥川さんの作品ですが、どの曲もそれぞれ独自の魅力をもった作品ばかりです。
とりわけ、私は「絃楽のための三楽章-トリプティーク 」に惹かれました。
「交響管絃楽のための音楽」と比べ、一層緊張感をもった緻密な作品です。
第2楽章で楽器を叩かせたり、第3楽章で祭りのリズムを絶妙に再現したりしていて、聴くものの心を捉えて離しません。

それから、最後に演奏者についてひとこと。
指揮者は他でもない芥川さん自身ですが、オーケストラは新交響楽団です。
このオーケストラはプロではありませんが、素晴らしく迫力をもった熱い演奏を繰り広げています。きっと芥川さんの厳しい練習がベースにあるとは思いますが、マエストロを尊敬する気持ちがこのような素晴らしい演奏を成し遂げたのでしょう。この「交響管絃楽のための音楽」については、ナクソス盤の沼尻竜典&都響の演奏も聴きましたが、私は芥川さんの自作自演の演奏のほうが好きです。
この活力に満ちた曲を、よりストレートに表現していると感じたからです。

武満徹さんや吉松隆さんの曲は昔から好きで、今までも多く聴いてきましたが、他の日本人作曲家の曲についても、これから積極的に聴いていきたいと思います。
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早慶ジョイントマンドリンコンサート

2005-08-28 | コンサートの感想
今日は、知人のお嬢さんが出演されるということで、久しぶりにマンドリンオーケストラのコンサートを聴きに出かけました。

<日時>平成17年8月28日(日) 13:30~
<場所>大田区民ホールアプリコ(大ホール)
<曲目>
第1部 慶應ステージ
 歌劇「アルジェのイタリア女」序曲 (ロッシーニ)
 歌劇「聖母の宝石」第三幕間奏曲 (フェラーリ)
 歌劇「マノン・レスコー」第三幕への間奏曲 (プッチーニ)

第2部 早稲田ステージ
 序曲一番イ長調 (ヴェルキ)
 「水上の音楽」より抜粋 (ヘンデル)
 歌劇「劇場支配人」序曲 (モーツァルト)

第3部 合同ステージ
  客演指揮者:長田雅人
 歌劇「皇帝の花嫁」序曲 (リムスキー・コルサコフ)
 弦楽四重奏曲第2番より「夜想曲」 (ボロディン)
 歌劇「イーゴリ公」よりだったん人の踊り (ボロディン)

コンサートの感想を書く前に、マンドリンオーケストラに登場する楽器について簡単にご紹介します。
●マンドリン
いわずと知れたマンドリンオーケストラの主役です。4コース・複弦の楽器で、調律はヴァイオリンと同じです。異なるのは、フレットがあることと、弓ではなくピックを使って音を出すことですが、通常1stと2ndに分かれます。
●マンドラ テノール
マンドリンを一回り大きくした楽器で、高音から中音域を受け持ちます。非常に肉感的な音が特徴です。
●マンドチェロ
マンドラをさらに大きくした楽器で、中音から低音域を担当し、楽譜はヘ音記号で記述されます。大きいだけに扱いにくい部分もありますが、名手の手にかかるとバスバリトンの声の様に聴こえるから不思議です。
●ギター
マンドリン族の楽器ではありませんが、マンドリンオーケストラにはなくてはならない楽器です。ピックを使わず指で直接弾いて音を出すので音色が暖かく、和音を弾くことができるのが特徴です。ハーモニーが薄くなった部分を埋めるとともに、リズムに変化をつけたり、メロディを弾くこともあります。
●コントラバス
皆さんよくご存知の楽器ですが、マンドリンオーケストラでも最低音を受け持ち、唯一弓を使う楽器です。(マンドリン合奏では、ピチカートも多く使われますが・・)
●その他
マンドチェロよりさらに大きなマンドローネという珍しい楽器もあり、まさに深く素晴らしい低音が魅力的です。また、フルート等の管楽器やティンパニ等の打楽器が入る場合もあります。

プログラムは3部に分かれていますが、第1部はイタリア、第2部はドイツ・オーストリア、第3部はロシアものという感じで、なかなか良く考えられたプログラミングだと思いました。
さて、簡単に演奏のコメントを。

<慶應ステージ>
このアンサンブルの持ち味は、ダイナミックで迫力満点の演奏スタイルです。
アルジェのイタリア女では、ロッシーニらしい愉悦感を感じさせてもらいました。
最も印象に残ったのは、3曲目のマノンレスコーです。各パートのソロもとても美しかったし、カンタービレが良く伸びる。アレンジも絶妙で、マンドリン合奏のために珠玉の名曲を残したU・ボッタキアーリの曲のような錯覚を覚えました。
また、最後のピアニシモが、このオペラの悲しみのドラマを感じさせるような表現で非常に感動しました。
ひとつだけ気になった点は、ティンパニに代表される打楽器のことです。打楽器が入ると確かに迫力がでるし音も分厚くなるのですが、上手く使わないとどうしても音が濁るのです。したがって、音量やマレットの選択には十分注意が必要だと思います。

<早稲田ステージ>
このアンサンブルの特徴は、響きの美しさです。
ヴェルキは、このコンサートで唯一のマンドリンオリジナル曲です。古典的で明るい曲想が魅力的ですが、早稲田大学のアンサンブルでは弱音が本当に美しかった。
素敵な演奏でした。
水上の音楽は、ギターが活躍するアレンジでしたが、大変楽しませてくれました。
通常のオケ版とは異なった魅力を感じました。

