ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

秋に聴いたコンサート (その1)

2012-12-30 | コンサートの感想
今年も残すところ、あと1日あまり。
ブログも書きたいことは沢山あったのに、またまた生来のサボリ癖が出て殆んど書けずじまい。
ただ今年の10月以降聴いたコンサートは素晴らしい名演ばかりで、これは自分の備忘録としても書いておかねばと思い、まとめて書くことにした次第。
まず第一弾。

◎ウィーン国立歌劇場日本公演
リヒャルト・シュトラウス 歌劇「サロメ」
<日時>2012年10月14日(日)15:00開演
<会場>東京文化会館
<出演>
■サロメ:グン=ブリット・バークミン
■ヨカナーン:マルクス・マルカルト
■ヘロデ:ルドルフ・シャシンク
■ヘロディアス:イリス・フェルミリオン
■ナラボート:ヘルベルト・リッペルト
■小姓:ウルリケ・ヘルツェル
<指揮>ペーター・シュナイダー
<演出>ボレスラフ・バルロク
⇒歌手はほとんど知らないし、その上、指揮者もウェルザー・メストから急遽交代。
しかし、ウィーンのサロメはびくともしない。「これぞサロメ!」というかけがえのない濃密な世界を体験させてもらった。
やはりサロメはオケが主役なんです。
加えて、シュナイダーはウィーンで何度もサロメを手掛けてこのオペラの真髄を知り尽くしているし、サロメ役のバークミン以下歌手たちも、私が知らないだけで皆実力派揃い。
今まで私が観た中で、文句なく最高のサロメだった。


◎ティーレマン&ドレスデン・シュターツカペレ
<日時>2012年10月26日(金)19:00開演
<会場>サントリーホール
<曲目>
■ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」より前奏曲と愛の死
■ブルックナー:交響曲第7番ホ長調
⇒なぜティーレマンが当代きっての人気指揮者と言われるのか、それを思い知らされたブルックナーだった。
極めて丹念に彫刻された音楽に耳を傾けているうちに、次第に速いのか遅いのかすら分からなくなってくる。
やがて自分の体がふわりと空中に浮きあがり、あとはティーレマンのなすがままといった状態に・・・。
そして気がつくとフィナーレが終わっていた。
彼の音楽がこれほど強い陶酔感をもたらしてくれるとは想像もしていなかった。フルトヴェングラーの実演は、ひょっとしたらこんな感じだったのかもしれない。
かつて、アバドのマーラーを聴いて、同じように空中浮遊に近い感覚を味わったことがあるが、決定的に違うのはアバドの音楽には絶対毒がないと信じられたこと。
ティーレマンの場合は、ひょっとしたら毒饅頭かもしれないと思いつつ、それで死ねたら本望と感じさせる魔力があった。
ウィーンフィルが、いま最も一緒に演奏したいマエストロとしてティーレマンの名前を挙げていたことも頷ける。
凄いものを聴いてしまった。


◎小菅優&シェレンベルガー
<日時>2012年11月2日(金)19:00開演
<会場>すみだトリフォニーホール
<曲目>モーツァルト
■歌劇「イドメネオ」序曲
■ピアノ協奏曲第21番ハ長調
■ピアノ協奏曲第23番イ長調
■交響曲第41番ハ長調「ジュピター」
<演奏>
■小菅優(ピアノ)
■シェレンベルガー(指揮)
■カメラータ・ザルツブルク
⇒凄い体験をさせてくれたティーレマンのブルックナーからちょうど一週間後に聴いたコンサート。
大好きな小菅さんのピアノと、これまた大好きなシェレンベルガーが組んでモーツァルトを演奏すると聴いたら放っておけない。
小菅さんのピアノは、いつもに増して多彩な表現と即興性で楽しませてくれた。
一方のシェレンベルガーたちの本領発揮は、最後のジュピター。
第二楽章のテンポは史上最速じゃないかと思うくらい速かったけど、せかせかした感じは皆無。細かなリズムに捉われずに大きな塊で音楽を捉える感性が実に魅力的。そしてフィナーレがこれまた見事。
聴き終わって、とても幸福感に浸れた。


◎ドニゼッティ:歌劇「ランメルモールのルチア」(コンサート形式)
<日時>2012年11月12日(月)19:00開演
<会場>サントリーホール
<出演>
■ナタリー・デセイ(S) ルチア
■ウラジスラフ・スリムスキー(Br) エンリーコ
■エフゲニー・アキーモフ(T) エドガルト
<演奏>
■ワレリー・ゲルギエフ(指揮)
■マリインスキー歌劇場管弦楽団
⇒コンサート形式のルチア。しかし、あのデセイのルチアが聴けるんだから、贅沢は言えない。
心ときめかせて開演を待っていた。
コンサート形式のオペラで、前から2列目の席をゲットできたメリットは計り知れない。
息遣いもはっきり聴こえるような近いところで、デセイがルチアを歌ってくれている。
それだけでドキドキしたが、この日のデセイは文字通り鬼気迫るものがあった。
彼女の声がピークを過ぎたとかいう人もいるが、ルチアになりきったその迫真の歌唱を聴かされたら(演技の力を借りれないにも関わらず)、デセイこそ当代随一のルチアと認めざるを得ない。
メトの来日公演で、ダムラウの清純なルチアに涙した私だが、やはり本家はここに居た。

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