ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

ホーネック/読売日響 「禿げ山の一夜」ほか

2007-02-24 | コンサートの感想
昨日、MICKEYさんから「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン『熱狂の日』音楽祭2007」のお誘いをいただき、5月3日の公演にご一緒させていただくことになりました。

しかし、GW中開催されるこのお祭り、一日だけではもったいない!
朝からネットにはりつき、2日午後と5日のチケットを10公演ゲットしました。
今回は、ピアノ、管楽・弦楽アンサンブルを中心に聴きます。
昨年感銘を受けたケフェレック、小菅優・小川典子という魅力的なピアニスト達に加えて、珍しいところでは、深夜22:45からのフラメンコというのもあり、今から楽しみです。

チケット確保が一段落した後は、一路銀座へ。
出張で上京されていたリベラさん、そしてyokochanさんの3人で、居酒屋で一杯やりながら音楽談義。
いつもながら、時間があっという間に過ぎていきました。
この続きは、また大阪でやりましょうね。

さて、昨日聴いた読響の定期演奏会の感想を簡単に・・・。
1月のマチネーコンサートが、結婚式出席で聴けなかったので、この日の公演に振り替えてもらいました。


<日時>2007年2月23日(金)午後7時開演
<場所>サントリーホール
<曲目>
■ムソルグスキー:禿げ山の一夜
■メンデルスゾーン:〈夏の夜の夢〉から
■シュニトケ:夏の夜の夢でなく
■J.シュトラウス:皇帝円舞曲
■ラヴェル:ラ・ヴァルス
<演奏>
■指 揮:マンフレッド・ホーネック
■管弦楽:読売日本交響楽団


マンフレッド・ホーネックは、先月モーツァルトのヴァイオリンコンチェルトで素敵な演奏を聴かせてくれたライナー・ホーネックのお兄さんにあたります。
ホルンが裏返ってしまったり、少しアンサンブルに乱れはあったものの、ホーネックの音楽は、この日も颯爽としていて、実にチャーミングでした。
そして、驚くのがプログラミング。
見て下さい、この選曲と演奏順。
禿げ山で始めて、前半のメインにはシュニトケ。
後半はヨハン・シュトラウスとラベルの3拍子の2曲。
まあ、こんなプロは、なかなか聴けませんよね。
私は、なかでもシュニトケの曲がとても楽しめました。

容貌はまったく違いますが、ホーネックの指揮姿は、カルロス・クライバーにどこか似たところがあります。
本人も意識しているのかしら。
今秋からシュトュットガルト州立歌劇場のシェフに就任するそうですが、彼の音楽作りは絶対オペラ向きだと思います。
どんなオペラを聴かせてくれるのか、今から楽しみです。



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「カラヤンとフルトヴェングラー」 中川 右介著

2007-02-22 | 書籍の感想
面白い本を読みました。

本のタイトルは、「カラヤンとフルトヴェングラー」。
作者は、季刊『クラシックジャーナル』の編集長である中川右介さん。 

この本の主役は、タイトルになっているフルトヴェングラー、カラヤン、そしてチェリビダッケという3人の偉大なマエストロたちです。
すぐにお気づきのことと思いますが、この3人に共通する最大のキーワードは、世界最高のオーケストラである「ベルリン・フィル」。
そうです。この本のテーマは、ベルリンフィルの音楽監督の座をめぐる3人の男たちの熱い戦いなのです。

フルトヴェングラーは決して神のような高潔な人格者ではなく、結構猜疑心の強いキャラクターとして描かれています。
とくに、ニキシュの死後、10歳年長のブルーノ・ワルターとベルリンフィルの常任の座を争う場面では、ワルターの言葉を借りると「フルトヴェングラーは、天国から地獄までのあらゆる手段を総動員して、この地位を得ようと躍起になっていた」そうです。
とくに切り札になったのが、コンサートエージェントのルイーゼ・ヴォルフの支持を取り付け、ニキシュの追悼演奏会の指揮の座を射止めたこと。
このとき、フルトヴェングラーはまだ36歳という若さでした。

