ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

モーツァルト 交響曲第1番 変ホ長調 K.16

2006-05-28 | CDの試聴記
モーツァルトは一般的に41曲のシンフォニーを書いたとされていますが、散逸したりしたものもあるので、本当のところは50曲以上ともいわれています。
ところで、記念すべき第1番はどんな曲なんでしょうか。

私はモーツァルトに限らず、作曲家の第1番シンフォニーに大いに関心があるんです。円熟による深みというのはさすがに期待できませんが、後年のスタイルが垣間見えたり、若いときにしか書けない魅力を発見できるからです。
モーツァルトの第1番は、彼が8歳のときにロンドンで作曲されています。
現在の8歳(小学3年生)と単純に比較は出来ませんが、早熟の天才であったことは間違いありません。

先日放映されたN響アワーで、作曲家の池辺晋一郎さんがこの曲の解説をされていましたので、ご覧になった方もいらっしゃると思いますが、この曲の第1楽章と第2楽章では、なんと例のジュピター音型(ド・レ・ファ・ミ)が登場します。
最初と最後のシンフォニーに同じ主題が使われているというのも、やはり不思議な結びつきを感じますね。(もっとも、モーツァルトは「ジュピター」が最後のシンフォニーになるとは全然考えていなかったと思いますが・・・)
ちなみにこのジュピター音型は、もともとグレゴリオ聖歌の一節だそうですが、モーツァルトは第41番「ジュピター」の終楽章以外にも、第33番の第1楽章や K.Anh.214 (45b)の変ロ長調交響曲の第1楽章でも使っています。
きっと、お気に入りのモティーフだったのでしょうね。

さて3楽章からなるこのシンフォニー、さすがに中~後期の作品のようなモーツァルトが真の天才ぶりを示したものとは異なりますが、この初々しさ、爽快感はやはりただものではありません。
少なくとも私には、すこぶる魅力的に感じます。
第1楽章冒頭、ファンファーレ風のフレーズを明快にフォルテで提示した後、ただちに音量をピアノに落としジュピター音型を伸びやかに登場させます。この表情の対比は大変見事なものですね。
先生であったクリスティアン・バッハの影響を多く受けているとはいいながらも、このあたりのセンスの良さを既に8歳のモーツァルトが持っていたということは、驚くべきことです。
第2楽章では、第1楽章で印象づけたジュピター音型をホルンが扱いますが、その自然な音楽の運びはやっぱりモーツァルトだと感じます。
フィナーレの豪快な音楽との対比も、また見事なもの。

なかなか聴く機会も少ない曲ですが、私はこの曲好きです。
お薦めCDを1枚あげると、ピノック指揮のイングリッシュコンソート盤。
若いモーツァルトの颯爽とした魅力を、楽しく見事に表現してくれています。

          

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ラザレフ&読響 チャイコフスキー「冬の日の幻想」「ポーランド」

2006-05-26 | コンサートの感想
昨日は、4月分のマチネーコンサートの振り替えで、読売日響の定期演奏会に行ってきました。
指揮はアレクサンドル・ラザレフで、5月14日のマチネーと同じくオールチャイコフスキープロ。
いつものマチネーコンサートと異なり、会場はサントリーホールでした。
サントリーホールといえば、昨年10月にムーティ率いるウィーンフィルを初めて生で聴いた「あのホール」です。あれからもう半年たつんですねぇ。
そんなことを思いだしている間もなく、開始のベルが鳴りました。

<日時>平成18年5月25日(木)
<場所>サントリーホール
<曲目>
■チャイコフスキー:交響曲第1番〈冬の日の幻想〉
■チャイコフスキー:交響曲第3番〈ポーランド〉 
<演奏>
指 揮:アレクサンドル・ラザレフ
管弦楽:読売日本交響楽団

ラザレフの手にかかると、読響がますます充実した響きになります。
前半は第1番「冬の日の幻想」。
第1楽章冒頭から、緊張感と豊かさの両方を兼ね備えた響きにすっかり引き込まれます。
中間部で「パーン パパパ パンパンパーン」とやる箇所は、もともと目立つ箇所ですが、ラザレフは同じリズムを刻むティンパニを少し硬めに強く叩かせて、大きな効果をあげていました。
後半の弦楽器の表情と緊張感も抜群。
第2楽章は木管が本当に美しかった。とくにオーボエの蠣崎さん、最高!
第3楽章のスケルツォ~ワルツは、既にあの第5番の雰囲気を先取りしたような見事な演奏。力技ではないもうひとつの読響の魅力を感じさせてくれました。
フィナーレは、私がきいたこの楽章のベストかもしれません。
主部に入ってからの速めのきびきびしたテンポが、何とも爽快です。対位法的な処理ももちろん完璧。エンディングもまさに圧倒的でした。
終演後も大きな拍手につつまれていました。

後半は、第3番「ポーランド」。
正直に告白します。私、この曲苦手なんです。過去何度もチャレンジしたのですが、どうも統一感がない感じがして心に響かないのです。
数日前に「予習をかねて」といいつつ「冬の日の幻想」はしっかり聴いたのですが、「ポーランド」を聴かなかったのもこのあたりに原因があります。
しかし、過去の経験から、実際のコンサートで聴いてみて初めてその曲の魅力を知ったことがありましたので、この日はその点に期待して聴きました。
果たして結果はどうだったのでしょうか。
結論からいうと、まことに残念ながら奇跡はおきませんでした。
第3楽章等思わず引き込まれそうになる部分もあったのですが、まだ親友とはいえません。
ラザレフ&読響の演奏は熱のこもった素晴らしいものだったし、私自身も休憩時にコーヒーを2杯飲んで気合を入れた甲斐があり、「親友」とまではいきませんが、今までの「知人」から「友人一歩前」くらいまでには変化しつつあります。
次にこの曲に会えるときは、是非「親友」になりたいと願っています。

さて、この日の2曲で、チャイコフスキーの交響曲の1番から6番までをラザレフ&読響の演奏で聴いたことになります。
「ポーランド」についてだけは若干ネガティヴに書きましたが、これは決して演奏が悪かったというわけではありません。演奏後のブラヴォーも盛大だったし、演奏そのものはむしろ良かったんだと思います。
ラザレフの最大の魅力は、何といってもオケの鳴りっぷりがいいことですが、もう1つ忘れてはならないことがあります。
それは、曲全体の見通しが常に明瞭なこと。
そのため、聴き手もラザレフのガイドに従って、曲のいたるところで新しい発見をすることができるのです。
これは本当に素晴らしいことですね。
来年度のシェフに予定されているスクロバチェフスキも、スタイルは全く異なりますがラザレフと同じような美質をもっている指揮者なので、またまた来シーズンの読響が楽しみになってきました。


