出演歌手等で印象に残った点を簡単にご紹介します。
■フィガロ(ダルカンジェロ)
演技が上手い。10年前のザルツブルク音楽祭の時よりも一段と生き生きとしている印象。当代きってのフィガロかもしれません。
■スザンナ(ダムラウ)
頭の回転の早い、才色兼備のスザンナ。
ロイヤルオペラの夜の女王でも、絶叫しない愛情と威厳を持った素晴らしい名唱を聴かせてくれましたが、とにかく歌の技術が高く、どんなときも安心して聴くことが出来ます。
キャストが替わったことに大いに感謝です。
今後ますます大きく飛躍する人だと確信しました。
ところで、今年のザルツブルク音楽祭の目玉は、ムーティが指揮するフィガロといわれていますが、スザンナ役はあのネトレプコです。クレージーなプライスはともかくとして、興味しんしんですね。
■アルマヴィーヴァ伯爵(エレード)、伯爵夫人(ハルテロス)
2人とも、とくにここがというよりも全体的に非常に安心感をあたえる歌唱でした。オペラの流れに乗った歌唱というのでしょうか・・・。
また、演技もとても上手です。
ハルテロスは、やや声が重い感じもしましたが、第3幕のアリアではベストパフォーマンス。手紙の二重唱も素敵でした。
スザンナ役のダムラウと声質の違いもはっきりしていたので、そのあたりもピッタリ。
■ケルビーノ(ガランチャ)
この日一番の聴きもの。
ほんとに歌・演技・美貌と3拍子揃った人ですね。
これから、きっと人気が沸騰することでしょう。
この日も彼女に対するブラヴォーが凄かった!
ガランチャは「ホフマン物語」で何年か前に新国立劇場にも出演していたのですが、残念ながら観そびれてしまいました。ああ、残念。
■バルトロ、マルチェリーナ、バルバリーナ
いずれもぴったりのはまり役。
マルチェリーナ役のグリゴリアンは、肝心の第4幕のアリアで少しトチッてしまったのが本当に残念ですが、全体的にはとても魅力的なマルチェリーナでした。
バルトロ役のアンガーは、非常に大柄なバリトン。私の大好きな第1幕4番のアリアも良かったのですが、最後の部分はフィガロに負けるもんかと意地を見せる箇所なので、もっと胸を張って大きく歌って欲しかったところです。
バルバリーナの第4幕冒頭のアリア、本当にいい曲ですね。トンカも素敵に聴かせてくれました。
■ムーティ
このウィーンでどれだけ絶大な人気を博しているか、また、なぜウィーンの人たちに愛されるかがよくわかりました。
まさに天性のオペラ指揮者です。
この生み出される音楽の鮮度の高さは、どう表現したらいいんだろう。
ムーティは音楽の変わり目をほんとに大切にします。間近でその表情の全てを観ることができて、何となく真髄というか秘密の一部が分かったような気がしました。
たとえば、第2幕の終曲。
伯爵がフィガロに無名の手紙のことを詰問する場面、「伯爵、どうか私たちの願いを聞き入れて・・・」とスザンナと伯爵夫人に絶妙のppで歌わせたあと、腹にずしんと応えるくらいのfを弦楽器で響かせる。
そして、アントニオが登場する場面で聴かせてくれたオーケストラの推進力の素晴らしさ。
そして、その後フィガロがとっさに機転を利かせて叫ぶ「ハッハッハッ」のシーンでは、流れを一挙に断ち切るがごとく思いっきり絶叫させていました。
これはほんの一例ですが、その場面場面のほんの些細な変化も見逃さない音楽手腕の見事さを目の当たりにして、もうずっと興奮しまくっておりました。
最後にケルビーノの有名な2つのアリアについて、少しコメントします。
■第1幕「自分で自分がわからない」
さぞ早いテンポかと思いきや、通常よりむしろゆったりしたテンポ。
「単に目の廻るような・・・」解釈ではなく、「どちらを向いて語りかけても愛情の持って行き場がわからない」というような意味合いがあるように感じました。
このゆったりしたテンポのおかげで、ケルビーノの心の綾が実によくわかりました。
■第2幕「恋とはこんなものかしら」
もう、ひたすら陶酔。ガランチャ最高!思い出してみると、10年前ザルツブルクでケルビーノを歌ったのはすっかりメジャーな歌手に成長したスーザン・グラハム。あのときも大ブラヴォーでしたが、この日のガランツァはそのときのグラハムを上回っているように思います。
すっかりはまってしまいました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/e8/5b49dc4bd771f18856a5483b7f6b6da7.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/12/a10ed293f2b6660581ed5747b7d79a4d.jpg)
終演後、今回の公演があまりに素晴らしかったので楽屋裏の出口で待っていると、歌手達たちが出てきました。
そして、どきどきしながら3人の女性歌手にサインを貰うことができました。
■ハルテロス:とても優しい人でした。そして何と日本語で「ドウモ アリガトゴザイマシタ」と挨拶してくれました。一発で彼女のファンになってしまったことは言うまでもありません。
■ガランチャ:凄い人気です。またほんと美人ですね。
■ダムラウ:とても穏やかな感じの人。たった今、舞台であれほど素敵な歌を聴かせてくれた人が、目の前にいるとはとても思えません。
素顔もとてもチャーミングな3人でした。
そしてサインをもらう間、2日前の公演にも来たという日本人の紳士とも話をしましたが、私たちが聴いたこの日の公演の方が断然良かったとの由。
明日日本に帰るので本当にいい想い出になったと仰っていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/74/c870a43298ef25e9d7ffaa6de1e69b4e.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/05/58bae0daf5148242aaacea7662ccfaa9.jpg)
本当に私は何と幸運なんだろう。
ひたすら感謝、感謝です。
■フィガロ(ダルカンジェロ)
演技が上手い。10年前のザルツブルク音楽祭の時よりも一段と生き生きとしている印象。当代きってのフィガロかもしれません。
■スザンナ(ダムラウ)
頭の回転の早い、才色兼備のスザンナ。
ロイヤルオペラの夜の女王でも、絶叫しない愛情と威厳を持った素晴らしい名唱を聴かせてくれましたが、とにかく歌の技術が高く、どんなときも安心して聴くことが出来ます。
キャストが替わったことに大いに感謝です。
今後ますます大きく飛躍する人だと確信しました。
ところで、今年のザルツブルク音楽祭の目玉は、ムーティが指揮するフィガロといわれていますが、スザンナ役はあのネトレプコです。クレージーなプライスはともかくとして、興味しんしんですね。
■アルマヴィーヴァ伯爵(エレード)、伯爵夫人(ハルテロス)
2人とも、とくにここがというよりも全体的に非常に安心感をあたえる歌唱でした。オペラの流れに乗った歌唱というのでしょうか・・・。
また、演技もとても上手です。
ハルテロスは、やや声が重い感じもしましたが、第3幕のアリアではベストパフォーマンス。手紙の二重唱も素敵でした。
スザンナ役のダムラウと声質の違いもはっきりしていたので、そのあたりもピッタリ。
■ケルビーノ(ガランチャ)
この日一番の聴きもの。
ほんとに歌・演技・美貌と3拍子揃った人ですね。
これから、きっと人気が沸騰することでしょう。
この日も彼女に対するブラヴォーが凄かった!
