今年、私の心に残ったコンサート&オペラのベスト10を選んでみました。
今年はドイツ系オペラの豊作の年。とくに、秋はヨーロッパの名門オペラ座が相次いで来日し、いずれも素晴らしいステージを観せてくれました。
断トツのトップは、バレンボイムの「トリスタン」。
次いで、チューリッヒの「ばらの騎士」、コルボのフォーレが続き、そのあとは順不同です。
しかし、昨年も感じましたが、10公演に絞るのは本当に難しいなぁ。
ドレスデンの「ばらの騎士」はチューリッヒと演目がダブるので泣く泣くカット、また、コバケンとアルブレヒトのマーラーの9番も同じ理由で選びませんでした。
ドレスデンの「サロメ」は、とりわけオーケストラの芳醇な音色に惹かれましたが、演出が気に入らなかったのでこれもカットしました。
メルベートのエリーザベトが出色だった新国立の「タンホイザー」、小菅さんのリスト、スクロヴァチェフスキのブラームスも忘れられない名演でした。
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☆ベルリン国立歌劇場 ワーグナー:「トリスタンとイゾルデ」
<日時>2007年10月17日(水)15:00~
<会場>NHKホール
<演奏>
■フランツ、マイヤー、パーペ、トレケルほか
■バレンボイム指揮 ベルリン・シュターツカペレ 同合唱団
今年のベスト1は、断然これ。
まさに当代随一のトリスタンでした。
私が今まで観たオペラの中でも、10年前の「バレンボイムのワルキューレ」、昨年ウィーンで観た「ムーティのフィガロ」とならんで、間違いなくベスト3に入ります。
パーペ演じるマルケ王の悲しみ、神々しいまでのマイヤーのイゾルデ、ホール全体を官能の渦に巻き込んだバレンボイムの統率力。
もう言葉はありません。
「愛の死」の感動的な場面と共に、決して忘れることはないでしょう。
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☆チューリッヒ歌劇場 リヒャルト・シュトラウス:「ばらの騎士」
<日時>2007年9月8日(土)14:00開演
<会場>Bunkamuraオーチャードホール
<演奏>
■シュテンメ、カサロヴァ、ハルテリウス、ムフほか
■ウェルザー=メスト指揮 チューリッヒ歌劇場管弦楽団 同合唱団
決して私に近づいてくれなかった「ばらの騎士」が、私のほうにやっと微笑んでくれた記念すべき公演。
この公演を機に、「ばらの騎士」は、私の大切なオペラになりました。
センス溢れるウェルザー=メストの指揮のもと、寄せ集めではなかなか実現しない緊密なアンサンブルが、このオペラの素晴らしさを教えてくれました。
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☆チューリッヒ歌劇場 ヴェルディ:「椿姫」
<日時>2007年9月1日(土)15:00開演
<会場>Bunkamuraオーチャードホール
<演奏>
■エヴァ・メイ、ベチャーラ、ヌッチほか
■ウェルザー=メスト指揮 チューリッヒ歌劇場管弦楽団 同合唱団
チューリッヒオペラを二演目とも選んだのは、それだけ魅力的だったから。
エヴァ=メイのヴィオレッタは、技術的にも安定しており、声質・容姿ともに
私の理想像。芸達者のヌッチのジェルモンも◎。
「ばらの騎士」同様、これだけ緊密なアンサンブルを聴かせられるというのは、やはり何度も上演を重ねてきた賜物だと思います。
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☆コルボ フォーレ:宗教曲集
<日時>2007年5月4日(金)
<会場>東京国際フォーラム
<曲目>
フォーレ作曲
■小ミサ曲
■ラシーヌの賛歌 作品11
フォーレ&メサジェ作曲
■ヴィレルヴィルの漁師たちのためのミサ曲 ほか
<演奏>
■アナ・キンタンシュ(S)
■ミシェル・コルボ指揮、ローザンヌ声楽アンサンブル、シンフォニア・ヴァルソヴィア
何回か上演されたレクイエムとは異なり、ラ・フォル・ジュルネの期間中、たった一回だけのプログラム。
このフォーレの珠玉のような作品を、こんなに素晴らしいコルボたちの演奏で聴くことは奇跡に近いかもしれません。