<合同ステージ>
ボロディンのノクターンは、美しい演奏でしたが、強拍のアクセントが少し気になりました。
最後の「ダッタン人の踊り」は、今日のコンサートの白眉の出来。
きっと十分な練習時間が取れなかったと思うのですが圧倒的な演奏。全員が本気で燃えて演奏している姿が感動的でした。

久しぶりにマンドリンオーケストラの音を聴きましたが、本当に懐かしかった。この音、この響き、奏者達の真剣な眼、学生時代に必死で練習していた頃を思い出しました。「このフォルテはもっと強く」とか難しいパッセージでは「もう少しだ、がんばれ!」とか、どうしても一緒に熱い気持ちで聴いてしまったので、あまり冷静なコメントができなかったかもしれません。
でも、今日は確かにマンドリンの熱い響きを堪能させてもらいました。


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CD Sheet Music

2005-08-27 | その他
昨日まで出張だったので、残務整理のため午前中から会社へ出勤しました。
とはいえ、来週久しぶりにまとまった休暇がとれることになったので、心は既にお休みモードです。
午後仕事を終えてから、銀座のヤマハへ。

注文していた「CD Sheet Music」が入荷したという連絡をもらったので、受け取りに行ったのです。
「CD Sheet Music」のことをご存知ない方も多いと思いますので、簡単に説明しますと、楽譜(主としてオーケストラスコア)のCD-ROMと考えてください。
例えばベートーベン管弦楽作品集を例にとりますと、1枚のCD-ROMの中には次のような曲が含まれています。
・交響曲全集(1番から9番まで)
・序曲集(コリオラン、エグモントをはじめとするほとんどの序曲が含まれています)
・ピアノ協奏曲全曲(1番から5番)
・ヴァイオリン協奏曲
・ヴァイオリンと管弦楽のための2つのロマンス
・合唱幻想曲
・戦争交響曲

これだけ収録されていて2,730円ですから、相当のお買い得とは言えますね。
ただ、ミスプリも皆無ではないようですし、版について特にこだわりをもった選択をしているわけではなさそうなので、「どうしても○○版のものでなければ・・・」という方には不向きかもしれません。
また、これらをプリントして実演に使用するとしたら、全てがPDFファイルなので相当膨大な作業になると思います。
しかし、私のように、気になったときに音の動きやハーモニーをちょっと確認したいという人間にとっては、非常に重宝すると思います。

今日は全部で5種類の「CD Sheet Music」を買いましたが、ベートーベン管弦楽作品集以外は次の通りです。
・チャイコフスキー管弦楽作品集
・モーツァルト管弦楽作品集
・ブラームス管弦楽作品集
・バッハ 声楽・合唱作品選集

これで、しばらく遊べそうです。

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シューリヒト&ベルリンフィル ベートーベン交響曲第3番「英雄」

2005-08-26 | CDの試聴記
一泊二日の大阪出張からようやく帰ってきました。
幸い台風にはほとんど遭遇せずにすんだのですが、逆に今日は台風一過でかんかん照りの暑さ。一日中背広を着ての活動だったので、正直参りました。

そんな暑さを癒してくれたのは、往復の新幹線でずっと聴いていたシューリヒトの「英雄」です。この演奏は、先日ひょんな場所から出てきた捜索中のCDとして記事の中に書いていたものです。

<曲目>
ベートーベン 交響曲第3番「英雄」
<演奏>
シューリヒト指揮
ベルリンフィルハーモニー管弦楽団
1964年録音 ライブ
(TRESOR FTS0105-3)

シューリヒトの「英雄」が何種類録音として残されているのか詳しくは知りませんが、おそらく最後の録音でしょう。
シューリヒトは1880年生まれですから、何と84歳の時の録音ということになります。
80歳を過ぎたマエストロのライブ録音とは到底信じられないこの雄渾な表現。かつこの風格。こんな凄い演奏は滅多に聴けるものではありません。

第1楽章の冒頭、アインザッツが少しずれていますが、これはライブならではのご愛嬌。前年に録音されたフランス国立管弦楽団との演奏も名演として知られていますが、この第1楽章については、今回のベルリンフィル盤のほうがはるかに落ち着いたテンポで風格があり、私はこちらに軍配をあげます。
第一主題がフォルティシモで高らかにうたわれた後、くっきり浮かび上がる木管の何と美しいこと!随所に現われるアクセントは、楔を打ち込むような強烈さですが、決して音楽の流れを分断することはありません。どんなに強奏させても音が濁らないのも、シューリヒトの素晴らしさを物語っています。
第2楽章は、ベルリンフィルの合奏力と表現力の高さをいやというほど見せつけてくれます。また、209小節から他のパートが突然休符に入る中、第二ヴァイオリンだけで奏されるド・ラ・ド・ラ・・・の意味深さ。もう、ただただシューリヒトの音楽の奥深さに感動するのみです。
続く第3楽章のスケルツォ。何と小気味良いリズム。シューリヒト流のアクセントも見事な効果をあげています。稀代の名演として知られるブルックナーの9番における第二楽章のトリオ、そうあのイメージに近いですね。私が知っている「英雄」のスケルツォ中で、これは最高の演奏です。
天才フルトヴェングラーも偉大なセルも、さすがにこのスケルツォではシューリヒトに敵いません。
フィナーレは、ベルリンフィルの圧倒的なパワーと表現力も相まって、快速なテンポで見事な演奏を聴かせてくれます。どんなに速いテンポでも、決して上滑りした表現にならないところがまた素晴らしい。