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マゼール&ウィーンフィル チャイコフスキー交響曲第1番「冬の日の幻想」

2006-05-24 | CDの試聴記
最近、お天気の神様は少々ご立腹気味です。
でも、あんなに急に雷雨にしなくてもいいのに・・・。
おかげで、バスが大幅に遅れて大変でした。

こんなときは気分を変えて、若々しい晴れやかな音楽を聴きたい!
そういえば、明日はラザレフ率いる読響の定期演奏会の日。
曲目はチャイコフスキーの1番、3番。
そこで取り出したディスクは、予習もかねて第1番「冬の日の幻想」です。
演奏はマゼール指揮のウィーンフィル盤。

<曲目>
■チャイコフスキー 交響曲第1番ト短調 作品13 「冬の日の幻想」
<演奏>
■ロリン・マゼール指揮
■ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
<録音>1964年

          

一聴してわかりますが、まだ30代だったマゼールは本当に意欲十分。
オケがベルリンフィルやシカゴ響あたりであれば、このマゼールの強い表現意欲が、きっとそのままストレートに音楽として表れたことでしょう。
しかし、今回のディスクのパートナーは何と言ってもウィーンフィル。
出来上がった音楽は、ウィーンフィルのフィルターをとおして聴こえるというよりも、まったく別の化合物?ができたという感じです。
そして、その化合物がなんとも魅力的!

第1楽章冒頭のフルートとファゴットで奏されるフレーズを聴くと、私は「あー、懐かしい」といつも想ってしまうのです。きれいとか美しいというよりも、「懐かしさ」を感じるのはなぜだろう。
加えて、このマゼール盤で聴く音楽の伸びやかさ、瑞々しさは、格別なものがあります。
管楽器も絶妙の美しさですが、弦楽セクション、とりわけチェロ・コントラバスの何と見事なこと!
たとえば、練習番号Uの手前(9分30秒くらいのところ)でチェロ・コンバスがいったんppに落とし、徐々に緊張感を高めて駆け上がっていく箇所があります。ここでマゼールとウィーンフィルは、このppは音を小さくすることではなく、背を丸めて次の飛躍に備えてじっとエネルギーを蓄えているんだということを、肌で感じさせてくれます。もうぞくぞくするような素敵な表現です。

第2楽章は、ウィーンフィルの魅力が全開。どんなフレーズでも「ああ、きれい!」と感じさせてくれます。とりわけ管楽器が絶品。練習番号F(7分10秒くらい)のウィンナホルンのffのフレーズは、何度聴いても鳥肌がたちます。

第3楽章、第4楽章は、正直なところ最初の2つの楽章ほどの魅力は感じないのですが、やはりチェロ・コンバスの弾力を持った素晴らしいサウンドと表現力には大いに惹きつけられました。ややネガティブな書き方をしましたが、これは最初の2つの楽章があまりに素晴らしかったからに他なりません。

試しにアバド盤、スベトラーノフ盤もダイジェストで聴いてみましたが、私はこのマゼール&ウィーンフィル盤が最も好きです。
また、最後に録音についてひとこと。
今から40年以上前の録音ですが、さすがに黄金時代のデッカの録音ですね。
素晴らしい音です。生々しいし音楽的だし・・・。

演奏、録音ともに絶対のお薦めです。
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ハスキル&カザルス モーツァルト:「ジュノム」他

2006-05-22 | CDの試聴記
最初は別の記事を書くつもりでしたが、今日聴いたこのディスクがとても面白かったので、急遽チェンジ。
ハスキルのライブ録音盤です。

           

<曲目>
■モーツァルト:ピアノ協奏曲第9番変ホ長調K271「ジュノム」①
■シューマン:ピアノ協奏曲イ短調Op.54②
<演奏>
■クララ・ハスキル(P)
■パブロ・カザルス(指)プラド・カザルス音楽祭管弦楽団①
■カール・シューリヒト指揮ストラスブール市立管弦楽団②
<録音>
1953年6月19日(①),1955年6月15日(②)

ハスキルのジュノムは、私の知る限りザッヒャー盤、シューリヒト盤と2種類あり、いずれも名演の誉れ高いものでした。
したがって、今日聴いたこの1枚は3番目ということになります。

まず第1楽章冒頭、名匠カザルス率いるオーケストラがびっくりするくらいの気合で開始します。
少し力んでいる感じも否めません。ハスキルも思わずつられて熱っぽく弾き始めるところがライブらしく興味深いですね。
音楽が進むにつれて、ハスキルはピアノのソロの部分では努めて冷静に弾き進めようとします。でもオケが入ってくるとまた少し前のめりに・・・。
ずっとこんな繰り返しです。
でも、カザルスとハスキルというおよそスタイルの異なる芸術家が、妥協せずに必死にモーツァルトを奏でようとしたら、どうしてもこんな風になるはずですよね。
中途半端を何より嫌うカザルスの音楽は、たとえ前のめりになろうと、少々荒っぽくなろうと、常に「実がぎゅっと詰まった」凄い音楽を聴かせてくれます。
一方、冒頭はともかくとして、ハスキルのピアノはここでも抜群の冴えをみせています。いたるところで感じさせてくれる、微妙なニュアンスに富んだ素晴らしい表現。こんなピアノはそうは聴けません。

第2楽章に入ると、ハスキルのピアノはますます冴えをみせます。オーケストラもここではひたすらハスキルのピアノにぴったり寄り添い、見事な音楽を聴かせてくれます。この楽章は感動的でした。
そしてフィナーレ。
ハスキルの右手は、軽やかにかつしなやかに細かなパッセージを弾き続けますが、とくに印象に残ったのは左手の表情。私のようなピアノの素人が聴いてもこれは凄いです。音楽に見事なまでの弾力性を与えていました。
オケは、第1楽章と同様やや前のめりになる箇所もありますが、モーツァルトへの熱い思いがそうさせているんですね。
中間部のメヌエットはこの楽章の白眉で、ここで聴くハスキルのピアノの見事さを何と表現したらいいんだろう。
そして、ラストでいったんしっかり駆け上がった後、音量を落としてそっと駆け抜ける見事なエンディング。
会場の大きなブラボーに、私も激しく同意します。

ハスキルもこんな熱い演奏をしたことは珍しいのではないでしょうか。
それにしても、このカザルス盤は1953年のライブ録音ですから、ザッヒャー盤(1954年)やシューリヒト盤(1952年)のちょうど中間にあたるわけですが、何と異なることか・・・。
やはりライブ演奏であったこと、そしてカザルスのもつ音楽の熱さに触発されたことが大きな理由であったような気がします。
格調高いザッヒャー盤、熱いカザルス盤、その中間的なイメージのシューリヒト盤いずれも素晴らしい名演ぞろいですが、いまのところの私のベストは、少し迷ってシューリヒト盤といったところでしょうか・・・。

