ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

リパッティ/モーツァルト:ピアノソナタ第8番イ短調 K.310

2007-05-27 | CDの試聴記
今季、私の応援している某タイガースが不振にあえいでいます。
勝負事ですから勝ったり負けたりは当然です。
しかし、負け方が悪すぎる!
自分達が横綱であるかのように錯覚しているのではないでしょうか。
ひたむきさ、必死さが一部の選手を除いて伝わってこない。
良い悪いは別にして、球に当たってでも出塁してやろうとか、絶対次の塁を盗んでやろうとか、形は崩れても絶対打球を止めようとか、とにかくこちらの胸に響いてくるプレーがあまりに少ないのです。
もう一度原点に返って、小手先の技術論ではなく、「最後まで熱心に応援してくれる観衆にどうすれば感動を与えられるのか」、真剣に考えて欲しいものです。

少し愚痴が長くなってしまいました。
「感動を与える」とはどういうことか、音楽で見事な回答を出した例が、このリパッティの最後の録音です。

『リパッティ ブザンソン告別演奏会』
<曲目>
■パルティータ第1番変ロ長調BWV.825(J.S.バッハ)
■ピアノ・ソナタ第8番イ短調K.310(モーツァルト)
■即興曲第3番変ト長調D.899-3 (シューベルト)
■即興曲第2番変ホ長調D.899-2(シューベルト)
■ワルツ集(13曲)(ショパン)
<演奏>ディヌ・リパッティ(P)
<録音>1950年9月16日

中でも私の心を捉えて離さないのが、モーツァルトのK.310。
この作品は、ご存知の通り、たった2曲しか書かなかったモーツァルトの短調のピアノソナタの中の1曲。
同年のスタジオ録音も、あらゆる意味で「最高」としか言いようのない演奏ですが、亡くなる2ヶ月前の録音となったブザンソン告別演奏会の演奏は、やはり特別。

悪性リンパ腫と果敢に闘ってきたリパッティでしたが、いよいよ特効薬「コーチゾン」の薬効も切れ、普通の姿勢でいることさえ無理な状態にも関わらず、「聴衆が来てくれるのだから、私はそこで演奏しなければ・・・」と最後の気力を振り絞って登ったのが、このブザンソンのステージ。
そして、バッハのパルティータに続いて、このK.310が演奏されました。
指を暖めるためでしょうか、演奏前にリパッティは少しだけアコードを鳴らすのですが、もうその音から奇跡のK.310は始まっているのです。

第1楽章は、毅然としたテンポで始まりますが、表情はモーツァルトのまさに指示通り。
しかし、第2主題の手前で左手が16分音符を刻みだすと、俄かに音楽は動き出します。おそらくリパッティが意識したのではなく、音楽の流れがこの微妙なアゴーギクを産んだのでしょう。
コーダの16分音符で上昇と下降を繰り返す箇所では、その緊張感に思わず鳥肌がたちます。そして、続くmpの直前でほんの一瞬訪れるごく短いパウゼ。
まさに奇跡のような表現。リパッティがモーツァルトと一体になった瞬間か・・・。

第2楽章では、テーマを奏でる時の表情の優雅さと、展開部で3連符を刻むバスの動きに導かれて奏でる劇的な表現があまりに見事。
「衰弱しきったリパッティのどこにこんなエネルギーがあったんだろう。やはりモーツァルトがリパッティの体を借りて演奏しているに違いない。」と、あらためて思い知らされます。

そして第3楽章。
「憂愁のロンド」の中間部、その直前でごく自然に表現されるリタルダンドに、私は天上へ登ろうとする者が一瞬名残惜しそうにあたりを見渡しているような、そんな思いに駆られます。

つらつら書いてしまいましたが、こんな奇跡のような演奏は、言葉で表現できるわけがありませんよね。
ただ、このリパッティの神のような演奏を聴けば聴くほど、その時点で余命2ヶ月半であった不世出の名手リパッティの置かれていた状況と、母を亡くした年の作品であるというモーツァルト側の状況が渾然一体となってもたらされた、あまりに運命的な演奏のようにも思えてきます。
上手くいえないのですが、何か「特別の演奏」すぎるように感じることがあるのです。

特別ではないK.310を聴きたくなったとき、私はペルルミュテールの演奏を聴きます。
一見飄々としているように見えて、よく聴くとデリケートなニュアンスに富んでいる。そして、端正ななかに優しさが溢れている。
ペルルミュテールのモーツァルトは、そんな感じです。
こちらも、また大変な名演奏だと思います。









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ハイドン:ディヴェルティメント変ロ長調

2007-05-22 | CDの試聴記
年のせいでしょうか、ここ10日くらい体調がすぐれません。
先週は扁桃腺まで腫らしてしまい、不覚にも2日ほど寝込んでしまいました。
そんな状況ではありましたが、今日は日帰りで宮崎出張。
幸い、仕事の方は上々の結果でほっとしています。

ところで、宮崎空港に着くや、知事の顔写真がいたるところに・・・。
宮崎は、いまや「東国原共和国」といった感じでした。
あっという間に宮崎を全国区に押し上げた知事の力量は、それだけでも大したものだと思います。

さて、今日昼食をとっていると、急にハイドン・バリエーションでおなじみの「聖アントニーのテーマ」が頭に浮かんできて、その上、仕事中もずっと頭から離れなくて困りました。(笑)
いったんこういう状態になってくると、「消そう」と意識するとかえって逆効果になるので自然に任せていたのですが、今日に限ってはまったくダメ。
仕事中はもとより、帰りの飛行機の中でもずっと鳴り続けていました。

こうなったら、「この曲を聴かんと、今夜は寝れんワイ」。
そんなこともあって、帰宅後まず手にとったディスクが、オケ版のブラームスのハイドン・バリエーション。
しかし、これじゃ、あまりに当たり前の選択ですよね。
じゃ、ピアノデュオ版にするか。
それでも新鮮味がないなあ。
「そうだっ!」と思いついたのがこの曲。

ハイドンの真作かどうか疑問視されているようですが、全4楽章の文句なく楽しい曲です。
この第2楽章が例の聖アントニーのテーマ。
名人達の木管アンサンブルで聴くこの音楽は、何ともさわやかで心地よい。
第3楽章も第4楽章も、このテーマを意識しているようで、まあ最高のディベルティメントといって差し支えないでしょう。

心身ともに、かなり癒された気がします。
やはり音楽の力は大きい!