今まで「英雄」の演奏では、フルトヴェングラーとセルの演奏が私のマイ・フェイヴァリットでしたが、このシューリヒト盤も同格かそれ以上のポジションを獲得してしまいました。
録音もモノラルですが十分に明快で聴きやすい音質です。ただ第一楽章の7分過ぎに右チャンネルの音が少し小さくなる編集ミス(?)があり、これだけが玉に瑕です。それから、これだけの名演奏でありながら、このCDが現在非常に入手しにくいこともとても残念です。どこかのレーベルで正規にリリースして欲しいところです。

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ゲーゼ 弦楽のための2つのノヴェレッテ

2005-08-24 | CDの試聴記
ニルス・ゲーゼという作曲家をご存知ですか?
ゲーゼは1817年生まれのデンマークの作曲家で、時の名士であったメンデルスゾーンからも高く評価されていました。事実、彼の交響曲第1番はメンデルスゾーンによって初演され、大好評を博しています。だからというわけではありませんが、その伸びやかな明るい作風はメンデルスゾーンととてもよく似ています。
私が最初にゲーゼの曲に出会ったのは、メンデルスゾーンの弦楽八重奏曲とカップリングされていたゲーゼの弦楽八重奏曲をラルキブデッリ盤で聴いた時です。
メンデルスゾーンの弦楽八重奏曲が私の大切な曲であることは以前書きましたが、初めて聴くゲーゼのそれも負けず劣らず大変魅力的な曲でした。
そのとき以来ゲーゼのファンになった私は、CDを見かけるたびに少しずつ彼の曲を集めてきました。この「弦楽のためのノヴェレッテ」は、最近購入したそんななかの一枚です。
ちなみにノヴェレッテというのはシューマンの作品で有名ですが、「短編小説」という意味だそうです。

<曲目>
ゲーゼ作曲
ノヴェレッテ op53
ノヴェレッテ op58
<演奏>
ルイジアナ美術館合奏団
(CLASSICO491)

このノヴェレッテ、メンデルスゾーン的な明るく生命力に富んだ曲想で、メロディが本当に美しい。
一度聴くと決して忘れることはできないでしょう。
ドボルザークの弦楽セレナーデを思わせるような叙情性を持ちながら、何気ない優しさに満ちています。まさに癒し系の曲ですね。私も初めて聴いて、すっかりはまってしまいました。
演奏しているルイジアナ美術館合奏団というのは初めて聴くアンサンブルでしたが、なかなかの好演です。
録音もふくよかな弦楽器の素晴らしさを実感させてくれますし、国内盤がないのが残念ですが、機会があれば是非お聴きになっていただきたいと思います。

P.S
明日から1泊2日で大阪出張です。
「台風さん、こんにちは」の状況のようなので、心配です。
でも、まあ何とかなるか・・・。




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メンデルスゾーン 交響曲第5番「宗教改革」

2005-08-20 | CDの試聴記
昨日は久しぶりに猛暑。昼間はなんとか暑さを辛抱しながら、夜は期待に胸を膨らませつつ予定通り神宮球場へ。しかしなんと言うことか、高校野球の予選ならコールド負けになってしまうような一方的な大敗。2回で既に勝負は決まってしまいました。普段登場しないような選手を近くで見れたことが唯一の収穫か・・・。
「こらっ、なにやっとんじゃい! しっかり頑張らんかい。なめられたらあかんで!」と怒りつつ、今日も自宅で応援するんだろうなぁ。(何といじらしいファン心理!)

さて、今日は一日オフなので、さて何を聴こうかと迷った結果、メンデルスゾーンの宗教改革を聴きました。
いつもお世話になっているおさかな♪さんの練習記事に触発されて聴いてみようと思った次第です。

この「宗教改革」は第5番ということになっていますが、実際は5曲あるシンフォニー(弦楽のための13曲の交響曲を除く)のうち2番目に作曲されたもので、メンデルゾーン21歳の時に書かれています。
聴いたCDは、ブリュッヘン盤、トスカニーニ盤、マゼール盤の3種類です。アバドやカラヤン、ミュンシュといった他の指揮者の演奏も大変気になったのですが、とりあえず今日は3人のマエストロに決めて聴いてみました。

●ブリュッヘン指揮 18世紀オーケストラ(1995年ライブ)
まず最初は、さわやかな古楽器の演奏が聴きたくてブリュッヘン盤を選びました。
ライブ盤とは思えない落ち着きが感じられます。音の響きがとても美しい。
第一楽章の例の「ドレスデン・アーメン」は、非常にしっとりした表情。また終楽章のフーガの部分は、まるでバッハを聴いているような錯覚を覚えました。このあたりはまさにブリュッヘンお得意の表現ですが、全体に格調の高さが印象に残りました。

●トスカニーニ指揮 NBC交響楽団(1953年)
トスカニーニらしい覇気と緊張感に満ちた演奏。
第一楽章の構築性と第3楽章のカンタービレの美しさが印象的。ただ、録音がいかにも貧しいことと、強拍のアクセントがいささか強過ぎる点がマイナス材料。立派なんだけど、若きメンデルスゾーンの伸びやかさと新鮮さに対して少しそぐわない部分があるように感じました。