ラシーヌ賛歌はもちろん、小ミサ、メサジェとの共作のミサ曲等、もう聴きながら涙がとまりませんでした。
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☆コルボ フォーレ:レクイエム
<日時>2007年5月3日(木)
<会場>東京国際フォーラム
<曲目>
■フォーレ:レクイエム 作品48
<演奏>
■アナ・キンタンシュ(S)、ピーター・ハーヴィー(Br)
■ミシェル・コルボ指揮、ローザンヌ声楽アンサンブル、シンフォニア・ヴァルソヴィア
数あるレクイエムの中でも、最も清楚で美しい音楽、それがフォーレのレクイエムです。
その最美の音楽を、コルボが演奏する。
もう、祈るような気持ちで開演を待っていました。
MICKEYさん・ユリアヌスさんと一緒に聴きましたが、3人とも終演後言葉が出ません。
そのくらい、透明感に溢れ、かつ豊かな演奏でした。
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☆アレクサンダー・ガヴリリュク ピアノリサイタル
<日時>2007年12月1日(土) 18:00開演
<会場>東京オペラシティ コンサートホール
<曲目>
■バッハ(ブゾーニ編):トッカータとフーガ二短調 BWV565
■ラフマニノフ:練習曲集「音の絵」op.39(全9曲)他
私のハナマル推薦のピアニスト。
ガヴリリュクは華麗な超絶技巧の持ち主ですが、真骨頂は、その素晴らしいテクニックがすべて「音楽を表現する」ことに使われていること。
これだけデリケートに、かつレガートに弾けるピアニストも少ないでしょう。
シューベルトのうた、ラフマニノフの詩的かつ華麗な表現、いずれも申し分ないレベルで聴かせてくれました。
この若さでこの完成度。早熟の天才にならないことを祈るばかりです。
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☆ナタリー・デセイ ソプラノリサイタル
<日時>2007年11月21日(水) 19:00 開演
<会場>東京オペラシティ コンサートホール
<曲目>
■ドニゼッティ:「ランメルモールのルチア」より 狂乱の場
■ヴェルディ:「椿姫」より“不思議だわ~そは彼の人か~花から花へ”
ほか
<演奏>
■ナタリー・デセイ(ソプラノ)
■サーシャ・レッケルト (ヴェロフォン)
■エヴェリーノ・ピド 指揮、東京フィルハーモニー交響楽団
待ちに待ったデセイのコンサート。
あいにく体調が良くなかったようですが、それでも歌いだすと、ステージはデセイの世界。
役になりきった歌唱の上手さは天才的です。
次回は、是非オペラの中で観てみたい。「椿姫」は近く海外で歌うそうですが、日本にも来ないかなぁ。
また、ルチアで優しく響いたヴェロフォンも印象的でした。
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☆バレンボイム マーラー交響曲第9番
<日時>2007年10月12日(金)7:00開演
<会場>サントリーホール
<演奏>
■指 揮:ダニエル・バレンボイム
■管弦楽:ベルリン・シュターツカペレ
同じメンバーのCDを聴いて、チケットをとったコンサート。
今年3回目のマラ9でしたが、バレンボイムが最も印象的でした。
終楽章に至るドラマが実に巧みに構築されていて、感銘を与えてくれました。
ラストで数十秒の沈黙を演出したこの日の聴衆にも、大きなブラヴォー!
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☆ケフェレック ピアノリサイタル
<日時>2007年5月3日(木)
<会場>東京国際フォーラム
<曲目>
ラヴェル作曲
■亡き王女のためのパヴァーヌ、鏡 ほか
<演奏>
■アンヌ・ケフェレック(p)
昨年のモーツァルトの演奏で、すっかり虜になってしまったケフェレック。
今年はラヴェルでしたが、とにかく音色が多彩。
ひとつの音色を使ったら、その余韻を聴き手に十分意識させておいて、次の色を使う。しかも微妙に音量を変化させてくる。
もう、最高にチャーミングなラヴェル!