そして、その後の、カラヤンに対する執拗なまでの排斥活動。
カラヤンという存在を意識した裏返しなのか、本能的に嫌いなのか分かりませんが、とにかくこれでもかこれでもかとカラヤン排斥に動きます。
神としてのフルトヴェングラーというよりも、人間フルトヴェングラーを強く感じました。

一方、カラヤンの身の処し方の上手さ、我慢強さ、そして何よりも「機をみるにきわめて敏」といいたくなる天才的な嗅覚も、鮮烈に描かれています。
こちらは、凡そ私のイメージどおりのカラヤン像でした。

フルトヴェングラーの死後、常任の座を争ったのは、カラヤンとチェリビダッケ。
10年間に400回以上のベルリンフィルのコンサートを成功させながら、その苛烈な言動から団員の多くに嫌われていたチェリビダッケ、一方、たった10回しかベルリンフィルをしなかったが、ベルリン外で評価が非常に高かったカラヤン。
この対決に引導を渡したのは、直後に予定されていたベルリンフィルのアメリカ公演でした。
「カラヤンは、音楽監督に就任できないならアメリカに行かないと言い、アメリカツアーの主催者は、ツアーの指揮者はカラヤン以外には認めないと言う。そして西ドイツ首相は、絶対アメリカツアーを成功させろと言う。」
こんな状況を、ここ一番で作りだしたカラヤンの政治力の高さ。
やはり、フルトヴェングラーもカラヤンも、ここ一番の嗅覚の鋭さは、やはりすごいとしか言いようがありません。

チェリビダッケについては、その演奏の魅力について疑いない評価を得ていたにもかかわらず、あまりに激しく攻撃的な性格が結局ベルリンフィルのシェフの座を遠ざけてしまったのか・・・。

「フルトヴェングラーとカラヤン」に関する本といえば、不世出のティンパニストであるテーリヒェンが書いた「フルトヴェングラーかカラヤンか」が印象深かった。
一方、この本は、著者もコメントしている通り、歴史ドラマ・人間ドラマとして楽しめるように書かれていると思いました。

きっと映画になったら面白いだろうなあ・・・。

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ブルネロ&ルケシーニ デュオ・リサイタル

2007-02-17 | コンサートの感想
今日は大安。
神戸の生田神社では、藤原紀香さんと陣内智則さんの挙式が行われたようです。
大学が神戸にあった関係で、神戸は、わたしにとっても思い出深い街です。
山と海の両方の魅力を兼ね備えた稀に見る素晴らしいロケーション。
大学からの帰り道に見た夜景は、大袈裟ではなく百万ドルの値打ちがあると思ったものです。
そういえば、生田神社にも何度も行ったなぁ。
お二人の幸せを祈りたいと思います。

さて、少し遅くなりましたが、14日に聴いたブルネロのチェロリサイタルの感想を。

<日時>2007年2月14日(水) 19:00開演
<場所>東京文化会館 大ホール
<曲目>
■バッハ(ブゾーニ編曲):半音階幻想曲とフーガ ニ短調 BWV.903
■ブラームス:チェロ・ソナタ第1番 ホ短調 作品38
■シューマン:アダージョとアレグロ 変イ長調 作品70
■ラフマニノフ:チェロ・ソナタ ト短調 作品19
(アンコール)
■バッハ(シューマン編曲)無伴奏チェロ組曲から第3番 ブーレ ほか
<演奏>
■マリオ・ブルネロ(チェロ)
■アンドレア・ルケシーニ(ピアノ)

     
昨年のルツェルン祝祭管の来日公演で、すっかりその魅力に取り付かれてしまったブルネロ。
「何としても、もう一度聴きたい」という思いから、この日のコンサートに出かけました。
この日は、5階の左側一列目後方の席でした。
齢のせいか、5階まで階段で一気に登ると疲れます。(笑)
しかしこの文化会館の最安席、侮ってはいけません。
ステージはさすがに斜め上から見下ろすような感じになりますが、音は素晴らしいです。
すっかり気に入ってしまいました。

オープニングのバッハ。
これは、正直ピンと来なかった。
よく弾いているのだけど、私にはこの曲をチェロとピアノで演奏する理由が最後まで分かりませんでした。
期待が大きすぎたのか・・・。