<参考>
■ザッヒャー盤(1954年)
 第1楽章(10’25),第2楽章(11’27),第3楽章(10’10)
■シューリヒト盤(1952年)
 第1楽章(10’09),第2楽章(10’44),第3楽章(9’24)
■カザルス盤(1953年)
 第1楽章(9’40),第2楽章(10’55),第3楽章(9’36)
⇒カザルス盤の第1楽章がいかに速いか、お分かりいただけると思います。






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粂井謙三 マンドリンカルテット コンサート

2006-05-21 | コンサートの感想
昨日、久しぶりにマンドリンのコンサートに行ってきました。
4人の奏者+ソプラノという構成のアンサンブルでしたが、リーダーの粂井さんは関西を中心に演奏活動を続けている日本有数のマンドリニストで、他のメンバーも全国各地で活躍されている方ばかりです。

MANDOLIN QUARTET CONCERT
~実力派4人の個性が輝くマンドリンカルテット~
■日時:2006年5月20日(土)午後7:15~
■場所:かつしかシンフォニーヒルズ・アイリスホール 
<演奏>
■粂井謙三(マンドリン)、桝川千明(マンドリン)、折井清純(マンドラ)
■杉浦知美(ギター)
■松村雅美(ソプラノ)
<演奏曲目>
(第1部)
■愛の挨拶(エルガー)
■2つのマンドリンのための協奏曲(ヴィヴァルディ)
■幻想的奇想曲(ロマーノ)
■ドムラ協奏曲より第1楽章(ブダーシキン)
(第2部)
■アイネ クライネ ナハトムジーク(モーツァルト)
■モテット「エクスルターテ・ユビラーテ」(モーツァルト)
(アンコール)
■「恋とはこんなものかしら」(モーツァルト)
■チャルダーシュ(モンティ)
■「星から降る金」
■熊蜂の飛行(R・コルサコフ)

粂井さんは、同じ関西を本拠にしているギターの杉浦さん・ソプラノの松村さんと組んで、長く演奏活動をされてきました。


    (写真はHPから拝借しております)

今回のコンサートでは、上記のトリオに加えて、女流マンドリニストとして人気の高い桝川さんと、長野を本拠地とし活動されている折井さんを交え、本当に楽しいアンサンブルを聴かせてくれました。

随分昔の話になりますが、私の所属していたギターグループのメンバーが韓国へ演奏旅行したときに、たまたまゲストで同行されていた粂井さんと同室になり、朝の練習風景をつぶさにみせてもらう機会があったのですが、それはもう驚きの連続でした。大げさに言うと、基礎練習だけでお金がとれそうなものだったのです。
やはりプロは違います!

そんな粂井さんのコンサートですが、これが実に楽しいんです。
いつどこで聴いても、無条件に楽しい!
駄洒落を交えた巧妙な「しゃべくり」も大きな魅力ですが、とにかく音楽が活き活きしていて「音楽の喜び」をストレートに伝えてくれることが最大の特徴だと思います。
彼は実に素晴らしいテクニックの持ち主ですが、そのテクニックは決して一人歩きすることなく、どんな場合も音楽の表現のためだけに使われています。
数年前にコンサートでバッハのシャコンヌを聴かせてもらいましたが、鬼気迫る凄い名演でした。そのとき一緒に聴いていた妻が、「シャコンヌって、ええ曲やねぇ」と休憩時つぶやいていたのが印象的でした。
バッハ~ポピュラー音楽に至るまで、どんな音楽を演奏しても聴き手の心をぐさっとつかんでしまうあたりは、エンターテイナーとして間違いなく一流の音楽家だと思います。

今回のコンサートでは、前半がマンドリン(あるいはマンドリン系の楽器)のための曲を中心に、後半はモーツァルトの2つの作品がとりあげられていました。
杉浦さん・松村さんといったトリオのメンバーはいつもどおり楽しい音楽を聴かせてくれたし、桝川さん・折井さんも素晴らしい技術と音楽で、聴衆は大変満足したのではないでしょうか。
特に後半の「エクスルターテ・ユビラーテ」は、曲が曲だけに少し心配しましたが、まったく杞憂に終わりました。
松村さんのしっとりとした暖かい歌唱と相まって、極上の「ハウス・ムジーク」だったと思います。

終わって口がきけなくなるほどの感動を与えてくれるコンサートも勿論素晴らしいけど、演奏中も演奏終了後も自然と笑みがでてくるようなコンサートもまた素敵なものです。
粂井さんたちのコンサートは、まさに後者のものでした。
また、来年も聴いてみたいと思います。
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バティアシュヴィリ ブラームス:ヴァイオリンソナタ第1番他

2006-05-18 | CDの試聴記
年に何回か、ジャケット買いをしてしまうことがあります。
今日ご紹介するCDがまさにそれでした。
曲もブラームス、バッハ、シューベルトと私の好きな曲がずらり入っています。
そしてジャケ買いをしたくらいですから、もちろん演奏者のバティアシュヴィリに惹かれてしまったのですが、この美しいヴァイオリニストは私の大好きだった女優に面影がとても良く似ていました。
その女優の名前は、ドミニク・サンダ。
「初恋」「悲しみの青春」「家族の肖像」といった作品が有名ですが、私はベルトルッチ監督の「暗殺の森」でみせた彼女の妖しい魅力が忘れられません。
最近はあまり話題にならないのが残念です。

さて、話を戻してこのバティアシュヴィリ、ご存じない方もいらっしゃると思いますので、簡単にプロフィールをご紹介します。
グルジアに生まれで、1994年からはミュンヘン音楽院で学んでいます。
1995年には、シベリウス国際コンクールで16歳の最年少ながら準優勝を果たし、大いに注目を集めました。
また、BBCが行う「次世代の有望演奏家育成プログラム」の対象者に選ばれ、その一環として2001年秋にリリースされたデビューCDがこのディスクです。


          

<曲目>
■ブラームス:ヴァイオリンソナタ第1番
■バッハ:無伴奏ヴァイオリンパルティータ第1番
■シューベルト:ヴァイオリンとピアノのためのロンド
<演奏>
■エリザベス・バティアシュヴィリ(ヴァイオリン)
■ミラーナ・チェルニャフスカ(ピアノ)