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☆ブルネロ チェロリサイタル
<日時>2007年2月14日(水) 19:00開演
<場所>東京文化会館 大ホール
<曲目>
■ブラームス:チェロ・ソナタ第1番 ホ短調 作品38
■シューマン:アダージョとアレグロ 変イ長調 作品70 ほか
<演奏>
■マリオ・ブルネロ(チェロ)
■アンドレア・ルケシーニ(ピアノ)
昨年、アバド&ルツェルンのブラームスのピアノ協奏曲で聴いたチェロソロがあまりに素晴らしかったので、何としてもリサイタルを聴きたかったブルネロ。
ブルネロのチェロは本当によく歌う。しかし、決して一線を踏み越えない。
バレンタインデーの、素敵なブラームス・シューマンでした。
今年はドイツ系オペラの豊作の年。とくに、秋はヨーロッパの名門オペラ座が相次いで来日し、いずれも素晴らしいステージを観せてくれました。
断トツのトップは、バレンボイムの「トリスタン」。
次いで、チューリッヒの「ばらの騎士」、コルボのフォーレが続き、そのあとは順不同です。
しかし、昨年も感じましたが、10公演に絞るのは本当に難しいなぁ。
ドレスデンの「ばらの騎士」はチューリッヒと演目がダブるので泣く泣くカット、また、コバケンとアルブレヒトのマーラーの9番も同じ理由で選びませんでした。
ドレスデンの「サロメ」は、とりわけオーケストラの芳醇な音色に惹かれましたが、演出が気に入らなかったのでこれもカットしました。
メルベートのエリーザベトが出色だった新国立の「タンホイザー」、小菅さんのリスト、スクロヴァチェフスキのブラームスも忘れられない名演でした。
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☆ベルリン国立歌劇場 ワーグナー:「トリスタンとイゾルデ」
<日時>2007年10月17日(水)15:00~
<会場>NHKホール
<演奏>
■フランツ、マイヤー、パーペ、トレケルほか
■バレンボイム指揮 ベルリン・シュターツカペレ 同合唱団
今年のベスト1は、断然これ。
まさに当代随一のトリスタンでした。
私が今まで観たオペラの中でも、10年前の「バレンボイムのワルキューレ」、昨年ウィーンで観た「ムーティのフィガロ」とならんで、間違いなくベスト3に入ります。
パーペ演じるマルケ王の悲しみ、神々しいまでのマイヤーのイゾルデ、ホール全体を官能の渦に巻き込んだバレンボイムの統率力。
もう言葉はありません。
「愛の死」の感動的な場面と共に、決して忘れることはないでしょう。
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☆チューリッヒ歌劇場 リヒャルト・シュトラウス:「ばらの騎士」
<日時>2007年9月8日(土)14:00開演
<会場>Bunkamuraオーチャードホール
<演奏>
■シュテンメ、カサロヴァ、ハルテリウス、ムフほか
■ウェルザー=メスト指揮 チューリッヒ歌劇場管弦楽団 同合唱団
決して私に近づいてくれなかった「ばらの騎士」が、私のほうにやっと微笑んでくれた記念すべき公演。
この公演を機に、「ばらの騎士」は、私の大切なオペラになりました。
センス溢れるウェルザー=メストの指揮のもと、寄せ集めではなかなか実現しない緊密なアンサンブルが、このオペラの素晴らしさを教えてくれました。
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☆チューリッヒ歌劇場 ヴェルディ:「椿姫」
<日時>2007年9月1日(土)15:00開演
<会場>Bunkamuraオーチャードホール
<演奏>
■エヴァ・メイ、ベチャーラ、ヌッチほか
■ウェルザー=メスト指揮 チューリッヒ歌劇場管弦楽団 同合唱団
チューリッヒオペラを二演目とも選んだのは、それだけ魅力的だったから。
エヴァ=メイのヴィオレッタは、技術的にも安定しており、声質・容姿ともに
私の理想像。芸達者のヌッチのジェルモンも◎。
「ばらの騎士」同様、これだけ緊密なアンサンブルを聴かせられるというのは、やはり何度も上演を重ねてきた賜物だと思います。
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☆コルボ フォーレ:宗教曲集
<日時>2007年5月4日(金)
<会場>東京国際フォーラム
<曲目>
フォーレ作曲
■小ミサ曲
■ラシーヌの賛歌 作品11
フォーレ&メサジェ作曲
■ヴィレルヴィルの漁師たちのためのミサ曲 ほか
<演奏>
■アナ・キンタンシュ(S)
■ミシェル・コルボ指揮、ローザンヌ声楽アンサンブル、シンフォニア・ヴァルソヴィア
何回か上演されたレクイエムとは異なり、ラ・フォル・ジュルネの期間中、たった一回だけのプログラム。
このフォーレの珠玉のような作品を、こんなに素晴らしいコルボたちの演奏で聴くことは奇跡に近いかもしれません。