<曲目>
■モーツァルト:五重奏曲ハ短調
■ハイドン:ディヴェルティメント変ロ長調
■ベートーヴェン:五重奏曲変ホ長調
<演奏>
アンサンブル・ウィーン=ベルリン
■シュルツ(fl)
■シェレンベルガー(ob)
■ライスター(cl)
■トゥルコヴィッチ(fg)
■ヘーグナー(hr)
<録音>
■1995年6月







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小川典子/仲道郁代 女流ピアニストたち 『熱狂の日2007(その10)』

2007-05-13 | コンサートの感想
室内楽の合間に地上広場をふらっと歩いていると、ドボルザークの室内楽を終えた仲道さんが、ごく自然な雰囲気でテーブルに座って談笑されていました。
アーティストと聴衆が、こんなに身近な雰囲気で接することができるというのも、LFJの大きな魅力だと思います。

さて、18:30から聴いたのは、小川典子さんのドビュッシー&ラヴェル。

   ↓公式HPより  
   

<日時>2007年5月5日
<会場>ホールB5
<曲目>
■ドビュッシー:アラベスク第1番
■ドビュッシー:「ベルガマスク組曲」より月の光
■ドビュッシー:「前奏曲集」第1集」より沈める寺
■ラヴェル:クープランの墓
■(アンコール)亜麻色の髪の乙女
<演奏>小川典子(ピアノ)

小川さんは、ヨーロッパでも大変人気のあるピアニスト。
是非一度、生で聴いてみたいと思っていました。
まず「月の光」がよかったなぁ。
つや消しのような音色を使って静かに始まり、徐々に音楽が華やかになっていきます。
その間、押し寄せては引いていく波のように、極めて自然に変化していきます。
うまい!
「沈める寺」では、一転して凄みのあるフォルテを聴くことができました。
3日に聴いたケフェレックは相対的なダイナミックレンジが広いと感じましたが、小川さんは絶対的なダイナミクスの持ち主です。
もちろん、ヘビー級のボクサーのような強音ではなく、空手家の一発必中の拳のようなイメージの音です。
「クープランの墓」では、「アラベスク」「月の光」で聴かせてくれた詩的な表現に加えて「沈める寺」の凄みのあるフォルテの効果もあって、圧倒的な印象を与えてくれました。
小川さんは抜群のテクニックを持っていますが、決して異常なテンポ設定をしないし、力任せにならないところが、ヨーロッパでの人気の高さに繫がっているんでしょうね。
それにしても、リゴードンとトッカータでみせたテクニックの冴えは本当に見事だった。
このくらい弾ける人も、そう多くないでしょう。

1分間だけ時間をもらったからと、最後にアンコールで「亜麻色の髪の乙女」を聴かせてくれました。
同じ時間帯でバッティングしてしまったケフェレックを諦めて小川さんのコンサートに来たわけですが、ほんとに来てよかった。
その甲斐あったというものです。


さて、私の今年LFJ最後のコンサートは、仲道郁代さんをソリストに迎えてのグリーグのピアノ協奏曲。

     ↓公式HPより
     

<日時>2007年5月5日
<会場>ホールC
<曲目>
■グリーグ:ピアノ協奏曲イ短調 作品16
■シベリウス:悲しきワルツ 作品44
■シベリウス:フィンランディア
<演奏>
■仲道郁代(ピアノ)
■ペーテル・チャバ(指揮)
■シンフォニア・ヴァルソヴィア

グリーグの冒頭、オーケストラがもの凄い気合で入ってきます。
そのためか、ピアノの入りがほんの少しずれるのですが、かえってライブの雰囲気が色濃く出てよかったと思います。
仲道さんのピアノの音色は、透明感があってとても素敵でした。
昔、その愛くるしい美貌から、私は勝手にアイドル系のピアニストかと思っていたのですが、昨年BS放送で放映していたハンマークラヴィーアをみて、決定的に印象が変わりました。
あのアダージョから終楽章にかけて、彼女が涙を浮かべながら聴かせてくれた音楽は、紛れもなくベートーヴェンの魂にせまるもの。
この日のグリーグも、一見なんの気負いもなく弾き進めながら、この魅力的な音楽を余すところなく描き出してくれました。

それにしても、このシンフォニア・ヴァルソヴィアというオーケストラ、豊かで温かい響きがして、私はとても好感を持ちました。
コルボのフォーレのときよりも人数がずっと増えた分、パワーは大違いでしたが、基本的な音の色・香り・温度は、やはり同じでした。
いいオケだと思います。

指揮のチャバは、一見サンティとホルスト・シュタインを足して2で割ったような風貌。
大変な馬力でオーケストラをドライヴしていました。
シベリウスには、ある部分でこの豪快さが必要です。
終曲のフィンランディアは少し粗っぽいところもありましたが、この曲の勇壮さがよくでていた好演。
たくさんのブラヴォーがとんでいました。

今年のLFJは、14のコンサートを聴くという、相当に欲張ったプランだったのですが、コルボのフォーレ等の歴史的な?名演奏にも立ち会えたし、結果的は大変満足できる音楽祭でした。
来年のテーマは、「シューベルトと同時代の作曲家たち」。
公式HPによると、シューベルトを核にして、横・縦両方に展開していきそうです。
またまた楽しみ・・・。

ここまでお付き合いいただいた読者の方、本当にありがとうございました。
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室内楽3題 『熱狂の日2007(その9)』

2007-05-13 | コンサートの感想
私にとってのLFJの最終日は5月5日。
この日も盛りだくさんで、5つのコンサートを聴きました。
室内楽が3つ、ピアノソロが1つ、ピアノコンチェルトが1つという内訳です。
まず、そのうち室内楽の感想を。

最初のコンサートは、ピアノと管楽アンサンブル。

     ↓公式HPから
     

<日時>2007年5月5日
<会場>ホールB5
<曲目>
■スクリャービン:練習曲 嬰ハ短調 op. 42-5
■スクリャービン:練習曲 嬰ニ短調 op. 8-12
■リムスキー=コルサコフ : ピアノと管楽器のための五重奏曲 変ロ長調
<演奏>
■工藤重典(フルート)
■ニコラ・バルデル(クラリネット)
■岸上穣(ホルン)
■河村幹子(ファゴット)
■クレール・テゼール(ピアノ)

私がこのコンサートを選んだのは、2つの理由からです。
まず、リムスキー=コルサコフの「ピアノと管楽器のための五重奏曲」がとにかく大好きで、一度生で聴いてみたかったこと。
二つめは、 新日本フィルの定期で河村さんの素晴らしいファゴットをきいて、彼女の室内楽が是非きいてみたかったこと。
見事にふたつの条件を満たしたこのコンサートを、心待ちにしていました。
この日は、リムスキー=コルサコフに入る前に、ピアノソロが2曲ありました。
ピアニストは、急病で来日できなくなったブリジット・エンゲラーに代わってクレール・テゼールです。
力強くかつ繊細なスクリャービンだったと思います。
続いて、お待ちかねのリムスキー=コルサコフ。
第1楽章冒頭を聴けば、絶対誰でもこの曲のファンになると思うんだけどなあ。
この日の演奏も、実にいいテンポ。聴きながら、私はずっとにんまりしていました。
第2楽章の沈みゆく太陽をずっと見つめているようなゆったりした雰囲気、フィナーレの「いかにもファゴット!」というリズムにのった愉悦感、いずれも見事に表現されていました。
自ら楽しんでいる奏者達の呼吸が聴衆にも伝わってきて、ホール全体の一体感がよかったなあ。
河村さんもやっぱり上手い!