年の割りに、非常に落ち着いた演奏するヴァイオリニストですね。
これ見よがしな表現や、いわゆる「はったり」的な表現は皆無です。
音が美しいことも特筆されます。

そういう意味で、プログラムの最初に置かれたブラームスは、彼女の美質が良く表れた好演。
ピアニストとの呼吸もぴったりで、なかなか味のあるブラームスでした。
続くバッハも、本当に誠実な演奏。
一音一音を大切にしながら、丁寧に弾き進められています。ただ、各舞曲の性格がもう少し明確に出ても良いかなぁ。とくに速さの変化が、もう少し欲しいところです。
最後のシューベルトは、美しいアンサンブルで楽しませてくれました。
一番音楽が活き活きとしていたかも・・・。

たった1枚のディスクを聴いただけですが、エッシェンバッハも期待を寄せる大きな才能をもったヴァイオリニストであることは間違いありません。
ただ、もう少し自分をさらけ出してほしいなぁとも感じました。
少し表現は悪いですが、このCDで聴く彼女の演奏は、「ステージでスポットライトをあびて華麗に弾いている」というよりも、「遠慮がちにこちらに近づいてきて健気に弾いている」という印象が強いです。
内なる自信が確信になった時、バティアシュヴィリはさらに大きく飛躍してくれることでしょう。

(注1)シベリウス国際コンクールの歴代一等を見てみると、カガンやムローヴァの名前も出てきます。
(注2)バティアシュヴィリは、現在、日本音楽財団から貸与されているストラディヴァリウス「エングルマン」を使用しているそうです。

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サン=サーンス ヴァイオリン協奏曲第2番ハ長調Op.58

2006-05-16 | CDの試聴記
今日は日帰りで名古屋へ出張でした。
新幹線の車中で聴いていたのは、最近お気に入りのサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第2番です。

サン=サーンス作曲
■ヴァイオリン協奏曲第2番ハ長調Op.58
■ピエーレ・カオ指揮
■ルクセンブルグ放送管弦楽団
(録音日時 不明)

サン=サーンスの2番?
あー、ト短調のピアノ協奏曲のことね。それともシンフォニー?
いえいえ、ヴァイオリン協奏曲です。
ヴァイオリン協奏曲といったら3番しかないんじゃないの・・・。

こんな会話が聞こえてきそうです。
確かに、私もサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲といえば、有名な3番以外にはほとんど聴いたことがありませんでした。
1番は、キョン・ファ・チョンが3番とセットで録音したディスクがリリースされていますが、2番となるとほとんど知られていないといっても良いでしょう。
ところが、ひょんなことで通信販売でゲットした2番、これがなかなかに良いんです。
とくに気に入ったのが第2番。
もし初めてこの曲を聴こうと思われる方がいらっしゃったら、是非第2楽章のアンダンテ・エスプレッシーヴォから聴いてみてください。
弦のつぶやくような短いモノローグのあと、ハープを伴って独奏ヴァイオリンが歌う旋律の何と美しいこと。メロディメーカーとして天賦の才に恵まれたサン=サーンスですが、この楽章の美しさは格別です。
まるで、プリマドンナの歌うオペラのアリアを聴いているような気持ちにさせられました。
この楽章を聴くだけでも値打ちがありますよ。
ハープとヴァイオリンが絡み合う美しさという点では、ブルッフのスコットランド幻想曲と相通ずるものがあるかもしれませんね。
アタッカで続くフィナーレは、一転して明るく躍動感溢れる音楽です。
そしてこの楽章のラストは、一瞬レオノーレ序曲を思い起こさせるフレーズを経て、一気にエンディング。

さすがに3番のような、洗練されたロマンティシズムはまだありません。でも、この一途な表現が、私にはかえって好ましく感じられます。
演奏について若干触れますと、リッチのヴァイオリンは例によってとても輝かしいものですが、少し荒っぽい部分もないわけではありません。しかし、23歳の青年サン=サーンスの熱い思いを、直球勝負で投げ込んできます。
私はこの曲、そしてこの演奏、大いに気に入りました。

現在入手しにくくなっているかもしれませんが、一応通販のサイトをリンクしておきます。3枚組790円でした。
そのほかでは、ヘルシャーの全集もあるようです。



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ラザレフ&読響 チャイコフスキー「小ロシア」「悲愴」

2006-05-14 | コンサートの感想
今日は、読売日響のマチネーコンサートに行ってきました。
指揮はアレクサンドル・ラザレフ。
オールチャイコフスキープロです。


<日時>平成18年5月14日(日)
<場所>東京芸術劇場(池袋)
<曲目>
■チャイコフスキー:交響曲第2番〈小ロシア〉
■チャイコフスキー:交響曲第6番〈悲愴〉 
<演奏>
指 揮:アレクサンドル・ラザレフ
管弦楽:読売日本交響楽団

ラザレフのチャイコフスキーは昨年4番・5番を聴きましたが、非常にスケールが大きく表情豊かな音楽でした。
チャイコフスキーのシンフォニーは、以前も書きましたが、「オケが気持ちよく鳴りきってなんぼ」だと思っています。その条件をクリアしたうえで、どれだけ独自の魅力を付加してくれるかですね。
その点で、昨年聴いたラザレフの2つのシンフォニーは私にとって◎です。
さて、今日の2曲はどうでしょうか。

前半の「小ロシア」
第1楽章冒頭、前から思っていたのですが、ファリャの三角帽子の粉屋の踊りと非常に良く似ていますね。
開始直後のモルト・エスプレッシーヴォと指示されたホルンソロは、ちょっと緊張気味。しかし続くファゴットのソロは絶品。チェロのピチカートとの絡みも抜群。
今日の読響は、弦楽器が力強さと豊かさを兼ね備えた抜群の出来で、なかでもチェロとコントラバスがとりわけ見事でした。
そのためこの楽章でも、弦楽器にテーマが来ると音楽が一層輝いてきます。
第4楽章はウクライナ民謡をテーマに展開されますが、このテーマ、私にはアレンジを施した「かえるの歌」に聞こえますが、いかがでしょうか。
それはそれとして、ラザレフ&読響の演奏は、このテーマに基づく対位法的な扱いも実に丁寧で、なによりオケがよく鳴りきっています。
圧倒的なエンディングの最後の和音は、聴衆のほうを向きながら消音のジェスチャー。聴衆からも大ウケでした。
ラザレフとしても会心の出来だったのではないかしら。
あまり演奏される機会の少ない曲ですが、私は十分堪能させていただきました。

後半の「悲愴」
最も感銘を受けたのが第3楽章。
マーチの勇壮な部分にどうしても関心が行きがちですが、スケルツォ風の部分も素晴らしい演奏でした。たとえば、タランテラ風のパッセージが続く中で、ヴィオラとヴァイオリンが8分音符から16分音符に変わる箇所がありますが、この箇所をラザレフは非常に丁寧に扱っています。その結果、タランテラ風のパッセージ全体が一層あざやかに聴こえます。一見大雑把にみえて、このマエストロ、アインザッツも含めてとても細かいです。決して「よきに計らえ」とは言わない感じ。
でも、私はラザレフのような指揮者、大好きです。
最後は一発必中で、みごとに決めてくれました。