●マゼール指揮 ベルリンフィル(1961年)
これは素晴らしい演奏です。
この溌剌としていて活力に満ちた表現はどうだろう!
若かりし頃のマゼールにしか為しえなかった魅力的な演奏です。
第一楽章、主部に入る前のブラスの咆哮とそのあとの「ドレスデン・アーメン」の対比の見事さ。何より呼吸が素晴らしい。深々と歌いこんだフレーズの最後が本当に美しく、ドレスデンアーメンの部分では、思わずパルシファルの神聖な美しさと重ね合わせてしまいました。
この部分を聴くだけでも値打ちのある演奏です。
第二楽章は、一転して軽快な楽しい表現。どこか「真夏の夜の夢」のスケルツォを想い出させてくれます。
第三楽章は、短いけど非常に美しい楽章。ここでも深い呼吸が感動を呼びます。ベルリンフィルの中低音の表現力もものを言っていますね。
第四楽章も圧倒的な力感に溢れた名演。また中間部のフーガは緻密さと推進力の両方を兼ね備えた見事な表現です。

この演奏はあまり評判になっていないようですが、少なくとも私の中ではベスト1を争う演奏です。
正直、今日改めて聴くまではあまり印象に残っていなかったのですが、今まで何を聴いてたんだろう。
マゼールの音楽的才能の高さはたびたび語られていますが、「俺はこんな風に演奏したいんだ」という意気込みが直接伝わってくる若い頃のマゼールは格別に魅力的です。
他では、バッハの「ロ短調ミサ」やウィーンフィルを指揮したチャイコフスキーの交響曲全集など、いつまでも大切にしたいアルバムです。



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グラズノフ ヴァイオリン協奏曲イ短調 op82

2005-08-15 | CDの試聴記
セミの鳴き声が一段と強く感じるようになりました。
今日は60回目の終戦記念日です。戦争を知らない世代の私が、軽々しく終戦記念日について語ることなんて出来ません。
ただ、演出家の野伏翔さんの言葉としてプロレスラーの藤波辰巳さんが紹介されていた「人の世を動かしているのは、今、生きている人間だけではない」(8月12日付デイリースポーツ)という言葉を思い出しました。また、もっと若い世代である息子や娘たちはどういう風に感じているんだろう。一度ゆっくり話しあってみたいと思います。

昨日来、何故かグラズノフのヴァイオリン協奏曲が無性に聴きたくなって、何回も聴いています。
グラズノフは1865年生まれのロシアの作曲家ですが、この素晴らしいイ短調のヴァイオリン協奏曲は1904年に作曲されています。初演は大ヴァイオリニストのアウアー。この作品そのものもアウアーに捧げられています。

さて、今回は4人のヴァイオリニストで聴きました。
以下、簡単にコメントを。

●ハイフェッツ盤(ヘンドル指揮 RCAビクター交響楽団 1963年)
なんと言っても抜群の切れ味をもった演奏。さすがに定評のある名盤だけのことはあります。またアウアーの生徒であったハイフェッツの演奏は、単にスタイリッシュであるだけではなく、「インテンポで格調高く歌うとはこういうことだ」というお手本になるような演奏です。惜しむらくは、バックがやや非力なところか。ちなみに、ハイフェッツのグラズノフにはさらに30年位前の録音(バルビローリ指揮 ロンドン・フィル 1934年)がもう一種類残されており、私は音楽の伸びやかさという点からこの古いモノラル盤により魅力を感じました。ちなみにこのハイフェッツの旧盤はMasters Of Strings と題された激安10枚組のアルバムにも収録されています。

●オイストラフ盤(コンドラシン指揮 モスクワ放送交響楽団 1947年)
何という大らかさ。からだ全体がすっぽり愛情で包まれしまうような演奏です。
また、このオイストラフ盤では、からだの奥底から「こんな風に歌いたいんだ」という欲求がそのまま音になったようなオイストラフ独特の暖かい歌が聴けます。
第一楽章第二部アンダンテに至る少し前の静謐な美しさ、アンダンテに入ってからのソロヴァイオリンの見事なこと、また第三部のカデンツァの圧倒的な技巧の冴え、もう言葉がありません。
第二楽章のバラライカを模したピチカートも本当に印象的。
やはり、私のベストチョイスです。

●ミルシテイン盤(スタインバーグ指揮 ピッツバーグ交響楽団 1957年)
これも定盤中の定盤ですが、何故か評価が分かれる演奏のようです。
私にはハイフェッツとオイストラフのちょうど中間的な(良いとこどり!)イメージ。歌も技巧も申し分ありません。酷評されている録音についても、私が聴く限り何の問題もないと思います。
セカンドチョイス!