続くブラームスのチェロソナタ第1番。
これは良かった。
青年ブラームスの音楽の持つ、やや暗く、しかしロマンの炎を心の中に熱く宿した素晴らしい音楽の魅力を満喫させてくれました。
ブルネロのチェロは本当によく歌う。
しかし、決して一線を踏み越えない。
そのことが、聴き手をどれだけ安心してブラームスの音楽に浸らせてくれることか。
素晴らしいチェリストです。

後半の第一曲めは、シューマンの小品。
冒頭、チェロが歌いだす最初の旋律を聴いたときに、「うわー、何と美しい音。これがシューマン、まさしくシューマンの音楽だよ・・・」と思わず叫びそうになりました。
昨秋、アバドの棒の元、ブラームスのピアノ協奏曲第2番で聴かせてくれた、あの伝説のチェロソロのイメージそのままだったのです。
「まるで空中に投げ出されてしまって、あとはブルネロのなすがままにシューマンの世界を彷徨った」、まさにそんな感じでした。
そして、不思議なことにアレグロの直前までピアノの存在をまったく感じませんでした。
これは、決してピアノの存在感が薄かったということではありません。
それだけルケシーニが、ブルネロと一体となってシューマンの音楽を聴かせてくれたということでしょう。

この日のメインは、ラフマニノフのチェロソナタ。
私が最も印象に残ったのは第2楽章のスケルツォ。
尋常ではない緊張感をはらんだ音楽に、私は鳥肌がたちました。
このスケルツォをこんな風に聴かせてくれるとは、正直想像もしていませんでした。
中間部のトリオがまた格別の美しさだったので、その対比の妙も素晴らしかった。
ルケシーニのピアノも大いに冴えていました。
第3楽章のロマンティックな情感、フィナーレの輝かしい名技性を聴くと、やはりラフマニノフの音楽だと実感しました。

昨年、ウィスペルウェイ、趙静、イッサーリスと、名チェリストたちの演奏をコンサートで聴いてきました。
いずれ劣らぬ名手ぞろいで、3人とも本当に素晴らしい音楽を聴かせてくれたのですが、そのなかでも、私にとってブルネロはあたま一つ抜けた存在です。
先ほど書きましたがルツェルン祝祭管のブラームスのソロ、同じくブラームスのピアノ五重奏曲。そしてこの日のブラームス、シューマン。
いずれも、絶対忘れられない名演奏でした。
いま、ロマン派の音楽を演奏させたら、当代随一ではないかしら。
私は、とにかく理屈抜きに彼のチェロが好きです。


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ライナー・ホーネック&大友直人/読売日響:モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第4番ほか

2007-02-11 | コンサートの感想
先週から急に仕事が立て込んできて、思うように時間がとれなくなってきたと思ったら、今度は風邪をひいてしまいました。
しかし、「この時期に絶対にダウンはできない」と言い聞かせて、何とかKOは免れている状況です。

昨日は、月例の読響マチネーコンサートの日。
こんな体調でどうしようかと随分迷ったのですが、精神的に回復したいという気持ちから、思い切って聴きに行ってきました。

<日時>2007年2月10日(土)午後2時開演 
<会場>東京芸術劇場
<曲目>
■モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第4番
■モーツァルト:アダージョ K.261
■モーツァルト:ロンド K.373
■フランク:交響曲ニ短調
(アンコール)
 グノー:「ファウスト」より舞踊音楽
<演奏>
■ヴァイオリン=ライナー・ホーネック
■指 揮:大友 直人
■管弦楽:読売日本交響楽団
     
  


まず冒頭は、モーツァルトの第4番のコンチェルト。
ソロのライナー・ホーネックの音が、本当に柔らかい。
1714年作のストラディヴァリウスだそうですが、こんな柔らかい音はあまり聴いたことがありません。
同じ美音でも、ソロ専業のヴァイオリニストの音とは少し違います。
所謂ソリストの音は、もっと主張がはっきりしていて、音色もブリリントな方向に近づいていく傾向にあります。
しかも、ホーネックの奏でるヴァイオリンは、羽毛のように柔らかいけど緩みはまったく感じません。
彼がウィーンフィルのコンサートマスターであることが、実感として理解できました。
そして、第3楽章のロンドで聴かせてくれた3拍子の何と優雅なこと。
何といってもアウフタクトが実にチャーミングなんです。
ホーネックに触発されてか、読響も普段以上にエレガントな表情だったように感じたのは気のせい?
続くアダージョでは、ホーネックの音がますます艶やかさを増して、まさに夢のようなひとときを与えてくれました。