第4楽章も感動的な演奏。
とくに、アンダンテ・ジュストの前のタムタムが、本当に意味深く印象的。
アンダンテ・ジュストに入ってからのコントラバスの緊張感あふれる表情とともに、聴き手に大きな感銘を与えてくれました。
この楽章の最後はリテヌートを経てppppで終わりますが、ラザレフは最後まで大き目のアクションで振り続けます。そして、すべえの音が消え去った後も、しばらく手を小刻みに震わせながら音楽の余韻を実感させます。
素晴らしい演奏でした。

ラザレフは、この日指揮棒を持たないで指揮をしましたが、最近流行っているのでしょうか。小沢さんもゲルギエフもこのスタイルですね。
音楽の表情がつけやすいことは大きなメリットですが、ラザレフのように常に大きく振る指揮の場合、疲れないのかなあ。大きなお世話ですが、少し心配してしまいました。
でも、ラザレフと読響の相性は間違いなく良いです。
オケのメンバーひとりひとりの必死の形相をみていると、よーく分かりました。
ラザレフのチャイコフスキーは、25日に4月のマチネーの振り替えで1番と3番を聴きますので、ついに全曲聴いたことになります。
25日が楽しみになってきました。


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小菅優 モーツァルト:「ジュノム」ほか

2006-05-13 | CDの試聴記
3月の定期健康診断で血圧が引っかかってしまい、今日は朝から再検査のため主治医が勤務する大学病院へ。
主治医のジャッジは明快で、血圧はあくまでも結果なので、動脈の状態等を見極めたうえで総合的に勘案して処方するとのこと。そのための検査です。
土曜日ということもあり、大勢の患者さんで病院中が溢れかえっていました。
動脈の状態は、年齢的な平均値より少し硬くなっているそうです。あと1日検査に行かないといけないので、それを考えると憂鬱だなぁ。
昨年は不整脈の疑いで「24時間心電図」をつけさせられましたが、今年は最後に「24時間血圧計」をセットされてしまいました。こんなお土産は要らないんだけどなあ・・・。
まあ、自分のからだを大切にしなさいという神様の配慮だと思うことにしました。

さて、CDの感想をしばらく書いていなかったのですが、今日は小菅優さんの新譜であるモーツァルトのピアノ協奏曲集をご紹介します。

<曲目>
モーツァルト
■ピアノ協奏曲 第9番 「ジュノム」 K.271
■ピアノ協奏曲 第21番 ハ長調 K.467
<演奏>
■小菅優(ピアノ)
■ローレンス・フォスター(指揮)
■北ドイツ放送交響楽団
<録音>
■2005年7月 ハンブルク

「熱狂の日」で聴いたモーツァルトのソナタは、期待が大きかっただけに少し残念でしたが、果たしてこのディスクではどうでしょうか。
結果は◎。
私が読響マチネーで聴いたあの躍動感・鮮度の高さが、このアルバムには十分すぎるくらいあります。

まず、ジュノム。
何とも瑞々しい演奏。
「私にとってオーケストラとの共演で一番大事なことは、オーケストラとの対話です。」という小菅さん自身のコメントどおりの演奏がここで展開されています。
第1楽章冒頭、オケより1小節遅れて早速ピアノが入ってきますが、この入り方が何とも小気味いい。ピアノとオケの気持ちが憎らしいくらいぴったりあっています。このディスクの魅力は、フォスター率いるオケの素晴らしさのおかげかもしれません。
第2主題に入るときの呼吸の見事さ、テーマを支えるバスのアクセントの鮮やかさ、ほんとにオケの表情が絶妙です。この素晴らしいバックがあったからこそ、小菅さんもこれだけ自由に伸び伸びと振舞えたのでしょう。レコーディングの様子が目に浮かぶようです。
実演で観たコンチェルトでも、彼女はほんの少しピアノに休みがあると、オケのほうにずっと首を伸ばして、まさに一緒に歌いだしそうなくらいの感じでした。
展開部で、めまぐるしく調性が変わるところでも、ピアノとオケの呼吸はまさにぴったり。
室内楽をやるときのような呼吸感です。
ラストの分散和音で駆け下りてくるピアノとそれに応えるオケの的確な反応も、もう見事のひとこと!

第2楽章は、一転して「悲しみ」をたたえた音楽。そして、このディスクでは「悲しみ」は何通りも表情を変えて表現されています。深刻過ぎず静かに悲しみを表現するから、余計に聴き手の胸に迫ってくるのでしょう。
また、この演奏を聴いて改めて思ったのは、ピアノの旋律がまるでオペラの一節のように感じたこと。ピアノ協奏曲なんだけど、オペラかコンサートアリアを聴いたような錯覚を覚えました。
以前から、モーツァルトのピアノ協奏曲を聴いているとどういうわけかオペラの一節をよく思い浮べたものですが、なんだか不思議な気がします。

第3楽章は、素晴らしいテンポで始まります。
「天馬空を行く」そんな感じといえばお分かりいただけるでしょうか。1月27日のモーツァルトのお誕生日に、小菅さんがテレビでこの曲を演奏してくれたときとまったく同じ鮮烈さでした。
そして、中間部のメヌエットは、「全力疾走して疲れた選手が、偶然見つけたオアシス」のような雰囲気で、聴き手をほっとさせる魅力がありました。
この曲は、きっと小菅さんに合ったコンチェルトなんでしょうね。

21番のハ長調コンチェルトも、ジュノムに負けず劣らずの好演。
この曲は2年前に実演で聴いた曲ですが、そのときの演奏と比べても一層完成度が増しているように感じました。
躍動感はそのままに、余裕というか安定感がでてきたからです。そのために愉悦感がよりストレートに伝わってきます。フィナーレでも、珠をころがすような音色で一気に聴かせてくれました。
また、このコンチェルトでも、オケがしなやかで実に味わい深い演奏をしています。
第1楽章でピアノにからむオーボエの表情などはまさに絶品。
コンチェルトは、やっぱりこうでなくちゃ・・・。
それから、カデンツァについてひとこと。
この曲では、フィナーレの第2アインガングを除いて小菅さん自作のカデンツァ(アインガング)を使用していましたが、小菅さんのスタイルによくフィットした美しく魅力的なものでした。


以上ざっと感想を書きましたが、これだけのモーツァルトを聴かせてくれれば私も一安心。
今年はザルツブルクでも演奏するようですが、是非頑張って欲しいものです。


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『グラスハーモニカのためのアダージョとロンド ハ短調 K. 617』(「熱狂の日」その10)