●ムター盤(ロストロポーヴィチ指揮 ナショナル交響楽団 (1988年)
オイストラフ盤をより現代風にかつ技巧的にしたような演奏です。
色彩感覚にも優れ、この演奏をベストに推す人がいてもなんら不思議なことはありません。テクニックの素晴らしさという面からもさすがにムターですね。

**オイストラフ盤のご紹介**
<曲目と演奏者>
 グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲イ短調 Op.82
 ダヴィッド・オイストラフ(Vn)
 キリル・コンドラシン(指揮)モスクワ放送交響楽団
 1947年1月1日

 
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ベートーベン:ピアノソナタ第24番「テレーゼ」op78

2005-08-11 | CDの試聴記
衆議院が解散・総選挙になりました。
いろいろな意見がテレビや新聞を賑わしているようですが、郵政民営化そのものの賛成反対は別にして、私は小泉首相が語る「今回の解散は『郵政解散』だ。郵政民営化に賛成してくれるのか、反対するのか、国民に問いたい」とする今回の総選挙の実施に賛成です。
反対派の自民党議員達にはある意味で気の毒ですが、国民がはっきり意思表示できる舞台を作ってもらうためにも、今回は自民党公認の対立候補を出して、国民が果たしてどちらを望んでいるのかはっきりさせる必要があると考えます。
参議院における内容の伴わない政治的なかけひきや、風見鶏よろしく流れだけを追おうとする一部の風潮には正直辟易としていたので、私は今回の選挙をとても楽しみにしています。

さて、今日は比較的早く帰宅できたので、何枚かCDを聴くことができました。
我が家の中で半年あまりの間行方不明になっていて、ずっと捜索中であったシューリヒト&BPOのベートーベン「英雄」(1964年ライブ録音)が思いがけない場所から出てきたので、何はともあれまず最初に聴きました。いやー、すごいエネルギーを持った演奏です。こんなに良い演奏だったんだ。大感激!この感想はまた書きます。

次に聴いたのは、ベートーベンのピアノソナタです。
何番にしようか迷って、結局大好きな「テレーゼ」にしました。

<曲目>
ベートーヴェン:
ピアノ・ソナタ第22番
  同 第23番「熱情」
  同 第24番「テレーゼ」
  同 第27番
<演奏>
マウリツィオ・ポリーニ(P)
(2002年6月、ミュンヘン)

このピアノソナタはたった2楽章しかなく全体でも10分足らずの曲ですが、珠玉のような美しさを持っています。
やはり、献呈者であるテレーゼ・フォン・ブルンスヴィク伯爵令嬢の影響もあるのでしょうか。彼女がベートーベンの婚約者であったというのは作り話のようですが・・・。
また余談ですが、「エリーゼのために」のモデルとされるテレーゼ・マルファッティは全く別人で、このピアノソナタ「テレーゼ」とは関係ありません。
第1楽章の出だしの何と優しい響き。続く柔らかなテーマも美しいし転調もとても魅力的。
第2楽章は、心湧きたつような活力に満ちたフレーズに思わずにっこり。
いつ聴いても、心が晴れやかになるなぁ。
今日聴いたのは、まずポリーニ盤です。冷たい演奏だという方もいますが、どうしてどうして、私には繊細だけど愛情に満ちた演奏だと感じました。
ただ、ボーナス盤として収緑されている、同時期にウィーン芸術週間で演奏されたライブ録音の方が、一層活き活きとした表現で素敵なんですが・・・。
また、前から好きだったブレンデル盤、グード盤も今日改めて聴いてみましたが、やっぱり良かった。
とくに、ブレンデルの情感豊かな演奏は格別な魅力を持っていますね。


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ブルッフ:「スコットランド幻想曲」

2005-08-09 | CDの試聴記
最近週1~2回のペースで大阪に行っていますが、今日もそんな一日でした。
そろそろお盆休みで帰省する人も多くなってきたようです。
今までは新幹線の車中は、ビジネスマン中心でしたが、今日は家族連れの姿も結構多く見ました。
猛烈な暑さのせいか、ここしばらくは古楽器をきくことが多かったのですが、別のジャンルで爽やかな曲を聴きたくなったので、今日の車中の音楽はブルッフの「スコットランド幻想曲」です。

<曲目>
ブルッフ:
ヴァイオリン協奏曲第1番
スコットランド幻想曲
<演奏>
諏訪内晶子(ヴァイオリン)
マリナー指揮
アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ

ブルッフは私のお気に入りの作曲家の1人で、とりわけヴァイオリン協奏曲第1番ト短調は、数あるヴァイオリンコンチェルトの中でも私にとって最も大切な曲です。
彼の作品としてよく知られているのは、3曲のヴァイオリン協奏曲のほか、「コル=ニドライ」、3つの交響曲、そしてこの「スコットランド幻想曲」あたりでしょうか。
ブルッフの作品はどれを聴いてもいかにも純正ドイツ・ロマン派の音楽という感じで、なぜか聴いているとほっとするんです。
個人的に、交響曲第2番あたりはもっと人気が出てもおかしくないだけの魅力をそなえていると思っているのですが・・・。(この曲の録音ではマズア盤が有名ですが、私はコンロン盤の瑞々しい叙情性に軍配をあげます)

さて、スコットランド幻想曲。
今日は、諏訪内さんの演奏で聴きました。
実はカップリングされているヴァイオリン協奏曲第1番も大変素晴らしい演奏なのですが、これはまた別の機会に書きます。