さて、後半はフランクのシンフォニー。
とにかくオケの響きが充実していました。
そして、聴き手が意識していなくても、曲の構造が実に良く分かります。
フランクのようなシンフォニーでは、このことは非常に大切だと思います。
これは、ひとえに大友さんの指揮者としての力量の高さなんでしょうね。
また、「オケが良く鳴る」秘密は、必要以上に神経質な弱音を要求しないことかもしれません。
第3楽章のエンディング近くでハープが入る少し前の箇所、ここで大友さんは弦楽器に対して最弱音を指示していましたが、逆に非常に効果的でした。
それから、第2楽章冒頭のイングリッシュ・ホルンもとても良かったなあ。

素敵なコンサートでした。
多少なりとも無理して出かけてきた甲斐があったというものです。
それから、アンコールでは、私の大好きなファウストの舞踊音楽を聴かせてくれました。
何か、ちょっと得した気持ちに・・・。


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ブリュッヘン&新日本フィル モーツァルトプログラム

2007-02-08 | コンサートの感想
フランス・ブリュッヘン。
この名前を聞くと、今でもドキドキしてしまいます。
私が高校生の頃、ギターのジョン・ウィリアムズと並んで最も影響を受けた演奏家なんです。

「リコーダーのパガニーニ」なんて言われたこともありましたが、私は、むしろアルゲリッチに近いイメージを持っていました。
自由奔放に飛び回った軌跡が、自然に音楽の王道になっている。
しかも、それは誰にも真似のできないような斬新な芸術。
まさしく天才!
その後レオンハルトに出会って、彼の音楽はますます深みを増すことになりますが、基本は変わらないと思っています。

そんなブリュッヘンが、「自分でオーケストラを組織して指揮をしているらしい」と噂で聞いたのが25年ほど前のこと。
やがてディスクもリリースされるようになりましたが、その記念すべきファーストアルバムが、確かモーツァルトの40番とベートーヴェンの1番のカップリングだったと思います。
CDを聴いてみて驚きました。
音楽にオーラというか、どこか霊感らしいものが感じられたのです。
オケのメンバーたちが、このマエストロに対してどれだけ大きなレスペクトを持って演奏にのぞんでいるか、すぐに分かりました。
リコーダーを持たなくても、やっぱり天才は天才なんだと思い知らされました。

そして、昨日ようやく彼の指揮姿を実際に見ることができたのです。
場所はサントリーホール、新日本フィルの定期演奏会でした。

<日時>2007年2月7日(水)19:15開演
<会場>サントリーホール
<曲目>
モーツァルト作曲
■歌劇『フィガロの結婚』K.492 序曲
■交響曲第39番変ホ長調K.543
■交響曲第40番ト短調K.550
<演奏>
■フランス・ブリュッヘン指揮
■新日本フィルハーモニー交響楽団

     

指揮台へゆっくりと向かうブリュッヘンの姿を見て、私はいささかショックを受けました。
風貌は若い頃とそんなに変わっていません。しかし、あの颯爽としたイメージはまったくありませんでした。
昨秋みたアーノンクールが、意外なほど若々しく感じたのとまさに対照的。
指揮台のうえに設置された椅子に、ゆっくり座るブリュッヘンの仕草をみながら、まだ一音も聴いていないのに、私はなぜか涙が止まりませんでした。