2つめのコンサートは、毎月マチネーで聴いている読売日響のトップ達による室内楽。

     ↓公式HPから
     

<日時>2007年5月5日
<会場>ホールD7
<曲目>
■グリンカ:弦楽四重奏曲 ヘ長調
■チャイコフスキー:弦楽四重奏曲 第1番 二長調 作品11
<演奏>
読売日本交響楽団メンバーによる弦楽四重奏団
■藤原浜雄(第1ヴァイオリン)
■鈴木理恵子(第2ヴァイオリン)
■鈴木康浩 (ヴィオラ)
■毛利伯郎(チェロ)

4月のマチネーのときに、ヴァイオリンの鈴木理恵子さんが松葉杖を着いてステージに登場したので大変驚きました。
この日は松葉杖は外しておられたのですが、まだまだ痛々しい感じでした。
お大事になさってください。
しかし、演奏は2曲ともとても熱い演奏。
気心知れた間柄なのでアットホーム的な雰囲気かと思いきや、とんでもなく高い集中力を持った演奏でした。
それは、とくにチャイコフスキーに顕著でした。
第2楽章アンダンテ・カンタービレがとびぬけて有名ですが、この曲はなかなか聴かせどころも多く、いい曲だと思います。
藤原さんと毛利さんは、まさにオーケストラの中で演奏するときと同じスタイル。
とにかくテンションが高い。そこにヴィオラの鈴木さんが、飄々とした独自のスタイルで絡む。そして、全体を鈴木理恵子さんが締める。
最後までそんな印象でした。
アンサンブルは当然強固ですが、常設ではないカルテットであった分、いい意味での緊張感があって楽しめました。


この日3つめの室内楽は、なかなか演奏されない珍しい曲。

     ↓公式HPから
     

<日時>2007年5月5日
<会場>ホールB5
<曲目>
■ヤナーチェク : コンチェルティーノ
■ドヴォルザーク : 三重奏曲ハ長調 作品74
<演奏>
■アラン・プラネス(ピアノ)
■樫本大進(ヴァイオリン)
■レジス・パスキエ(ヴァイオリン)
■豊嶋泰嗣(ヴィオラ)
■ニコラ・バルデル(クラリネット)
■岸上穣(ホルン)
■河村幹子(ファゴット)

十分余裕を持って会場へ行ったつもりですが、相当長い列ができていました。
人気プロなのかなぁ。
ホールの前で並んでいると、樫本さんと豊嶋さんがリハに向かうために、楽器を持って私の横を駆け抜けていきました。
こんなニアミスも、LFJならでは。

さて、1曲めのヤナーチェクは、とにかく編成が珍しい。
曲全体が一種の掛け合いのようになっています。
まずピアノとホルン、それからピアノとクラリネット、そして全員、そして・・・という感じです。
一見バラバラなようにみえて、またどこかでまとまる。
まさに集散の繰り返しで、いかにもヤナーチェク風。
正直にいうと、私は長くヤナーチェクの音楽が苦手でした。
親しみやすい表情に惹かれてこちらから近づいていくと、するっと逃げちゃうんですね。官能的な気分にさせられたかと思うと、とたんに冷めた表情をみせる。
しかし、読響のマチネーでアルブレヒトさんが語ったくれたひとことで、ヤナーチェクの音楽が何となく理解できるようになりました。
「ヤナーチェクの音楽は、ビター味のチョコレートなんです」と。
ただ、このコンチェルティーノは、少々ビターが勝っているような・・・。
それと、もう少しライブな会場であれば、甘さを感じられたかもしれません。
非常にデッドな音響だったので、たとえばピチカートが響かないんです。
どこかライブな音響のホールで、もう一度聴いてみたいところです。

2曲めは、ドボルザークのトリオ。
「トリオか、あのピアノトリオね・・・」
と思われるかもしれませんが、ヴァイオリン2丁とヴィオラのための作品です。
第1楽章は、モーツァルト風。
第2楽章は、ドボルザーク節~モーツァルト風ドボルザーク~ドボルザーク節
第3楽章は、モーツァルト風。そして最後だけイタリアオペラ風。
こんな感じの曲でした。

印象に残ったのは、パスキエさんの気品のある音。
やはり存在感がありました。
また、ステージ上のパスキエさんと樫本さんは、何か親子のような雰囲気。
ハウスムジークとしては贅沢すぎるキャスティングでしたが、演奏も極上の部類だったと思います。

さて、次回は残る小川典子さんのピアノと、仲道さんのグリーグのコンチェルトの感想を書きます。
これで完結の予定です。

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コルボ/フォーレ:宗教曲集 『熱狂の日2007(その8)』

2007-05-10 | コンサートの感想
コルボのフォーレの宗教音楽集。
しかし、計5回も演奏されたレクイエムに対して、たった1回しか演奏されなかったこのプログラム。
今回14回ものコンサートを聴き、生の音楽の素晴らしさを満喫させてもらった私ですが、その中でも決して忘れることができない「特別のコンサート」がこのコルボのフォーレでした。

「ラシーヌ賛歌」はともかく、このプログラミングをご覧になったら、きっと地味にみえますよね。
でも、この作品たちは、たしかに地味かもしれないけど、一度聴いたら絶対忘れられない魅力を持っているのです。
「純真無垢な少女に、真正面から大きな瞳で優しく見つめられている・・・」
そんな曲ばかり。

たまたま見つけたフォーレの廉価盤ボックスで、これらの作品を初めて聴いたときの感動は、今でもよく覚えています。
そんな宝石のような曲が生で聴けたのです。
しかも神様コルボたちによる、とびきりの名演奏で・・・。

     


<日時>2007年5月4日(金)
<会場>ホールC
<曲目>
フォーレ作曲
■恵み深き御母、マリア 作品47-2
■アヴェ・ヴェルム・コルプス 作品65-1
■タントゥム・エルゴ ホ長調 作品65-2
■アヴェ・マリア 作品67-2
■小ミサ曲
■ラシーヌの賛歌 作品11
■タントゥム・エルゴ ヘ長調 作品55
フォーレ&メサジェ作曲
■ヴィレルヴィルの漁師たちのためのミサ曲
<演奏>
■アナ・キンタンシュ(S)
■ローザンヌ声楽アンサンブル
■シンフォニア・ヴァルソヴィア
■ミシェル・コルボ(指揮)

この日、当初プロからかなり大胆に曲順が入れ替わっていたのですが、事前に聴衆に対して徹底されていなかったので、かなりの人が混乱したのではないかしら。
演奏があれだけ素晴らしかったので余計に強く感じるのですが、曲順変更や曲目変更については、外の掲示板にさらりと張り紙をするだけじゃなくて、館内放送をするとか周知方法を是非改善してほしいところです。

さて、最初の小曲の中では、「アヴェ・マリア」が美しかった。
オルガンに導かれる祈りの歌。いっとき不安定な調性に転じた後、再び訪れる優しい旋律に心洗われる思いがしました。