私が初めてこの曲を聴いたのは、ハイフェッツの演奏でした。そして実演では、3年前の日本フィル定期で、渡辺玲子さんのヴァイオリン、日フィルの松井久子さんのハープで聴いたのが最初です。
数曲の古いスコットランド民謡をテーマにこの曲は書かれていますが、本当に美しい曲ですね。
序奏:まだ暗い夜明けに佇む薄暗いスコットランドの古城、という風景をイメージさせてくれます。(あくまでも、私の勝手な想像ですが・・・)
第1楽章:アダージョ・カンタービレ、スコットランドの愛の歌がモティーフと言われていますが、本当に美しいメロディです。ハープの絡み方も素晴らしい効果をあげており、諏訪内さんの凛とした表情がとくに印象に残りました。諏訪内さんの中低音って独特の魅力があるなぁ。
第2楽章:間奏曲、スケルツォ的な楽章。
第3楽章:アンダンテ・ソステヌート、第1楽章同様スコットランドの愛の歌がモティーフですが、中間部のヴァイオリンのトリルがとっても魅力的。
第4楽章:アレグロ、スコットランドの古い戦の歌がモティーフですが、ここでは諏訪内さんの素晴らしい名人芸が光ります。
また、曲全体を通して、マリナーのサポートはやはり抜群に上手い。諏訪内さんとの相性もぴったりです。

ダンディの「フランス山人の歌による交響曲」もそうでしたが、民謡を主題にした曲って、ある種の爽やかさがあるんですね。
おかげで、大阪の猛暑も少し涼しく感じたような気がしました。
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バッハ 「プレリュード、フーガとアレグロ」BWV998 (その2)

2005-08-08 | CDの試聴記
昨日に引き続きバッハの「プレリュード、フーガとアレグロ」を。
今日は、ギター編です。

この曲は、かつて巨匠セゴヴィアによってアレグロ除きのプレリュードとフーガが編曲されショット社から出版されていたこともあり、昔からバッハを愛する数多くの名ギタリストにとって好個のレパートリーになっていました。
アレグロつきの全曲が広く弾かれるようになったのは、イギリスの名手ジュリアン・ブリームとジョン・ウィリアムスの演奏がLPで紹介されるようになってからだと思います。
なお、ギターではオリジナルの変ホ長調という調性が技術的にも響きの点でも問題が多いので、通常は半音低いニ長調で演奏されます。(少し詳しく書きますと、変ホ長調というのはフラットが3つあり、ギターの開放弦6本のうち4本が使えなくなるため、技術的な制約が非常に多いのです!)
では早速お勧め盤を。

まず、リュートの幽玄さとギターという楽器の高い性能の両方を兼ね備えた名演奏として、スウェーデンの名手セルシェル(G)の演奏があげられます。
セルシェルは、通常の6弦ギターとは異なる11弦のアルトギターを使用することで、素晴らしい効果をあげています。
この響きの奥深さと音色の美しさは、今なお格別の魅力を持っています。
ところでこのバッハの美しい曲は、セルシェルにとって、最も権威のあったパリ国際ギターコンクールで優勝した時の、思い出の曲でもあります。私も、当時彼のコンクールにおける演奏を初めてFMで聴き、あまりの美しさに愕然としたことを今なお鮮烈に覚えています。
さて、次にお勧めできるのは、バルエコ盤(EMI)です。
バルエコは一旦最も低い第6弦をD(レ)に下げた後、カポタスト(フラメンコでおなじみですよね。指板にがちっとはめこむことで調性をコントロールすることができます)を1フレットにセットすることで、何とオリジナルと同じ変ホ長調として演奏しています。音のバランス、音色の統一感ではこの演奏が一番です。
その他、装飾音符が見事な効果をあげているデビット・ラッセル、テクニックの素晴らしさで群を抜く山下和仁、ゆっくりしたテンポで銘器ハウザー1世を鳴らしきった田部井辰夫等素晴らしい演奏が目白押しです。

しかし、ギターによるベストの演奏というよりも、私がリュートや鍵盤楽器を含めた中でも最も好きな演奏は、ジョン・ウィリアムスの旧盤です。
美しく起伏にとんだプレリュード、ため息が出るような気品と緻密な構成力をみせるフーガ、圧倒的な技術の冴えをみせるアレグロ、全てに申し分ない演奏です。とくにフーガの中間部で最初のテーマに戻る直前のカンパネラの美しいこと!
やや冷ややかな感触をもちつつ妖しいまでに美しい音、この難曲をいとも簡単に弾ききってしまう圧倒的な技術は、いまなおまったく他の追従を許しません。
ところで、私が高校生の頃、セゴヴィアをきいてもイエペスをきいても凄い演奏だとは思いましたが、自分でこんな風に弾きたいとは思いませんでした。ところが、このジョン・ウィリアムスのバッハを初めてきいたとき、電流に打たれたような激しいショックを受けました。私が弾きたいと思っていたのはこんなバッハだ。また、私の理想の音色はこんな音だったんだと、心底感じさせてくれた演奏だったのです。以来、この演奏が、今日まで色々な面で私に大きな影響を与えてきました。
今日、改めて聴いてみて、想い出は確信に変わりました。
なお、ウィリアムスは、その後バッハのリュートのための作品集と題して新たにレコーディングしており、そのなかのこの「プレリュード、フーガとアレグロ」も文句なしの名演ですが、その瑞々しさと気品の高さという点で旧盤には及びません。

機会があれば、クラシックギターの最高の名演奏のひとつとして、是非この演奏を多くの人に聴いていただきたいと思います。




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バッハ 「プレリュード、フーガとアレグロ」BWV998 (その1)