2006-05-12 | コンサートの感想
ペーター・ノイマン率いるコレギウム・カルトゥシアヌムの感動的なヴェスペレを聴いた後、MICKEYさんとワインを飲みながらテラス席でしばし音楽談義。
ワインの酔いを、心地よい風が癒してくれます。
それにしても、MICKEYさんの音楽に対する造詣の深さには、ただただ驚くばかり。
あっという間に時間が過ぎ、最後のコンサートの時間が来ました。
最後のコンサートは室内楽です。私たちの聴いた最後のコンサートであるだけではなく、このフェスティバル全体にとっても最後の演目になります。

<日時>2006年5月6日(土)22:00
<場所>東京国際フォーラム 相田みつを美術館
<演奏者>
■ミシェル・ドヌーヴ:クリスタル
■フィリップ・ベルノルド:フルート
■古部賢一:オーボエ
■川崎雅夫:ヴィオラ
■趙静:チェロ
■レジス・パスキエ:ヴァイオリン
<曲目>
モーツァルト
■『オーボエ四重奏曲 へ長調』 K. 370
■『アンダンテ へ長調 K. 616(ミシェル・ドヌーヴ編曲によるクリスタル、フルート、オーボエ版)』
■『グラスハーモニカのためのアダージョ ハ長調』 K. 356
■『グラスハーモニカのためのアダージョとロンド ハ短調』 K. 617

このプログラムをみてください。
モーツァルトの素晴らしい名曲でありながら、実演でお目にかかることはほとんどない曲ばかりです。
その意味でも貴重なコンサートといえるでしょう。
とくに関心を引いたのは、グラスハーモニカの代わりに使用された「クリスタル」という楽器。
楽器というよりは、現代彫刻のような奇妙な形をしています。
鍵盤にあたるところに棒があり、それを水を濡らした指先で触れて、その摩擦によって音を出すそうです。
当日の客席からはどうやって演奏しているのかまったく分かりませんでしたが、「熱狂の日」オフィシャルサイトをみて、ようやく楽器の仕組みが少しわかりました。
グラスハーモニカとはまた少し違った音でしたが、独自の魅力をもった楽器ですね。
関心のある方は、オフィシャルサイトをご覧下さい。

        「クリスタル」を演奏するドヌーヴ氏(オフィシャルサイトより)
        

100人足らずしか入らない小さな会場。3メートルほどの距離をおいて奏でられる優雅な音楽。
まさに、モーツァルトが活躍していた当時の貴族になった気分です。
(ふと自分の服装をみるに、貴族というにはいささかラフな格好でございましたが・・・)
もともと音楽用の会場ではないのでデッドな響きが少々残念でしたが、演奏も熱のこもった素晴らしいもの。
「クリスタル」の調整がうまくいっていなかったとかで、『アンダンテ へ長調』は最初からもう一度弾き直してくれました。
このあたりもプロですねぇ。
終演は、夜の11時をまわっていました。

さすがに身体は疲れていましたが、満足感でいっぱい。
2日間でのべ10回のコンサートを聴きましたが、とくに印象に残っているのは、ケフェレックのコンサートと、ペーター・ノイマンのヴェスペレですね。
それから、展示ホールの無料コンサートで何気なく聴いた桐朋学園オーケストラの「パリ」シンフォニーが、とても素晴らしかった。
溌剌とした躍動感があって、この交響曲にぴったり!
会場を歩き回りながら、「こんなお祭り、大好き!」と改めて思いました。

         

また、6日(土)は、考えてみると、なんと15時間あまりもMICKEYさんとご一緒させていただいたことになりますが、本当に楽しい一日を過ごさせていただきました。
MICKEYさん、ありがとうございました。
今度は、大阪のアインザッツでお目にかかりましょう。

これで、2日間に亘る私の「熱狂の日」レポートはめでたく終了とさせていただきます。最後までお付き合いくださった皆さまに感謝します。


P.S
この日、銀座でとても珍しい珈琲店に入りました。
「カフェどんぱ」 というお店です。
水コーヒーが目玉のカフェですが、「ニッキ入りのコーヒー」なるものがメニューにあるではありませんか。
好奇心のかたまりである私としては、飲まないわけにはまいりません。
肝心のお味ですが、さすがにブラックで一口飲んだときは、なにやら漢方の煎じ薬のうような印象。
しかし、クリームをいれると(普段は絶対ブラック以外飲まないのですが、この日は特別です!)、随分マイルドな味に・・・。
うん、これなら飲める!
メニューの解説によると、健康にとても良いとのことでしたが、にわかに元気になってきたような気が・・・。
何ごとも、とても信じやすい私でございました・・・。「愛の妙薬」のネモリーノと同じタイプかもしれません。

          
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ペーター・ノイマン : ヴェスペレ ハ長調K339ほか(「熱狂の日」その9)

2006-05-10 | コンサートの感想
少し早めの夕食をMICKEYさんととったあと、私にとってほとんど未知の分野である「宗教曲」のコンサートに行きました。
会場は5000人収容のホールA。

          <「熱狂の日」音楽祭2006オフィシャルサイトの写真>
          

<日時>2006年5月6日(土)19:15
<場所>東京国際フォーラム ホールA
<演奏者>
■ヒョン・ミョンヒ:ソプラノ
■アリソン・ブラウナー:メゾ・ソプラノ
■ヴィンチェンツォ・ディ・ドナート:テノール
■ティロ・ダールマン:バス
■ケルン室内合唱団:合唱
■コレギウム・カルトゥシアヌム:オーケストラ
■ペーター・ノイマン:指揮
<曲目>
モーツァルト
■『証聖者の荘厳晩課 ハ長調(ヴェスペレ)ハ長調 』K339
■『聖母マリアのオッフェルトリウム「創り主の魂」』K277
■『レジナ・チェリ ハ長調』K276

MICKEYさんから、「このコンサートは凄いですよ」と事前に聞いていたので、大いに期待して演奏を待ちます。
合唱団、オケのメンバーが出てきました。
チューニングが始まります。弦楽器などは4本の弦のうち3本(ひょっとすると4弦とも?)を合わせていました。こんな光景は初めてだったのでちょっと驚きましたが、同時に、「こんな形でチューニングをしないといけないの?大丈夫か?」という不安が少し頭をよぎったことを告白しないといけません。