最初の曲は、フィガロ序曲。
躍動感に溢れたフィガロでした。しかし、アンサンブルはいささか粗い。
フレーズの最後が少しつまり気味なのも気になりました。

前半のメインは39番のシンフォニー。
言い忘れましたが、この日のオケは両翼配置。もちろんピリオド奏法です。
印象はというと、残念ながらフィガロとあまり変わらない・・・。
サントリーホールは、豊かな響きと分離のよさを併せ持つ稀有なホールですが、この曲では、豊かな響きの中に細かな音型が埋没してしまう感じがしました。
美しい瞬間は数多くあったのですが、全体として、もやっとした印象は拭いきれませんでした。
ブリュッヘンは指揮棒を使いません。しかも、胸からお臍くらいの狭い範囲で指揮をするので、慣れるまではアインザッツを揃えるのは難しいでしょうね。
また、第2楽章で感じたのですが、この楽章は途中から8分音符や16分音符の刻みに乗っかってメロディが歌うようになっていますが、この刻みを頼りに演奏する奏者とブリュッヘンの閃きのようなものを感じて演奏する奏者で、微妙にアンサンブルがずれてしまったようにも感じました。

さて、休憩をはさんで後半は40番ト短調のシンフォニー。
前半と同じだったらどうしよう・・・。
私の不安は、杞憂に終わりました。
本当に感動的なト短調。

第1楽章は速い!
これぞモルト・アレグロといいたくなるような、素晴らしいテンポです。
あのメランコリックな第一主題を、2回目に奏するときに1回目より音量を落として演奏されていたのが、まことに印象的。
展開部で、弦を押さえて木管を浮かび上がらせる表現も効果的だったと思います。
第2楽章は、祈りのようなひたすら美しい音楽。
しっとりとした豊かな響きの中に、細かなフレーズが見事に浮かび上がってきます。私は、オケの響きの中に、オルガンとヴィブラフォンが加わっているような錯覚を覚えました。
フィナーレでは、ブリュッヘンがテヌートを要求した直後にアンサンブルが少し乱れることがありましたが、それは些細なこと。
緊張感に溢れた素晴らしい音楽でした。

このシンフォニーを聴きながらずっと感じていたのは、
「ブリュッヘンのト短調は、外に発散しないで常に内側を向いている。しかし、その音楽は、ガラス細工のようなデリケートな美しさに満ちている」ということ。
私としても、こんなト短調は初めての体験でした。

アンコールは、ト短調の第1楽章を再び聴かせてくれました。
そして、鳴り止まない拍手(聴衆だけではなく、オケのメンバーもずっと拍手でマエストロを讃えていました)と、歩行がつらそうなブリュッヘンを気遣いながら、退場のタイミングを計っていたコンマスの西江さんの優しい姿が、とても印象に残りました。






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R. シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」

2007-02-04 | CDの試聴記
今秋、相次いでヨーロッパの名門歌劇場が来日します。
なかでも、9月のチューリッヒ歌劇場、9月~10月のベルリン国立歌劇場、11月のドレスデン国立歌劇場が要注目。

チューリッヒは何と初来日。
このオペラ座の目指すスタイルの明快さとその質の高さは、NHKのBS放送等でもお馴染みです。
エヴァ・メイ、カサロヴァ、シュテンメ、ヌッチ等の名歌手たちとシェフであるウェルザー=メストの共演は、想像するだけでもわくわくもの。
ベルリンはバレンボイムに率いられての来日ですが、10数年前に東京で観たワルキューレの凄さは未だに鮮烈に覚えています。
あの広いNHKホールの後方の席まで見事に響き渡った圧倒的なワーグナー。
聴きながら「こんな凄いワーグナーを、今後再び聴けるんだろうか」と思ったものです。
ドレスデンはルイージ、準・メルクルに率いられての来日。
ゼンパーオペラとして名高い名門歌劇場ですが、私はいままで観たことがありません。
そして、このオペラ座のオケは、単独オーケストラとしても有名な存在。
今回は、ただ一回だけですがオケの公演があります。
演目はマーラーの「復活」。

できれば、本当に全部観たい・・・。
でも、そんな贅沢を許してくれるはずがありませんよね。
9月10月は期末期初で忙しいに決まっているし、11月はオフィスの引越しが予定されています。
そして、何よりも資金的に続くわけがありません。
さあ、どうしよう。

悩んだ挙句、
ベルリンは、評判の「モーゼとアロン」も観たいけど、まずはトリスタン。
ドレスデンは、初演した実績を期待してサロメ。
そして、できれば、ルイージとあの素晴らしいオケの響きに思いをはせて「復活」も聴きたい。
チューリッヒは・・・?