2005-08-07 | CDの試聴記
毎日こう暑い日が続くと、何故か無性にリュートやチェンバロといった古楽の音が聴きたくなります。今日ご紹介するのはバッハのリュートのための作品です。

バッハ 「プレリュード、フーガとアレグロ」BWV998

この曲はこんなに素敵な作品なのに、バッハの作品の中でも今ひとつ知られていないところがありますので、2回に分けて採りあげたいと思います。
第1回目は、この曲そのもののこと、およびリュートまたは鍵盤楽器で演奏されたお勧め盤をご紹介したいと思います。
第2回目は、ギターで演奏された数多くの名演奏の中からお勧め盤をご紹介する予定です。

<この曲について>
バッハのリュートのための作品としては一般的に7曲あるといわれており、内訳は組曲が4曲、前奏曲1曲、フーガ1曲、それにこの「プレリュード、フーガとアレグロ」です。
プレリュード、フーガ、アレグロという3つのパーツからなるこの曲、そもそも構成が変わっていますよね。
これには2説あり、組曲として書こうとしていたんだけど何らかの理由で不完全な形で終わったとする説、いまひとつは、もともと3部構成として作曲されたとする説です。
前者の場合は、プレリュード・フーガのあと、サラバンドかブーレが欠落して、アレグロがいわばジーグのような役回りを演じていることになります。
どちらの説が正しいかはよくわかりませんが、曲を聴き進むと何故か「この3曲で十分」と思えてくるから不思議ですね。シューベルトの未完成と同様の感覚かもしれません。
また、バッハの自筆譜には、「リュートまたはチェンバロのための」と添え書きがしてあるそうですが、ラウテン・ヴェルクという当時存在したリュート・チェンバロ(リュートのような音が出るように、スティール弦の替わりにガット弦をはったチェンバロ)を想定して書かれたのではないかといわれています。

曲のイメージをざっとご紹介します。
・プレリュード:しなやかな起伏をもつ美しい前奏曲。いかにも撥弦楽器であるリュートにぴったりの楽想だと思います。(約3分)
・フーガ:A―B―Aの構成をとる3声の雄大なフーガ。特に中間部は美しく幻想的です。ここは特に多くの方に聴いていただきたい部分です。数多いバッハのフーガの中でも名品だと私は確信しています。(約7分)
・アレグロ:対位法的な手法で書かれた2声のジーグ風アレグロ。(約3分)

<お勧め盤>
①リュート編
ホプキンソン・スミス(アストレー)がマイベスト。
指先を通して出てくる音の暖かさがなんとも言えず魅力的で、スケールの大きさをもちつつ幻想的な表現がたまりません。
次いでユングヘーネル(HM)盤がお勧め。奥の深さはスミスと同様ですが、ユングヘーネルにはさらに旺盛な表現意欲が感じられます。ただ惜しむらくは、部分的に荒さを感じることです。
また、数多くの俊英を育てたオイゲン・ミュラー・ドンボア盤(セオン)の確信に満ちた演奏も忘れられません。

②鍵盤楽器編
チェンバロで弾かれた演奏では、レオンハルト盤にとどめをさすでしょう。
演奏の立派さでは、楽器を問わずこのレオンハルト盤に勝る演奏はないように思います。ただ上手く言えないのですが、少々立派過ぎるような気がするんです(特にフーガ)。もう少し手作りの雰囲気があればと。
私が素敵だなぁと思ったのは、リュート・チェンバロで弾かれたロバート・ヒル盤です。はじめてリュート・チェンバロの音を聴きましたが、リュートと同じとは言いませんが、とっても柔らかく私のイメージにとても近い演奏でした。
このヒル盤は、昨秋購入したリリング監修のバッハ大全集(ヘンスラー原盤)の中に含まれていたものです。
余談ですが、やはりこのリリングのバッハ大全集は優れものです。なかなか一度には聴けませんがどれも水準は高いです。百科事典的な重宝さもありますし・・・。

さて、次回はギターで演奏されたお勧め盤を・・・。


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ブックマーク(続き) (050806)

2005-08-06 | ブックマーク(続き)
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スヴェトラーノフのブラームス:交響曲全集

2005-08-06 | CDの試聴記
原爆が広島に投下されてから、今日で60年を迎えました。
私はもちろん戦争を知らない世代ですが、ご遺族の方のコメントや当時の状況を聞くにつけ胸が痛みます。唯一の被災国として、これからも絶対風化させてはいけないと強く思いました。

本当はミサ系の曲をと思ったのですが、昨晩からスヴェトラーノフのブラームスをずっと聴いていたので、とりあえずこの演奏のご紹介を。

<曲目>
ブラームス 交響曲全集
<演奏>
スヴェトラーノフ指揮
ソビエト国立交響楽団
1981年~82年録音。(メロディア原盤)

今回聴いたのは、イアン・ジョーンズによるリマスタリングでスクリベンダムからリリースされたものです。スヴェトラーノフのブラームスときいて、皆様はどのようにイメージされますか?
私は、やはりカリンニコフやバラキレフ、あるいは「ローマ3部作」等で聴かせてくれた、爆発的なパワーと濃厚な歌を基調としたブラームスを想像していました。
ただ、ブラームスにしては、おもしろいけどいささか荒っぽいんじゃないかと危惧もしていました。
結論から言うと、圧倒的なパワーを秘めつつも十分繊細なブラームスでした。
重厚な歌に満ちた表現は想像どおりで、これがブラームスにぴったりなのは言うまでもありません。リマスタリングも成功していて音質的にも何の不満もありませんが、惜しむらくはティンパニが少し遠いことでしょうか。