ガランチャは「ホフマン物語」で何年か前に新国立劇場にも出演していたのですが、残念ながら観そびれてしまいました。ああ、残念。
■バルトロ、マルチェリーナ、バルバリーナ
いずれもぴったりのはまり役。
マルチェリーナ役のグリゴリアンは、肝心の第4幕のアリアで少しトチッてしまったのが本当に残念ですが、全体的にはとても魅力的なマルチェリーナでした。
バルトロ役のアンガーは、非常に大柄なバリトン。私の大好きな第1幕4番のアリアも良かったのですが、最後の部分はフィガロに負けるもんかと意地を見せる箇所なので、もっと胸を張って大きく歌って欲しかったところです。
バルバリーナの第4幕冒頭のアリア、本当にいい曲ですね。トンカも素敵に聴かせてくれました。
■ムーティ
このウィーンでどれだけ絶大な人気を博しているか、また、なぜウィーンの人たちに愛されるかがよくわかりました。
まさに天性のオペラ指揮者です。
この生み出される音楽の鮮度の高さは、どう表現したらいいんだろう。
ムーティは音楽の変わり目をほんとに大切にします。間近でその表情の全てを観ることができて、何となく真髄というか秘密の一部が分かったような気がしました。
たとえば、第2幕の終曲。
伯爵がフィガロに無名の手紙のことを詰問する場面、「伯爵、どうか私たちの願いを聞き入れて・・・」とスザンナと伯爵夫人に絶妙のppで歌わせたあと、腹にずしんと応えるくらいのfを弦楽器で響かせる。
そして、アントニオが登場する場面で聴かせてくれたオーケストラの推進力の素晴らしさ。
そして、その後フィガロがとっさに機転を利かせて叫ぶ「ハッハッハッ」のシーンでは、流れを一挙に断ち切るがごとく思いっきり絶叫させていました。
これはほんの一例ですが、その場面場面のほんの些細な変化も見逃さない音楽手腕の見事さを目の当たりにして、もうずっと興奮しまくっておりました。
最後にケルビーノの有名な2つのアリアについて、少しコメントします。
■第1幕「自分で自分がわからない」
さぞ早いテンポかと思いきや、通常よりむしろゆったりしたテンポ。
「単に目の廻るような・・・」解釈ではなく、「どちらを向いて語りかけても愛情の持って行き場がわからない」というような意味合いがあるように感じました。
このゆったりしたテンポのおかげで、ケルビーノの心の綾が実によくわかりました。
■第2幕「恋とはこんなものかしら」
もう、ひたすら陶酔。ガランチャ最高!思い出してみると、10年前ザルツブルクでケルビーノを歌ったのはすっかりメジャーな歌手に成長したスーザン・グラハム。あのときも大ブラヴォーでしたが、この日のガランツァはそのときのグラハムを上回っているように思います。
すっかりはまってしまいました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/e8/5b49dc4bd771f18856a5483b7f6b6da7.jpg)
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終演後、今回の公演があまりに素晴らしかったので楽屋裏の出口で待っていると、歌手達たちが出てきました。
そして、どきどきしながら3人の女性歌手にサインを貰うことができました。
■ハルテロス:とても優しい人でした。そして何と日本語で「ドウモ アリガトゴザイマシタ」と挨拶してくれました。一発で彼女のファンになってしまったことは言うまでもありません。
■ガランチャ:凄い人気です。またほんと美人ですね。
■ダムラウ:とても穏やかな感じの人。たった今、舞台であれほど素敵な歌を聴かせてくれた人が、目の前にいるとはとても思えません。
素顔もとてもチャーミングな3人でした。
そしてサインをもらう間、2日前の公演にも来たという日本人の紳士とも話をしましたが、私たちが聴いたこの日の公演の方が断然良かったとの由。
明日日本に帰るので本当にいい想い出になったと仰っていました。
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/05/58bae0daf5148242aaacea7662ccfaa9.jpg)
本当に私は何と幸運なんだろう。
ひたすら感謝、感謝です。