メサジェとの合作であったミサ曲をベースにしながらも、一層純度を高めた「小ミサ曲」のあとは、有名な「ラシーヌ賛歌」。
弦の柔らかく豊かな音につつまれて、ハープが天国的なアルペッジョを奏でます。
そして合唱が・・・。
後半、フルート、クラリネット、ヴァイオリンが綾なす哀しくなるくらいの美しさ。
もう、これ以上何を望むんだろう。
私がいままで聴いてきた「ラシーヌ賛歌」の中でも、飛び抜けた名演でした。

「ラシーヌ賛歌」の後は、アナ・キンタンシュの天使のような声が聴けた「タントゥム・エルゴ」。
アナの声は、ピュアだけど決して冷たくない。しかも声はまっすぐに伸びます。
私はすっかり彼女の虜になってしまいました。

そしてコンサートの最後は、「ヴィレルヴィルの漁師たちのためのミサ曲」。
この奇妙な名前の曲は、1881年に訪れたノルマンディ地方の漁村で、地元漁師協会の資金集めのために弟子のメサジェとの共作という形で書かれ、ヴィレルヴィルの教会で初演されたそうです。
曲は5曲で構成されていますが、メサジェが「キリエ」「オ・サルタリス」を、フォーレが「グロリア」「サンクトゥス」「アニュス・デイ」を担当しています。
私がとくに感銘を受けたのは、メサジェ作とされる2曲。

まず、冒頭のキリエ。
合唱に絶妙に絡む優しいヴァイオリン。
そして、柔らかいシンコペーションのリズムに乗って、ヴァイオリン⇒オーボエ⇒チェロ⇒クラリネットと受け継がれていく旋律の何と美しいこと。
最後の上昇音階の優しさ、温かさも忘れられません。

日本の童謡のような素朴さを持つ「グロリア」、神秘的な「サンクトゥス」を経て歌われるのは「オ・サルタリス」(救い主なる)。
この抱きしめたくなるような美しさは、とうてい言葉では言い表せません。
ヴァイオリンのオブリガードも最高。
私は、聴きながら涙を抑えることができませんでした。
チャイコフスキーのアンダンテカンタービレによく似た雰囲気の「アニュス・デイ」を聴き終わった後も、ステージは涙で霞んでよく見えなかったです。
また、このめったに味わえないくらいの感動を与えてくれたコルボ組に対して、お礼の気持ちで拍手をしたかったのですが、それもできませんでした。
なぜなら、ずっと膝の上で組み合わせていた両手の指が、くっついたままどういうわけか離れようとしなかったから・・・。
きっと、身体全体で感動していたんでしょうね。

昨年のペーター・ノイマン組のモーツァルトは、とにかく透明感が高くピュアな美しさに満ちていました。
今年のコルボ組は、より柔らかく豊か。
オーケストラと合唱の音が、完全な同質性をもっていたことにも驚かされました。
ところで、今年のラ・フォル・ジュルネは、当初2日、3日、5日と決めていたので、このコンサートは行かない予定だったのです。
しかしこのコンサートを聴かなかったら、きっと向こう100年間後悔したでしょう。
本当に聴けて良かった。








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ペネティエ/フォーレ:バラードほか 『熱狂の日2007(その7)』

2007-05-08 | コンサートの感想
コルボの感動的なレクイエムの話を先に書いてしまいましたが、朝一番で素敵なケフェレックのラヴェルを聴いた後は、3人で神保町のイディア・クラシックへ。
輸入初期盤のメッカ的存在ときいておりましたが、LPのショップに入るのは本当に久しぶりです。
お2人は既に常連さんで、私だけが初めてでした。
店内は決して広くありませんが、LPレコードのジャケットに付けられているラベルの丁寧な文字をみると、店の方がどれだけ一枚一枚のディスクを大切にされているかがよく分かります。
そして、お話をするにつけ、ますますその感を強くしました。

店内のB&Wのスピーカーから聴こえてくる輸入初期盤の音は、とにかく力強く、しっかりした個性を持っていました。
でも、この雰囲気懐かしいなあ。一瞬タイムスリップしたような気持ちになりました。
現在、自宅ではほとんどLPを聴かないので、結局私は板起こしのCDを2枚買い求めることにしました。

さて、楽しいタイムスリップのあとは、昼食です。
MICKEYさんのナビゲートで、ボンディでカレーをいただくことにしました。
階段を登りきるとお店の入り口に出ます。
入り口に立ってきょろきょろ見渡していると、絶妙のタイミングで席が空いて、テーブル席に座ることが出来ました。
私はチーズカレーを注文したのですが、これが実に美味しい!
まさしく評判どおりの味でした。
カレーの味もさることながら、音楽好きの3人が集まっているわけですから、カレーの味を堪能しつつも、次から次へと音楽談義に花が咲きます。
最高のランチになりました。

そして、昼食をとった後は、喫茶店で珈琲を飲み、東京国際フォーラムに戻りました。
午後のコンサートは、MICKEYさんとユリアヌスさんは小曽根ガーシュイン、一方私は佐藤&小菅デュオでした。
それぞれのコンサートが終了した後、再び合流して聴いたのが、コルボのレクイエム。
このコンサートについては昨日書きましたので繰り返しませんが、驚くべき名演奏でした。

コルボを聴いた後は、3人が口々にその素晴らしさを熱っぽく語りながら、銀座2丁目へ。
ここで夕食にしました。
入ったお店は、「銀座 天龍」。
3人ともビールと名物の餃子を注文しましたが、出てきた餃子のなんというボリューム。
一人前で9個入っているのですが、健啖家を自負する私も、「もうこれで十分。ほんとに食べきれるだろうか」と思ったくらい。
また、餃子の味も、ジューシーで美味しいこと美味しいこと!
大満足でした。

そして満腹になった3人は、銀座山野楽器へCDを漁りに行きました。
各自獲物をゲットした後は、昨年MICKEYさんと大いに盛り上がった地上広場を目指して、意気揚々と再び東京国際フォーラムへ。
地上広場へ着いた3人は、テーブル席を目ざとくキープし、赤ワインのボトルとパルメザンチーズ&生ハムをゲットして大いに盛り上がりました。
そして当然の帰結というべきか、今度は白ワインにチェンジ。
あっという間にボトル2本が空いてしまいました。
「最高の音楽を聴きながら、ワインを飲み、大いに語る。」
これ以上の幸せはありません。

この日最後のコンサートは、ペネティエのフォーレ。
22時30分の開演です。

      ↓公式HPより
      

<日時>2007年5月3日(木)
<会場>ホールD7
<曲目>
■フォーレ:バラード 作品19
■フォーレ:9つの前奏曲 作品103
<演奏>
■ジャン=クロード・ペネティエ(p)