4つの曲のうち、特に素晴らしかったのは第1番、3番です。
第1番では、第2楽章のカンタービレの美しさ、第3楽章の愛しむような優しい表現(意外でした!)が印象に残ります。また終楽章の例の金管のコラール、ここはさすがに「おお、ロシアの金管!」と思わせる独特の表情。続くテーマは非常に端正な表現で、正直意外なくらい。その後は、スヴェトラーノフ一流の表現で、強力な中低音を武器に一直線に進んでいきます。この前へ進む力は本当にわくわくします。最後のコーダは、もっとアチェランドを効かせたテンポを想像していましたが、堂々たるテンポ設定で圧倒的なエンディングを迎えます。素晴らしいブラームス!

音楽評論家の許光俊氏が、「ブラームス全集はスヴェトラーノフの力が100%発揮された名演だ」としたあと、次のように面白く語っています。「肉のかたまりのように分厚く重たい和音、納豆のように延びる強烈なカンタービレ、巨大なたいまつのように熱いリズムというぐあいに、その表現力はすさまじく、現代の他の指揮者は誰も比肩できまい。さしずめかつてのスタン・ハンセン、ブレーキの壊れたダンプカーだ。どう見てもブラームスらしいウジウジしたところ、否、繊細さとは無縁だが、ひとつの表現として充分説得力がある」(名指揮者120人のコレを聴け! 洋泉社)

とても分かりやすいコメントだとは思いましたが、この演奏の持つ繊細さ、優しさが誤解されて伝わる気もします。このスヴェトラーノフ盤は、私がブラームス演奏に求めるいくつかのポイントを全てクリアしている名演といって差し支えありません。私にとって大切なアルバムがまたひとつ増えました。

ちなみに、現在このアルバムは、スクリベンダム・セールということでほぼ半額で販売されています。興味のある方はHMVのHPをご覧下さい。
英スクリベンダム・セール
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ジュリーニのモーツァルト交響曲第40番

2005-08-03 | CDの試聴記
今日も日帰りで大阪出張です。
我が故郷ながら暑い。本当に暑いです。昔からこんなに暑かったかなあ。
珍しく背広を着ないで出かけて大正解でした。

ところで、私が長年秘かに(「熱烈な」という声も一部にありますが・・・)応援している大阪本拠のプロ野球チームも、ここに来て4連敗を喫してしまいました。大丈夫かいな・・・。
昨日昼休みに神宮球場に8月19日からの3連戦のチケットを買いに行ったところ、何とか特別指定席だけが若干余っていたので早速ゲットして応援に行くことにしたんですが・・・。
気合入れて、がんばってや!

さて、ジュリーニのモーツァルト40番。ジュリーニを追悼するかのように急遽リリースされた、87年のザルツブルク音楽祭のライブ録音です。自宅と新幹線の車中でじっくり聴きました。

<曲目>
モーツァルト:交響曲第40番ト短調
<演奏>
カルロ・マリア・ジュリーニ(指揮)
ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
<録音>1987年8月2日、ザルツブルク祝祭大劇場ライヴ

全体的には、91年に録音されたベルリンフィルとのスタジオ録音盤と比べて、音楽の作り方はほとんど変わりません。
第一楽章はほんと遅い。とてもアレグロモルトとはいえないテンポ。だからといってロマンティックな演奏ではないんです。淡々と進むなかに悲しみが封じ込められているような感じというんでしょうか。ベルリンフィル盤でも同様の印象を持ちましたが、ウィーンフィルはさすがに音に色気がありますね。したがって、より微妙なニュアンスに富んでいるところが特徴でしょう。また、あの有名なメロディに先駆けて刻まれるビオラのリズムが、最後までとても印象に残ります。こんな風に感じたのはセルの演奏以来です。(まったくテンポもスタイルも違いますが・・・)
第二楽章では、テーマに戻る前の木管楽器の表情が妖しいまでに美しい。
最後の第四楽章も遅いです。どこがアレグロアッサイなんだというくらい遅い。しかし不思議です。徐々に聴き進むにつれて、速いんだか遅いんだか分からなくなってきます。格調の高さってこういうことを言うんだなぁと実感させてくれる演奏です。ラストもまったくテンポをあおることなく、終始インテンポを保ちつつ緊張感だけを高めてエンディング。これはまさに名人の技です。
なお、フィナーレは繰り返しをしているために12分近くかかっていますが、さすがにちょっと長いかなあと感じました。

このスケールの大きさ、ゆったりしたテンポ、密度の濃さ、これらは晩年のジュリーニの演奏に共通する特徴ですが、やはり晩年のクレンペラーと相通ずるものがあるように感じました。
違うのは、ジュリーニは最後までカンタービレの指揮者であったことでしょう。同じように遅いテンポをとりながらも、どんな場合も各声部は丹念に歌いこまれ、全体の大きな流れの中で心地よさそうにふるまっています。やっぱりジュリーニだけの刻印です。この表現をしたかったから、あの遅いテンポになったのだと思いました。

P.S
同じに演奏された「大地の歌」も1回通して聴きましたが、これも素敵な演奏です。特に終楽章が印象に残りました。
詳しい感想は、また日を改めて・・・。



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