そして、
ベルリンのトリスタンは、天上桟敷の安い席を何とかゲットしました。
バレンボイムのことだから、天上桟敷でもきっと奇跡を起こしてくれるでしょう。
ドレスデンは、サロメとマーラーの「復活」をともにゲット。
音の響きを絶対堪能したいので、悩んだ末にS席にしました。
チューリッヒは、できれば「椿姫」「ばらの騎士」のどちらも観たい!
S席が4万円を切る価格設定なのも魅力。
もう少し考えます。

そんなことを考えながら、久しぶりにドレスデン・シュターツカペレの演奏を聴こうと思い取り出したのがこの「英雄の生涯」。
何とも魅力的な演奏です。
ブロムシュテットのプロットの巧みさと、細部まで気配りされた表情が素晴らしい。
そして何よりもこの音の響き。
「世界中で一番好き」というファンの気持ちが良く分かります。
なかでも、味わい深いペーター・ミリングのソロが聴ける第3部「英雄の伴侶」は、最高の名演でしょう。

そういえば、名指揮者ケンペと組んで録音されたR・シュトラウスの管弦楽曲全集も、本当に素晴らしい演奏でした。
ドレスデン・シュターツカペレとR・シュトラウスは、やはり「黄金の組み合わせ」なのかもしれません。
いや、このコンビの場合は、「黄金」じゃなくって「(いぶし)銀」かな・・・。

      

<曲目>
■R. シュトラウス:交響詩《英雄の生涯》 作品40
<演奏>
■ヘルベルト・ブロムシュテット指揮
■ドレスデン・シュターツカペレ
■ペーター・ミリング(ソロ・ヴァイオリン)
<録音>
■1984年9月 ドレスデン、ルカ教会
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プーランク:即興曲第15番「エデット・ピアフへのオマージュ」

2007-02-02 | CDの試聴記
いよいよ今日から2月です。
プロ野球も全12球団がキャンプイン。
世の中全体が始動し始めた感じがします。
1月からもちろん新年ではありますが、1月は何となく助走期間。
2月から「さー やるぞ!」という感じになるのは、私だけでしょうか。

ここ2週間くらい俄かに仕事が忙しくなってきたのですが、1月に最も多く聴いたのがこの田部京子さんのアルバム。
何十回聴いたことだろう。

どの曲も美しい曲ばかりですが、田部さんのピアノも誠実そのもので、一曲たりとも手を抜いたところはありません。
最初に聴いたときから、すぐに惹きこまれました。
とくに好きなのが、標題のプーランクのアンプロンプチュ。
「エデット・ピアフへのオマージュ」というサブタイトルが付けられています。

この曲は以前から知っていましたが、実はあまり印象に残りませんでした。
田部さんの演奏を聴いて、まさに目からウロコ。
こんなに素敵な曲だったのですね。
少しけだるい雰囲気でかつメランコリック、でも目茶苦茶お洒落。
私にとって最高のフランス音楽です。

そして、このお洒落なプーランクが終わると、今度はグリーグのアリエッタがほんとに優しく語りかけてくれる。
曲の配列も最高。
選曲・演奏ともにぴか一のディスクだと思います。
私のコレクションの中でも、特別の1枚になりました。

      

田部京子/ロマンス~ピアノ小品集
<曲目>
■シベリウス:ロマンス 変ニ長調 作品24-9
■ドビュッシー:月の光
■プーランク:即興曲第15番「エデット・ピアフへのオマージュ」
■グリーグ:アリエッタ~抒情小曲集 作品12より
■メンデルスゾーン:デュエット~無言歌集 作品38より
■ボロディン:夜想曲
■リャードフ:前奏曲 作品40-3
■シューベルト(リスト編):セレナード
■アルベニス:パヴァーナ・カプリチオ 作品12
■ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
■ムソルグスキー:涙
■ラフマニノフ(コチシュ/田部京子編):ヴォカリーズ
■ブラームス:ロマンツェ~6つのピアノ小品 作品118より
■バッハ(ケンプ編):シチリアーノ
■エルガー:愛の挨拶 作品12
<演奏>田部京子(ピアノ)
<録音>1998年
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