すっかり気に入ったホールD7で聴く深夜のフォーレ。
しかもジャン=クロード・ペネティエのピアノで聴けるのです。
期待に胸を膨らませて開演を待ちます。

ペネティエが登場しました。
リラックスしながらも、きりっとした表情がみてとれます。
隣でMICKEYさんが、「今夜は絶対いけますよ!」と小声で囁きます。

1曲目は、バラード。
オーケストラとピアノのための作品が有名ですが、この日は原曲ともいえるピアノ
ソロ版。
オケで演奏している箇所もピアノが弾かないといけないので、なかなか難しそうです。
しかし、ペネティエは、きわめて自然にかつ優しい表情で音楽を奏でます。
午後のレクイエムといい、深夜のピアノ作品といい、フォーレの魅力を満喫させてもらいました。
しかし、素晴らしいフォーレを聴かせてくれているペネティエさんには甚だ申し訳ないことに、前奏曲に入ると、急に先ほどのワインが効いてきたのです。
「前奏曲なのに、私の中では、なぜか夜想曲・・・」
素敵な音楽を聴いている感覚はもちろんあるのですが、夢うつつの状態から、はっと気がつくと前奏曲の9曲目が終わっていました。
我に返って、時遅しではありましたが、他の聴衆に負けないように私も一生懸命拍手をしました。(汗)

本当にごめんなさい。
心の中で、懸命にペネティエさんに謝る私でございました。
お詫びモードで背中を少し丸くしながらエレベーターを待っていると、なんとペネティエさんが近づいてくるではありませんか。
反射的に「ブラーヴォ」と声をかけると、嬉しそうな表情で「サンキュー(だったと思うのですが、ペネティエさんが英語で言うかなあ・・・)」と応えてくれて、握手までしていただきました。
ペネティエさんの人柄を感じさせる、温かくふくよかな手でした。

そんなこんなで、長くもあっという間の5月3日が終わりました。
コルボのレクイエムをはじめ、忘れることの出来ない素晴らしい演奏に接することができた一日でしたが、MICKEYさん、ユリアヌスさんと感動を共感できたことが、私にとっては何より嬉しかった。
5日たった今でも、つくづくそんな風に思っています。
MICKEYさん、ユリアヌスさん、本当にありがとうございました。
また、来年も宜しくお願いします。

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コルボ/フォーレ:レクイエムほか 『熱狂の日2007(その6)』

2007-05-07 | コンサートの感想
朝から何とも素敵なケフェレックのラヴェルを聴かせてもらったあと、MICKEYさん&ユリアヌスさんと連れ立って一路神保町へ。
神保町では某LPショップへ行き、その後ボンディでカレーを食べたのですが、そのあたりの楽しいお話は、次回させていただきます。

この日2つ目のコンサートは、前日に引き続き小菅さんの室内楽です。
ガーシュインを聴きに行かれたMICKEYさんたちとは、ここでしばしお別れし、私の単独鑑賞と相成りました。
小菅さんの相方は、フランスで活躍する若きヴァイオリニスト佐藤俊介さん。

     ↓公式HPより
     

<日時>2007年5月3日(木)
<会場>ホールD7
<曲目>
■バルトーク:狂詩曲第1番 Sz.86
■シマノフスキ:アレトゥーサの泉(「神話」作品30より)
■ファリャ:7つのスペイン民謡(コハンスキ編曲)
■ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ ト長調
<演奏>
■佐藤俊介(vl)
■小菅優(p)

開場の30分以上前から並び、見事4列目の真ん中の席をゲット。
「よしっ、ばっちりだ!」と、内心ほくそ笑んでおりました。
そして、若きヴィルテュオーソである2人がステージへ登場。
ここで思いも寄らぬ事態が・・・。

佐藤さんは、「譜面台」を立てての演奏でした。
そしてその「譜面台」+「譜面」が、ものの見事に私の視界から小菅さんをすっぽり包み隠してしまったのです。
このコンサートは、大ファンである小菅さんの弾いている姿を、何とか近くで見たくて選んだのです。
それが、こともあろうに・・・。(泣)
「Oh my Gad !」
しかし、こうなった以上、音楽に集中するぞ!

曲順変更で最初の曲になったバルトークは、佐藤さんのキャラクターに合った音楽でGood!
続くシマノフスキは、前日樫本大進さんの素晴らしい演奏を聴いたばかりでしたが、その曲と対を成す作品です。
やや線が細い気もしましたが、こちらも、まずは好演。
ファリャは、もう少し土の匂いというか、こぶしのような雰囲気が出れば、尚良かった。
メインのラヴェルは、第2楽章のスウィング感とフィナーレのスピード感が心地よかったです。

さて、このコンサートを聴き終えた私は、コルボのレクイエムを聴くために、ホールAへ急ぎました。
ホールAは5,000人収容の巨大なホールですが、木のぬくもりが感じられて、音もなかなか良いです。
昨年この会場で聴いたペーター・ノイマン率いるケルン室内合唱団の『ヴェスペレ ハ長調 K.339』は、本当にこの世のものとも思えないくらいのピュアなモーツァルトでした。
そのときの感動よ再び・・・ということで、今回はコルボに夢を託します。

席に座ってプログラムを読んでいると、MICKEYさんとユリアヌスさんが戻ってこられました。
なんでも1時間半くらいのインターバルの間に、もう一件のLPレコード店に行ってこられたそうです。
まさに神出鬼没。神業ですね。

さて、この日のレクイエムは、フルオーケストラの第3稿ではなく、楽器編成をこじんまりとさせた第2稿(1893年版)による演奏。
ヴァイオリンは、サンクトゥスにだけ登場します。
最近はこの第2稿による演奏も徐々に増えてきました。

        ↓公式HPより
        

<日時>2007年5月3日(木)
<会場>ホールA
<曲目>
■フォーレ:レクイエム 作品48
<演奏>
■アナ・キンタンシュ(S)
■ピーター・ハーヴィー(Br)
■ローザンヌ声楽アンサンブル
■シンフォニア・ヴァルソヴィア
■ミシェル・コルボ(指揮)

バリトンは前方オーケストラのすぐ横、ソプラノは後方でコーラスのすぐ前に座りました。
こんなロケーションは珍しいですね。
ユリアヌスさんが終演後こんなことを仰っていました。
「きっと、地上界(バリトン)と天上界(ソプラノ)を表わしているんですよ。」
なるほど、そのとおりかも知れません。慧眼だなあ。

さて、第1曲の「入祭唱とキリエ」が始まりました。
最初の音が出た瞬間に、その響きに魅せられたといっても過言ではありません。
オーケストラも合唱も、何て温かくて優しい音!
昨年P・ノイマンたちの作り出した音がひとことで「ピュア」だと表現するとしたら、コルボたちの音は「ウェットで豊か」。
弦楽器と人の声の音質が似ていることに驚かされます。

第3曲の「サンクトゥス」に入ると、前奏のアルペッジョを聴くだけでもう目頭が熱くなってきて、まずいことになってきました・・・。
続く第4曲でオルガンに導かれて歌いだすソプラノの何と美しいこと!
穢れのまったくない、しなやかで透き通るような声。しかも、とてもよく伸びます。
アナ・キンタンシュというリスボン生まれのソプラノだそうですが、容姿にも大変恵まれているし、きっと近い将来大ブレイクするでしょう。