チューニングが終わると、ソリストと指揮者のペーター・ノイマンが出てきました。ペーター・ノイマンを見るのは初めてですが、どこか風貌が山田一雄さんに似ています。
そしていよいよ「ヴェスペレ」の第1曲ディクシット。
もう、最初の合唱を聴いた瞬間に、この演奏団体がどれだけ凄い音楽をするのか実感できました。
鳥肌がたつような感動と共に、思わず条件反射的に背筋がぴーんと・・・。
素晴らしく精度の高い、また誠実で精妙な歌唱と合奏。
これだけ水準の高い演奏をするために、彼らはどれほどの練習をしてきたのでしょうか。さきほどのチューニングのときに、一瞬でも不安を感じたことを恥ずかしく思いました。
合唱、独唱、合奏、そして全体をまとめあげるペーター・ノイマン、そのいずれをとっても圧倒的でした。
中でも、韓国生まれの若いソプラノヒョン・ミョンヒの声は本当に清らかで美しかった。有名なラウダーテ・ドミヌムでは、合唱の前の位置から指揮者の横まで出てきて歌っていましたが、この透明感は格別のもの。聴きながら何度も目頭が熱くなって困りました。

『聖母マリアのオッフェルトリウム「創り主の魂」』と『レジナ・チェリ ハ長調』は初めて聴く曲でしたが、ここでも神々しいまでの美しさ。
もう、言葉も出ないくらいの感動でした。
余談ですが、自宅に帰って、「ヴェスペレ」のディスク(トン・コープマン指揮のもの)を聴いてみましたが、やっぱりこの日の感動までには至らなかった・・・。

終演後、聴衆からはスタンディング・オベーションといつまでも熱い拍手が続いていました。
これぞ「熱狂の日」!
MICKEYさんが、「これは凄い、凄い・・・」と何度何度も仰っていましたが、まったく同感。
私も、すっかりモーツァルトの宗教曲の魅力にとりつかれてしまったようです。

P.S
モーツァルトの宗教曲にきわめて造詣の深い、アインザッツのマスターが聴いたらなんと感動されたことでしょう。
何か申し訳ないような気がしました。
そして、このような素晴らしいコンサートに誘っていただいたMICKEYさんには、改めて感謝です。





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ケフェレック ピアノ協奏曲第9番変ホ長調「ジュノム」K271ほか(「熱狂の日」その8)

2006-05-07 | コンサートの感想
ペネティエ&香港シンフォニエッタの後は、同じ会場で待望のケフェレックのコンチェルトです。
席はまたまた1列目。
先ほどより少し右に寄った座席ですが、ケフェレックの表情が一番見やすい場所でした。
何とラッキーな・・・!

<日時>2006年5月6日(土)15:15
<場所>東京国際フォーラム ホールB7
<演奏者>
■アンヌ・ケフェレック(ピアノ)
■ゴルダン・ニコリッチ(指揮)
■オーヴェルニュ室内管弦楽団
<曲目>
モーツァルト
■ディベルティメントニ長調「ザルツブルク交響曲第1番」K136
■ピアノ協奏曲第9番変ホ長調「ジュノム」K271 

オーヴェルニュ室内管弦楽団の演奏は、CDでも聴いたことがなかったので、この日がまったく初めてでした。
弦楽器は各パート4名ずつ、コントラバスだけが2名という構成です。
さあ、コンサートマスター兼指揮者のニコリッチが登場。
ニコリッチは現在ロンドン交響楽団のコンサートマスターも務めているそうですが、背が高い!
またとても愛嬌のある表情をしています。

一曲目のK136.
冒頭から何と生き生きした音楽だろう。速めのテンポでどんどん曲は前に進んでいきます。
これぞディベルティメント、と言いたくなるような素晴らしい演奏です。
比較すると大変申し訳ないのですが、つい今しがた聴いた香港シンフォニエッタの響きとは随分違います。
同じホール、ほぼ同じポジション、同系統の曲だから、どうしても比較してしまいますが、正直別次元の音楽と言っても差し支えありません。
「高い技量を持ったプレーヤー達が、ニコリッチの強烈なリーダーシップのもと余裕綽々で楽しみながら演奏している」、まさにそういった風情なのです。
こんなモーツァルトが聴く側からみても、楽しめないわけがありません。
モーツァルトがもしこの演奏を聴いていたら、きっと拍手喝采したでしょう。

二曲目は、お目当てのケフェレックをソリストに迎えての「ジュノム」。
この日のケフェレックは、ソロのときのシックな衣裳とは異なり、真っ赤な衣裳で登場しました。
コンチェルトは、こんな雰囲気の方が映えますよね。
第1楽章冒頭から、愉悦感たっぷりの音楽を聴かせてくれます。
ケフェレックはソロのときと同様、実に冴えたタッチ。
そして、ニコリッチ率いるオーヴェルニュのメンバーが、あるときはケフェレックを支え、あるときはカウンターになって見事な音楽を聴かせてくれました。
何か、さながら最高の掛け合い漫才をみているよう。
ケフェレックが演奏中にみせてくれた素晴らしい微笑みの表情を、お伝えできないことが本当に残念です。
とくに第2楽章からフィナーレにかけては、私が聴いたこの曲の中のベストフォームにはいります。
それから、ニコリッチが、立ち上がりそうになりながら(いや、ときどき本当に立っていました)、何とも表情豊かにオケのメンバーをリードしていた姿も忘れられません。

この音楽祭では、小曽根真さんをソリストに迎えたジュノムが大変話題になっていましたが、ケフェレック組の演奏も、スタイルの違いはあるけど決して負けていなかったと思います。
終演後も大きな拍手に包まれていました。

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ペネティエ ピアノ協奏曲第22番変ホ長調K482 他(「熱狂の日」その7)

2006-05-07 | コンサートの感想
昼食はMICKEYさんと「つばめグリル」でいただきました。
音楽にまつわるいろいろな話題であっという間に時間が経ってしまい、話の続きはまた夕食の時にということで、会場へいそぎ戻りました。
午後のトップバッターは、ペネティエと香港シンフォニエッタの協演。
席は指定席でしたが、何と1列目。MICKEYさんのチケット確保にかけるパワーは凄いです。

<日時>2006年5月6日(土)13:30
<場所>東京国際フォーラム ホールB7
<演奏者>
■ジャン・クロード・ペネティエ(ピアノ)
■葉詠詩(指揮)
■香港シンフォニエッタ
<曲目>
モーツァルト
■ディベルティメントヘ長調「ザルツブルク交響曲第3番」K138
■ピアノ協奏曲第22番変ホ長調K482 

葉詠詩は今売り出し中の若手女性指揮者。
彼女が、モーツァルトで最も好きな作品は「魔笛」だそうです。
(おっ、かつての私と同じだ!)
香港シンフォニエッタというオケは、香港のプロの室内オーケストラだそうですが、前知識もまったくありません。

長身で美人のコンマス(コンミスというのでしょうか)に続いて、葉詠詩が颯爽と登場。
ディベルティメントが始まりました。
ポジティブな書き方をすると「若々しい」演奏。
でも、荒っぽい印象は拭えません。それとピッチが終始不安定だったので、大変申し訳ないけど十分楽しめたとは言いがたい演奏でした。

