28日に観たベルリン国立歌劇場の『ドン・ジョヴァンニ』の興奮も冷めやらぬまま、今日は読響マチネへ行ってきました。
バレンボイムの凄さを強烈に印象付けられた昨日の『ドン・ジョヴァンニ』の感想を先に書くべきなのですが、『ドン・ジョヴァンニ』は明日書くことにして、今日は読響マチネのレビューを書くことにします。
それだけ大きな感銘を受けたのです。
<日時>2007年9月29日(土) 午後2時開演
<会場>東京芸術劇場
<曲目>
■バッハ(スクロヴァチェフスキ編曲):トッカータとフーガ ニ短調
■ショパン:ピアノ協奏曲第2番
■ブラームス:交響曲第1番
<演奏>
■ピアノ:エヴァ・クピーク
■指 揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ
■管弦楽:読売日本交響楽団
今日のマエストロは、常任指揮者のスクロヴァチェフスキ。
まず舞台をみて「あれっ」と思ったのは、いつもとチェロとヴィオラの位置が逆なのです。つまりヴィオラが1stヴァイオリンの対面にきています。
最初の曲は、マエストロ自身の編曲によるバッハのトッカータとフーガ。
ヴァイオリンの非常に高い音から始まるアレンジでしたが、いわゆる華麗な編曲ではなく、壮麗だけど常にオルガンの響き・音色が聴こえてくるような編曲でした。
私は、このアレンジがとても気に入りました。
それから特筆したいのは、弦楽器の音色の美しさ。
いつも素晴らしいアンサンブルを聴かせてくれている弦楽器ですが、音色もこんなに綺麗だったかしら。
前半のメインは、ショパンのピアノ協奏曲第2番。
ソリストは、ポーランド生まれで、1992年のミュンヘン音楽コンクールの覇者でもある女流ピアニストのエヴァ・クピーク。
オケの響きがとにかく見事です。バッハ同様、とりわけ弦の濡れたような音色、弱音部の表現力に痺れました。
そして神経が曲の隅々まで行き届いていることが、痛いほど伝わってきます。
一方、クピークのピアノはしっかりとした打鍵で音を響かせるのですが、表現は丁寧で、これまた神経の行き届いた演奏。
妙な表現で恐縮ですが、「ショパンの名に甘えない」演奏だった。
作品そのものに対するレスペクトの念を、非常に強く感じる演奏でした。
さて、今日のメインはブラームスの1番。
冒頭の響きを聴いて、早くも「ああ、ブラームス」と感じました。
そして、オーケストラのメンバーの一人一人が、スクロヴァチェフスキの指揮で演奏することに無上の喜びを感じています。
読響の猛者たちが、必死に、懸命に演奏しているのです。
マエストロに対するレスペクトの気持ちが直接伝わってくるような演奏は、聴き手にとっても嬉しいものです。
スクロヴァチェフスキのブラームスの特徴は、常に見通しがいいこと。
そして細部をおろそかにしません。
だから、響きそのものは分厚いのに絶対団子になったりしないのです。
この日の演奏では、豊かにこくを持った響きが印象的な第1楽章、歌心に溢れた第2楽章に続いて、第3楽章を少し遅めのテンポで演奏し、終楽章のホルンのコラールを自然に導きます。
その後、毅然としたアウフタクトからアレグロの主部を開始するマエストロ。
細かなモティーフを大切にしつつ、テンポはかなり細かく動かしますが、わざとらしさや安っぽさを感じさせないのは、やはり大家の芸。
そして、相当音楽が熱くなってきていたので、雰囲気的に一気呵成にコーダを駆け抜けるけるのかと思いきや、その手前で少しテンポを落とし、きちっと体制を整えて堂々たるエンディング。
私は、ごく自然に「ブラヴォー」と叫んでいました。
こんなブラームス、そうは聴けません。
バレンボイムの凄さを強烈に印象付けられた昨日の『ドン・ジョヴァンニ』の感想を先に書くべきなのですが、『ドン・ジョヴァンニ』は明日書くことにして、今日は読響マチネのレビューを書くことにします。
それだけ大きな感銘を受けたのです。
<日時>2007年9月29日(土) 午後2時開演
<会場>東京芸術劇場
<曲目>
■バッハ(スクロヴァチェフスキ編曲):トッカータとフーガ ニ短調
■ショパン:ピアノ協奏曲第2番
■ブラームス:交響曲第1番
<演奏>
■ピアノ:エヴァ・クピーク
■指 揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ
■管弦楽:読売日本交響楽団
今日のマエストロは、常任指揮者のスクロヴァチェフスキ。
まず舞台をみて「あれっ」と思ったのは、いつもとチェロとヴィオラの位置が逆なのです。つまりヴィオラが1stヴァイオリンの対面にきています。
最初の曲は、マエストロ自身の編曲によるバッハのトッカータとフーガ。
ヴァイオリンの非常に高い音から始まるアレンジでしたが、いわゆる華麗な編曲ではなく、壮麗だけど常にオルガンの響き・音色が聴こえてくるような編曲でした。
私は、このアレンジがとても気に入りました。
それから特筆したいのは、弦楽器の音色の美しさ。
いつも素晴らしいアンサンブルを聴かせてくれている弦楽器ですが、音色もこんなに綺麗だったかしら。
前半のメインは、ショパンのピアノ協奏曲第2番。
ソリストは、ポーランド生まれで、1992年のミュンヘン音楽コンクールの覇者でもある女流ピアニストのエヴァ・クピーク。
オケの響きがとにかく見事です。バッハ同様、とりわけ弦の濡れたような音色、弱音部の表現力に痺れました。
そして神経が曲の隅々まで行き届いていることが、痛いほど伝わってきます。
一方、クピークのピアノはしっかりとした打鍵で音を響かせるのですが、表現は丁寧で、これまた神経の行き届いた演奏。
妙な表現で恐縮ですが、「ショパンの名に甘えない」演奏だった。
作品そのものに対するレスペクトの念を、非常に強く感じる演奏でした。
さて、今日のメインはブラームスの1番。
冒頭の響きを聴いて、早くも「ああ、ブラームス」と感じました。
そして、オーケストラのメンバーの一人一人が、スクロヴァチェフスキの指揮で演奏することに無上の喜びを感じています。
読響の猛者たちが、必死に、懸命に演奏しているのです。
マエストロに対するレスペクトの気持ちが直接伝わってくるような演奏は、聴き手にとっても嬉しいものです。
スクロヴァチェフスキのブラームスの特徴は、常に見通しがいいこと。
そして細部をおろそかにしません。
だから、響きそのものは分厚いのに絶対団子になったりしないのです。
この日の演奏では、豊かにこくを持った響きが印象的な第1楽章、歌心に溢れた第2楽章に続いて、第3楽章を少し遅めのテンポで演奏し、終楽章のホルンのコラールを自然に導きます。
その後、毅然としたアウフタクトからアレグロの主部を開始するマエストロ。
細かなモティーフを大切にしつつ、テンポはかなり細かく動かしますが、わざとらしさや安っぽさを感じさせないのは、やはり大家の芸。
そして、相当音楽が熱くなってきていたので、雰囲気的に一気呵成にコーダを駆け抜けるけるのかと思いきや、その手前で少しテンポを落とし、きちっと体制を整えて堂々たるエンディング。
私は、ごく自然に「ブラヴォー」と叫んでいました。
こんなブラームス、そうは聴けません。