第5曲のリベラ・メでは、コルボはチェロのピチカートのリズムを非常にしっかり弾かせます。しかも最後までそれを徹底するので、聴き手は鮮烈な印象を受けることになりました。そのリズムにのせてバリトンが歌う「リベラ・メ」(=私をお救い下さい)の意味深さに、私は身が震える思いがしました。
だからこそ、続くイン・パラディズムの優しさが一層胸に沁みるのです。

感動的なフォーレでした。
もうそれ以外に言葉はありません。
3日の続きは次回書きます。
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A.ケフェレック ラヴェルコンサート 『熱狂の日2007(その5)』

2007-05-06 | コンサートの感想
『音色の魔術師』

3日は、MICKEYさん・ユリアヌスさんと一緒にコンサートを聴かせていただきました。
今回は指定席ということで、当日は現地集合。
私がホールに着くと、お二人は既に来られており、初対面のユリアヌスさんとも早速ご挨拶させていただきました。
ユリアヌスさんは、語り口が丁寧で、とても誠実な方でした。

この日の最初のコンサートは、ケフェレックのオール・ラヴェルプログラム。
ケフェレックといえば、昨年の「熱狂の日」で彼女のモーツァルトを聴き、あまりの素晴らしさについ落涙してしまいました。
今回のラヴェルは、まさに彼女の十八番。
しかも、MICKEYさんの念力?で、1列目というすばらしい席を確保していただきました。
これだけ条件が揃っていれば、期待するなというほうが無理というもの。


          ↓公式HPより
          

<日時>2007年5月3日(木)
<会場>ホールB7
<曲目>
ラヴェル作曲
■ハイドンの名によるメヌエット
■古風なメヌエット
■亡き王女のためのパヴァーヌ
■鏡
<演奏>
■アンヌ・ケフェレック(p)

ケフェレックさんは定刻にステージに登場しましたが、まったくもってチャーミングな方ですね・・・。
ミーハーの私は、演奏前からすでにうっとりしております。(笑)

演奏順に変更があって、最初の曲は「ハイドンの名によるメヌエット」。
いつ聴いても美しい音!
短い曲ですが、大変魅力的に弾ききってくれました。
とくに中間部の優雅な表情が忘れられません。

少し驚いたのが、「亡き王女のためのパヴァーヌ」。
最初はつや消しのような、響きを押さえた音で開始します。
しかし響きを押さえた音ではあっても、絶対乾いた音にならないところがケフェレック流。
そして、次のフレーズに来て、ようやく艶やかな音を使い始めます。
強い音は、転調する直前の音と、最後のフレーズだけ。
あとは、よくコントロールされた美しい弱音が全体を支配していました。
こんな解釈・表現があるんですね。
CDの表現とはまったく違いました。
すっかり、やられました。

やられたといえば、最後の「鏡」。
とくに後半の3曲が絶妙の表現でした。
それにしても、この人、音のパレットをいったいいくつ持っているんだろう。
この曲でも、音色の多彩さは、ちょっと他に類をみません。
パバーヌ同様、つや消しの音色から芳醇な音まで、何の苦もなく使い分けていました。
そして、この人は決してフォルテが特別大きいわけではないのに、ダイナミックレンジが大きく感じます。
絶対的なダイナミックレンジではなく、きっと相対的なレンジが広いのでしょうね。
ひとつの音色を使ったら、その余韻を聴き手に十分意識させておいて、次の色を使う。しかも微妙に音量を変化させてくる。その相乗効果で、影をあやつるようなデリケートな表現が可能なんだと思います。

まさに天性のラヴェル弾き!
昨年のモーツァルトに続いて、今年はラヴェルの飛びっきりの名演奏をケフェレックさんは聴かせてくれました。
来年も楽しみにしていますね。

P.S
公式HPに掲載されていた上記の写真は、聴衆の盛大な拍手に応えて何度もステージに登場したあと、「アンコールにお応えしたいんだけど、時間がないんですって・・・」というような表情をするケフェレックさんでした。





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真夜中のフラメンコ 『熱狂の日2007(その4)』

2007-05-06 | コンサートの感想
凄いロシアン・トリオを聴いた後、22:45のフラメンコの開演まで時間があったので、久しぶりに静岡から帰ってきた息子を囲んで、家族4人でお鮨を食べに行きました。
有楽町で合流したのですが、ここは交通の便も良いので、こんなときはありがたいです。

社会人2年目に入った息子は、ちょっぴりたくましくなっていました。
営業の仕事はなかなか大変なようですが、「自分で頭を打って、痛い目にあって、そしてお客様に信頼していただく」、これしかありません。
仕事の進め方について、人生の先輩として少しくらい私の経験をアドヴァイスしてやることもできるわけですが、最後は自分でスタイルを身につけるしかないので、あえて細かいことは話しませんでした。
まあ、本人が何よりも元気そうだったので、まずはひと安心。
そうこうしているうちに、ふと時計をみると22時を過ぎていたので、私は3人と別れ、ひとり東京国際フォーラムへ引き返しました。

この日最後の演目は、フラメンコ。
それも、めったに聞くことの出来ない本場のフラメンコです。

          ↓公式HPより
          

<日時>2007年5月2日(水)
<会場>ホールB7
<演奏>
■アントニア・コントレラス(フラメンコ歌手)
■チャパロ・デ・マラガ(g)

ホールへ着くと、すでに会場時刻は過ぎていたのですが、リハーサルが長引いているとかで、しばしホールの前で待つことになりました。
それにしても、この時間にもかかわらず凄い人の数です。
すでに、完全にGWの風物詩になったのですねぇ。

やがてリハーサルも終わり、会場に入り開演の時を待ちます。
この公演の席は、前から3列目中央とまさに絶好のロケーション。
客席の照明が暗くなると同時にステージにスポットライトがあたり、コントレラスが登場。

歌うというよりは、お告げを伝える巫女のような感じで、コントレラスが「ああ、世間の女よ、こっちへおいで」と唄いだします。
ホールの空気が一変するような、独特の存在感のある声。
まさにカンテ!
これが、カンテなんです。
私は、鳥肌がたちました。

続くファリャの「鬼火の踊り」から、ギタリストのマラガが加わります。
調弦をしているなぁ、指ならしをしているなぁと思って、ちょっと気を抜いていると突然曲に入っていました。
このあたりの「間」が、これまた素晴らしい!
ファリャの原曲とは、また違った魅力を感じさせる音楽でしたが、これが、「スペインの血」のルーツなんでしょうね。
マラガのギターは、音そのものは蒸せ返るような熱さを感じさせながらも、見た目の表情はきわめて涼しげ。
そんな涼しげな表情で、激しいラスギャードで生きたリズムを作り、うなりをあげるアルペッジョや火が出そうな速いスケールを奏でるわけですから、聴き手はずっと興奮させられっぱなしです。
フラメンコギターが、ソロのためのギターではなく、フラメンコの踊りそしてカンテに不可欠の楽器としてのギターであることを、強く印象づけられました。