2曲目は、ペネティエを迎えての22番の協奏曲。
こちらは、ずっと良かった。
ペネティエも、朝のソロのコンサートを経ているので、最初から全開モード。
弱音部の美しさはソロのときと同様見事だったし、加えてフォルテも強い意志を感じさせてくれました。
オケもだいぶ安定してきて、なかなかいい感じの22番協奏曲だったと思います。

MICKEYさんによると、ペネティエはLP時代に22番協奏曲を録音しており、素晴らしい名演だったとの由。
CDにはなっていないようですが、CD化されたら是非聴いてみたいと思います。

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ジャン・クロード・ペネティエ ピアノソナタ(「熱狂の日」その6)

2006-05-07 | コンサートの感想
6日も、4日と同様5つのコンサートを聴きました。
この日は、ブログでお世話になっているMICKEYさんと終日ご一緒させていただきました。

この日の最初のコンサートは、ペネティエのピアノです。
ペネティエはMICKEYさんが敬愛されているピアニストのひとりで、かつてフォーレコンクールの一等賞を獲得し、室内楽等のレコーディングも多い人です。

<日時>2006年5月6日(土)10:00
<場所>東京国際フォーラム ホールD7
<演奏者>
■ジャン・クロード・ペネティエ(ピアノ)
<曲目>
モーツァルト
■ピアノソナタ第11番イ長調K331
■幻想曲ニ短調K397
■幻想曲ハ短調K475
■ピアノソナタ第14番ハ短調K457

ペネティエのソロの演奏は初めて聴きましたが、詩的なピアニストですねぇ。
弱音が美しい。単に音だけのことではなく、pのフレーズがことのほか美しい。
一方で、最初の2曲では、フォルテのときに少しばかり力任せのような印象が・・・。
バスが相対的に少し弱いように感じました。そのために、十分響かなかったのではないでしょうか。
ただ、朝10時という時間、空気がこなれていない状態のこの会場ということを考えると、あくまでもこの日に限った印象だと思います。

ハ短調幻想曲が終わり、聴衆からの拍手を自ら制して、すぐに始めたハ短調ソナタ。
これは素晴らしかった。
幻想的であるとともに格調の高さを感じさせてくれました。
午後のピアノ協奏曲(第22番)が楽しみです。

ところで、このハ短調ソナタは、モーツァルトが例の「フィガロ=ハウス」に住んでいた頃に作曲されています。ウィーンで見学した「モーツァルトハウス」のことをつい思い出してしまいました。
コメント

アンヌ・ケフェレック ピアノソナタ(「熱狂の日」その5)

2006-05-07 | コンサートの感想
順番が逆になりましたが、この日2回(もちろん別プロです)聴いたケフェレックのコンサートの感想を。

           

<日時>2006年5月4日(木)
<場所>東京国際フォーラム 
<演奏者>
■アンヌ・ケフェレック(ピアノ)
<曲目>
モーツァルト
《13:45 ホールB7》
■ピアノソナタ第1番K279
■ピアノソナタ第17番K570
■ピアノソナタ第6番K284 

《18:45 ホールD7》
■ピアノソナタ第10番K330
■ピアノソナタ第3番K281
■ピアノソナタ第9番K311 

結論を先に書いてしまうと、本当に素晴らしい演奏。
とにかく音が綺麗。CDで聴いて驚いたそのままの音でした。
声部の描き方が上手いんですね。それぞれの声部が実に活き活きとしてる!
そして、フレージングがきわめて自然なので、聴き手である私もずっと一緒に呼吸することができました。

まず、1回目のコンサート。
ホールB7は少し大きめのホール(770席)で、私の席は中ほどやや後ろ。
まったくフラットな床なので、視界ははっきり言ってよくありません。
でも、彼女の音の美しさ、表現の多彩は格別のものがありました。
17番ソナタの第3楽章なんかは、オペラチックと言っても過言ではありません。
また、6番の終楽章は変奏曲ですが、まあ何て見事なこと!ため息が出そうでした。私がもしピアノという楽器を弾けるのなら、そしてモーツァルトを弾けるとしたら、絶対こんな風に弾きたいと強く感じた次第です。(この日ばかりはピアノを弾ける人を、本当に羨ましく思いました)

そして、夜行われた2回目のコンサート。
朝、岡田博美さんを聴いたホールと同じですが、222席の小ホール。
傾斜がついているのでこのホールは見やすいです。
今回は、最前列ではなく3列目にしましたが、結果的に大正解。
曲目もこちらのほうがより魅力的なものが多く、演奏も一段と素晴らしいものでした。
とりわけ、K311は本当に素晴らしかった。第2楽章のアンダンテで涙をこらえるのにどれほど苦労したことか。
こんなモーツァルトを聴かせてもらって、本当に幸せでした。

ケフェレックのどこがこんなに素晴しいんだろう。
聴きながらずっと考えていました。
クリスタルのような美しい音と清潔で的確なフレージングがベースになっていることは疑う余地がありません。
でも、ただそれだけ?
ふと感じたのは、ケフェレックはスタッカートの達人なのです。
しかも彼女のスタッカートは、その種類が驚くほど多彩。
その見事なスタッカートの技術を駆使しながら、そのときどきの状況に応じてベストの表現を作り出していきます。
また、ケフェレックは、演奏にあたって「テーマの表現」に細心の注意をはらっているように感じました。ソナタなんだから当たり前と言われればそれまでですが、実に丁寧に形にしていきます。そして、テーマが再現される時は、頑固なまでにアーティキュレーションを揃えます。そのことによって、聴き手は知らず知らずのうちにソナタを立体的に感じることができるのです。
その際、さきほどのスタッカート技術が生きていることは言うまでもありません。

なんだかんだと書きましたが、そんな技術的なことよりもケフェレックのモーツァルトが本当に素晴らしいのは、演奏に彼女の温かく素敵な人柄がそのまま投影されてるからに他なりません。
終演後展示ホール内の新星堂ブースで、この日購入したスカルラッティのソナタのCDにサインをしてもらいましたが、素顔のケフェレックさんの、なんと気さくでチャーミングなこと!
「6日のコンチェルトも楽しみにしています」と通訳の方に伝えていただいたところ、笑顔でサンキューと答えてくれました。
男女の違いはありますが、「人間、こんな風に歳を重ねることが出来たら理想的」と強く思った次第です。

            

☆アンヌ・ケフェレック様
ひとつだけお願いがあります。
こんなに素敵なモーツァルトをお弾きになるのに、どうしてモーツァルトのCDは1枚しか作らないのですか?
是非是非、モーツァルトの作品全集を録音してください。
首を長くして待っております。




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