ラシーヌ賛歌はもちろん、小ミサ、メサジェとの共作のミサ曲等、もう聴きながら涙がとまりませんでした。
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☆コルボ フォーレ:レクイエム
<日時>2007年5月3日(木)
<会場>東京国際フォーラム
<曲目>
■フォーレ:レクイエム 作品48
<演奏>
■アナ・キンタンシュ(S)、ピーター・ハーヴィー(Br)
■ミシェル・コルボ指揮、ローザンヌ声楽アンサンブル、シンフォニア・ヴァルソヴィア
数あるレクイエムの中でも、最も清楚で美しい音楽、それがフォーレのレクイエムです。
その最美の音楽を、コルボが演奏する。
もう、祈るような気持ちで開演を待っていました。
MICKEYさん・ユリアヌスさんと一緒に聴きましたが、3人とも終演後言葉が出ません。
そのくらい、透明感に溢れ、かつ豊かな演奏でした。
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☆アレクサンダー・ガヴリリュク ピアノリサイタル
<日時>2007年12月1日(土) 18:00開演
<会場>東京オペラシティ コンサートホール
<曲目>
■バッハ(ブゾーニ編):トッカータとフーガ二短調 BWV565
■ラフマニノフ:練習曲集「音の絵」op.39(全9曲)他
私のハナマル推薦のピアニスト。
ガヴリリュクは華麗な超絶技巧の持ち主ですが、真骨頂は、その素晴らしいテクニックがすべて「音楽を表現する」ことに使われていること。
これだけデリケートに、かつレガートに弾けるピアニストも少ないでしょう。
シューベルトのうた、ラフマニノフの詩的かつ華麗な表現、いずれも申し分ないレベルで聴かせてくれました。
この若さでこの完成度。早熟の天才にならないことを祈るばかりです。
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☆ナタリー・デセイ ソプラノリサイタル
<日時>2007年11月21日(水) 19:00 開演
<会場>東京オペラシティ コンサートホール
<曲目>
■ドニゼッティ:「ランメルモールのルチア」より 狂乱の場
■ヴェルディ:「椿姫」より“不思議だわ~そは彼の人か~花から花へ”
ほか
<演奏>
■ナタリー・デセイ(ソプラノ)
■サーシャ・レッケルト (ヴェロフォン)
■エヴェリーノ・ピド 指揮、東京フィルハーモニー交響楽団
待ちに待ったデセイのコンサート。
あいにく体調が良くなかったようですが、それでも歌いだすと、ステージはデセイの世界。
役になりきった歌唱の上手さは天才的です。
次回は、是非オペラの中で観てみたい。「椿姫」は近く海外で歌うそうですが、日本にも来ないかなぁ。
また、ルチアで優しく響いたヴェロフォンも印象的でした。
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☆バレンボイム マーラー交響曲第9番
<日時>2007年10月12日(金)7:00開演
<会場>サントリーホール
<演奏>
■指 揮:ダニエル・バレンボイム
■管弦楽:ベルリン・シュターツカペレ
同じメンバーのCDを聴いて、チケットをとったコンサート。
今年3回目のマラ9でしたが、バレンボイムが最も印象的でした。
終楽章に至るドラマが実に巧みに構築されていて、感銘を与えてくれました。
ラストで数十秒の沈黙を演出したこの日の聴衆にも、大きなブラヴォー!
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☆ケフェレック ピアノリサイタル
<日時>2007年5月3日(木)
<会場>東京国際フォーラム
<曲目>
ラヴェル作曲
■亡き王女のためのパヴァーヌ、鏡 ほか
<演奏>
■アンヌ・ケフェレック(p)
昨年のモーツァルトの演奏で、すっかり虜になってしまったケフェレック。
今年はラヴェルでしたが、とにかく音色が多彩。
ひとつの音色を使ったら、その余韻を聴き手に十分意識させておいて、次の色を使う。しかも微妙に音量を変化させてくる。
もう、最高にチャーミングなラヴェル!
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☆ブルネロ チェロリサイタル
<日時>2007年2月14日(水) 19:00開演
<場所>東京文化会館 大ホール
<曲目>
■ブラームス:チェロ・ソナタ第1番 ホ短調 作品38
■シューマン:アダージョとアレグロ 変イ長調 作品70 ほか
<演奏>
■マリオ・ブルネロ(チェロ)
■アンドレア・ルケシーニ(ピアノ)
昨年、アバド&ルツェルンのブラームスのピアノ協奏曲で聴いたチェロソロがあまりに素晴らしかったので、何としてもリサイタルを聴きたかったブルネロ。
ブルネロのチェロは本当によく歌う。しかし、決して一線を踏み越えない。
バレンタインデーの、素敵なブラームス・シューマンでした。