コントレラスのカンテは、それ以降もまさしく強烈!
綺麗に歌おうなんて元々考えていない分、彼女の「魂の叫び」のようなものが、より直接こちらに突き刺さってきます。
あっという間の1時間でした。
終わったのは、そろそろ日付も変わろうかという深夜0時前。
しかし、ホールをでた聴衆は、みんな興奮していました。

こんなコンサートも、ラ・フォル・ジュルネで聴けるんだ。
何とも魅力的な音楽祭です。
翌3日は、MICKEYさんとユリアヌスさんと、まる一日ご一緒させていただきましたが、もう最高に楽しい一日でした。
そのレポートは次回に・・・。


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チャイコフスキー:「偉大な芸術家の思い出に」 『熱狂の日2007(その3)』

2007-05-06 | コンサートの感想
『凄いトリオ!』

2日の夜は、ロシア3人組による「偉大な芸術家の思い出に」で始まりました。

          ↓公式HPから
          

<日時>2007年5月2日(水)
<会場>ホールB7
<曲目>
■チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲イ短調 作品50 「偉大な芸術家の思い出に」
<演奏>
■ドミトリー・マフチン(vl)
■アレクサンドル・クニャーゼフ(vc)
■ボリス・ベレゾフスキー(p)

このホールは、指定席ですが、正直あまり良いホールとは言えません。
多目的ホールだから贅沢はいえませんが、平面なので後ろに座ると非常にステージが見えにくい。
だから、このホールに限っては、何が何でも前の方に座って、奏者の息遣い・気迫を感じながら聴くのがベスト。
そうでなければ、視覚的にはあきらめて、最後方で音だけを聴く。意外なことに、一番後ろあたりの音は決して悪くないのです。

この日の私の席は、前から8列目の中央。
まずは、良い席だと思います。
すさまじい気迫と共に演奏が始まりました。
ピアノトリオときいて想像する音楽とは、異次元のスケール。
とくにクニャーゼフのチェロは、チェロ1台でこんな強烈な音が出るんだとあらためて思い知らされました。

3人の奏者から発せられる音が、とにかく濃いんです。
どうも上手くいえませんが、日本人の演奏からは、まず聴けない音!
いやはや、驚きました。
いったい何を食べて、どんな練習をしたら、こんな音が出るんだろう。

しかも、最後まで一瞬たりとも気が抜けたフレーズはなかったといっても過言ではありません。
デッドなホールの音響を突き抜けてくる、強烈なパッション。
とくに、ラストで冒頭のテーマが戻ってくるところは表現は鮮烈でした。
『慟哭』だと感じたのは私だけでしょうか。
うがった見方かもしれませんが、先日80歳で亡くなった母国の大音楽家ロストロポーヴィチさんを3人がイメージして、彼のために弾いたように思います。

終演後のスタンディングオベーションも、当然でしょう。
でも、初日から、こんな凄いコンサート聴けていいんだろうか。

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鈴木大介 アランフェス協奏曲ほか 『熱狂の日2007(その2)』

2007-05-05 | コンサートの感想
小菅優トリオのあとは、江口有香さんをソリストとするモーツァルト「トルコ風」と、鈴木大介さんをソリストとするアランフェス協奏曲。
今度はホールCの指定席ですから、順番待ちで事前に並ぶ必要がないので、精神的にも肉体的も楽です。
しかし、なんで全部指定席にしないんだろう。

         オフィシャルHPより
             ↓
          

<日時>2007年5月2日(水)
<会場>ホールC
<曲目>
■モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」
■ロドリーゴ:アランフェス協奏曲
<演奏>
■江口有香(vl)
■鈴木大介(g)
■沼尻竜典(指揮)
■トウキョウ・モーツァルトプレーヤーズ

まずモーツァルト。
冒頭のオケの響きが、弾力性をもった響きでとても心地よい。
ソロ・ヴァイオリンは最初少し硬い感じでしたが、清潔で確かな様式感をもった演奏。
第2楽章から第3楽章にかけては、表情も随分豊かになったと思います。
しかし、第3楽章に入って懼れていたことが起こってしまいました。
第1楽章からむずかっていた子供が、ついに第3楽章途中で爆発してしまったのです。
もう音楽どころではありません。
相当数の聴衆の目・耳が、その子供の方に向けられたのではないでしょうか。
「音楽ファンの裾野を広げたい。一人でも多くの人に音楽の魅力を伝えたい。」
この理念にいささかの異論もありませんが、こんな現実を目の当たりにすると、やっぱり来年の運営までには十分考えないといけないことだと痛感しました。
しかし、そんな状況にありながらも、ぶち切れることなく最後までしっかり演奏してくれた江口さんを始め演奏者の方々には、ひとこと「ありがとう」と言いたいです。

さて、後半はアランフェス協奏曲。
鈴木さんは、ギターレストを事前にギターにセットして舞台に登場。
ビックリされた方も多かったのではないでしょうか。
見栄えはともかく、姿勢という点からは足台を使うよりも望ましいといわれています。

ただ、鈴木さんの調子そのものは、残念ながらあまりよくなかったと思います。
いつもの切れ味がなかったですから・・・。
しかし、それでも、「スペインの血、スペイン情緒」といったアランフェスの魅力を、その場面場面で的確に描き出してみせるところは、やはり鈴木大介さんならではのもの。
第1楽章の中間部から最初のテーマに戻る箇所やラスト手前では、ラスゲァードを使ってユニークなリズムを生み出していたし、有名な第2楽章でも、通常親指で弾き下ろすアルペッジョを途中からラスゲァードに切り替えて、いやがうえにもスペインの香りを醸しだしていました。
また、独奏チェロとイングリッシュホルンの冴えた音色にも心打たれました。

さあ、この次はクニャーゼフのチェロでチャイコフスキーの室内楽です。
レビューは次回書きます。



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小菅優トリオ ミヨーほか 『熱狂の日2007(その1) 』

2007-05-04 | コンサートの感想
前回のブログでも書きましたが、いよいよ『ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2007』が始まりました。
お祭り大好き人間の私も、既にどっぷりと浸っております。
私が参加?(もちろん聴衆として)するのは、全部で14公演。
まだ途中ではありますが、今年も感動的な演奏に数多く出会いました。

まず、第一弾は5月2日の小菅優トリオ。
このような名前のトリオは存在しませんが、小菅ファンである私が勝手に命名しました。(笑)

          ↓公式HPより
         

<日時>2007年5月2日(水)
<会場>ホールD7
<曲目>
■シマノフスキ:ドリアードと牧神(「神話」作品30より)
■ミヨー:2つのヴァイオリンとピアノのためのソナタ
■ミヨー:ピアノ、ヴァイオリンとクラリネットのための組曲
<演奏>
■樫本大進(vl)/佐藤俊介(vl)/小菅優(p)/ニコラ・バルデル(cl)

このD7という会場は、いいですねえ。
広すぎないし、座席に傾斜がついているので、とても観やすい。
音響もこの水準であれば十分でしょう。
自由席なので毎回どうしても前列の方から埋まっていくのですが、音響的にも視覚的にも、実は前から4~5列目(少々左右に振れてもかまいません)あたりががお奨めなのです。
あっ、喋っちゃった・・・。

さて、最初の曲はシマノフスキの「ドリアードと牧神(「神話」作品30より)」。
シマノフスキはポーランドの作曲家で、他の誰とも異なる独特の色をもった作曲家です。
しかし、バイオリン協奏曲等いくつかの曲は別にして、その独特な色・雰囲気が、私にはときにしっくり来ないときがあります。
しかし、この作品は素晴らしい。
神秘的でファンタスティック。
樫本さんのヴァイオリンも実に魅力的でした。間の取り方が実にうまい。
フラジオレットがことのほか美しく、印象に残りました。

2曲目は、ミヨーの作品。
あらゆる意味で、シマノフスキとは正反対の雰囲気を持った音楽です。
第1楽章は比較的よく知られていると思いますが、第2楽章の抒情とフィナーレのエンディングが印象的でした。
そして、この曲では、樫本さんと佐藤さんのキャラクターの違いも明確で、とても面白かった。
ストレートで真摯な佐藤さんに対して、より艶やかな樫本さんといった感じでしょうか・・・。

3曲目は、同じミヨーの作品ですが、樫本・小菅・クラリネットのバルデルというキャスティング。
第1楽章のブラヴーラな感触、第2楽章の「語り」のようなやりとり、フィナーレのラグのような楽しさがよく表現されていたと思います。

全曲とおして感じたのは、小菅さんのピアノの表現力の多彩さ。
昨年「熱狂の日」で聴いたモーツァルトのピアノソナタが、いまいち乗り切れない演奏だったので少し心配していましたが、まったく杞憂でした。
小菅さんは、ソリストとしても勿論大注目のピアニストですが、コンチェルト・室内楽における素晴らしさは、また格別のものがあります。
自己主張を十分行いながらも、相方との呼吸の合わせ方が抜群なんです。
それにしても、樫本さん、佐藤さん、小菅さんの3人は年齢も近いし、まるで兄弟のような雰囲気。
「弾き手が音楽を心から楽しんでいるから、それが聴き手にもストレートに伝わってくる。」
まさに、そんな感じの演奏でした。

第一弾から、本当に楽しませてもらいました。
こんな素敵なコンサートが1500円で聴けて、本当に良いんだろうか・・・。
感謝感謝です。



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いよいよ、『ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2007』

2007-05-02 | その他
いよいよ今日から『ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2007』のコンサートが始まります。
今年は、「民族のハーモニー」と題して、世界各国の19世紀後半から20世紀にかけて作曲された作品が演奏されます。
とくに、室内楽等で普段あまり演奏されない作品も聴けることが、私にとっては最大の魅力。
また、3日は、MICKEYさんやユリアヌスさんとご一緒させていただく予定で、これまた大きな楽しみです。

今日は、もともと所用があり午後から休暇をとっておりましたので、早速いくつかのステージを聴く予定です。
また、久しぶりに息子が帰って来るので、コンサートの合間をぬって有楽町近辺で家族で晩飯を食べようと目論んでいます。
さあ、どんなことになりますことやら・・・。

ちなみに、今回私が聴く予定のコンサートは次のとおりです。


<5月2日>
■樫本大進(vl)/佐藤俊介(vl)/小菅優(p)/ニコラ・バルデル(cl)
シマノフスキ:ドリアードと牧神(「神話」作品30より)
ミヨー:2つのヴァイオリンとピアノのためのソナタ
ミヨー:ピアノ、ヴァイオリンとクラリネットのための組曲

■鈴木大介(g)/トウキョウ・モーツァルトプレーヤーズ/沼尻竜典(指揮)
ロドリーゴ:アランフェス協奏曲/他

■ドミトリー・マフチン(vl)/アレクサンドル・クニャーゼフ(vc)/ボリス・ベレゾフスキー(p)
チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲イ短調 作品50 「偉大な芸術家の思い出に」

■アントニア・コントレラス(フラメンコ歌手)/チャパロ・デ・マラガ(g)
フラメンコ・リサイタル

<5月3日>
■アンヌ・ケフェレック(p)
ラヴェル:鏡
ラヴェル:古風なメヌエット
ラヴェル:ハイドンの名によるメヌエット
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ

■佐藤俊介(vl)/小菅優(p)
シマノフスキ:アレトゥーサの泉(「神話」作品30より)
バルトーク:狂詩曲第1番 Sz.86
ファリャ:7つのスペイン民謡(コハンスキ編曲)
ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ ト長調

■アナ・キンタンシュ(S)/ピーター・ハーヴィー(Br)/ローザンヌ声楽アンサンブル/シンフォニア・ヴァルソヴィア/ミシェル・コルボ(指揮)
フォーレ:レクイエム 作品48

■ジャン=クロード・ペネティエ(p)
フォーレ:バラード 作品19
フォーレ:9つの前奏曲 作品103

<5月4日>
■アナ・キンタンシュ(S)/ピーター・ハーヴィー(Br)/ローザンヌ声楽アンサンブル/シンフォニア・ヴァルソヴィア/ミシェル・コルボ(指揮)
フォーレ:合唱曲集

<5月5日>
■工藤重典(fl)/ニコラ・バルデル(cl)/ホルン未定/河村幹子(ファゴット)/ブリジット・エンゲラー(p)
グリンカ:夜想曲「別れ」
ルビンシテイン:メロディ ヘ長調 作品3-1
リムスキー=コルサコフ:ピアノと管楽器のための五重奏曲変ロ長調

■読売日本交響楽団メンバーによる弦楽四重奏団:藤原浜雄(vl)/鈴木理恵子(vl)/鈴木康浩 (va)/毛利伯郎(vc)
グリンカ:弦楽四重奏曲ヘ長調
チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番二長調 作品11

■アラン・プラネス(p)/樫本大進(vl)/レジス・パスキエ(vl)/アントワーヌ・タムスティ(va)/ニコラ・バルデル(cl)/ホルン未定/河村幹子(ファゴット)
ヤナーチェク:コンチェルティーノ
ドヴォルザーク:三重奏曲ハ長調 作品74

■小川典子(p)
ドビュッシー:アラベスク第1番
ドビュッシー:「ベルガマスク組曲」より月の光
ドビュッシー:「前奏曲集」第1集」より沈める寺
ラヴェル:クープランの墓

■仲道郁代(p) /シンフォニア・ヴァルソヴィア/ペーテル・チャバ(指揮)
グリーグ:ピアノ協奏曲イ短調 作品16
シベリウス:トゥオネラの白鳥 作品22-2
シベリウス:悲しきワルツ 作品44

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