今日は、小林研一郎&日フィルのコンサートへ。
最初行く予定ではなかったのですが、たまたまチケットを譲って下さる方がいたので、久しぶりに地元大宮でコバケン得意のマーラーを聴くことができました。
☆第37回さいたま定期演奏会
<日時>2006年 9月 29日 (金) 午後7時開演
<場所>大宮ソニックシティ
<曲目>
■モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番ニ短調K466
■マーラー:交響曲第5番
<演奏>
■ピアノ:横山幸雄
■指 揮:小林研一郎
■管弦楽:日本フィルハーモニー管弦楽団
前半は、横山さんをソリストに迎えたモーツァルトのピアノ協奏曲第20番二短調。
横山さんは、タキシードではなくスーツ姿で登場。
第1楽章の出だしは少し硬い感じがします。なんでもない箇所でのミスタッチもありましたが、圧巻だったのはカデンツァ。
緊張感と美しさに溢れたカデンツァでした。
ところが、「凄いカデンツァだなあ」と聴き入っていた私は、カデンツァの最後の方で思わずあることに気づき、真っ青になりました。
それは、携帯電話です。
いったん電源を落としていたにもかかわらず、開演前にロビーでプロ野球のナイターの状況を知りたくて、電源を入れたままになっていたのです。
「マナーモード」にはしてたはずだけど、ヴァイブでブーブー言ったらどうしよう。ピアニシモの箇所も多いのに・・・。
祈るような気持ちで第1楽章終了を待ちました。
何とか第1楽章と第2楽章の間で、電源をオフにすることができました。
ようし、もう安心して聴けるぞ・・・。
続く第2楽章ロマンツェと第3楽章ロンドは、一層素晴らしい演奏でした。
横山さんの演奏との出会いは、随分前になりますが、中古ショップでゲットしたベートーヴェンの「テレーゼ」の入ったアルバム。
そのとき聴いて感じたのは、「何と瑞々しく響きが美しいピアニストだろう!」
今日初めて実際の演奏を聴いたのですが、印象はまったく変わりません。
落ち着いた抒情が何とも心地よかったです。
さて、休憩時にロビーに出て、立て看板をみてまたまたびっくり。
何とソニックシティホールは、携帯の電波が届かないようになっているではありませんか。
それを知っていたら、あんなにカデンツァであせることはなかったのに・・・。
おおぼけの私でした。(汗)
後半は、メインのマーラーの5番。
オーボエから音をもらってコンマスが音を出します。
うん?音が少しはずれてるぞ。
苦笑いしながらチューニングをやり直しました。
今度はばっちりです。オーケストラのメンバーの顔にも笑顔が・・・。
これは、ひょっとして、冒頭のソロを控えて緊張しているトランペットをリラックスさせるためのコンマスの作戦?
マエストロが登場し、タクトを握りました。
冒頭のトランペットソロに対して、「どうぞ」と合図をするだけの指揮者もいますが、コバケンはしっかり最初のアウフタクトの打点を示します。
やはり少し緊張感を含んだ音色です。でも、この箇所、私は朗々と完璧に吹くのもいいけど、こんな手探りの表現も好きです。
何より真実味が感じられるじゃないですか。
第1楽章が終わって、そのまま緊張感をもったまま第2楽章に入ろうとした矢先、突然
「いいぞ、世界一」という掛け声が・・・。
ホール全体が一瞬凍りつきました。
しかし、気を取り直して、第2楽章が始まりました。
「バカヤロウ」と、ぶちきれてもも仕方ない状況にもかかわらず、緊張を切らさないところがすごい!
この楽章の充実ぶりは、とりわけ素晴らしかったと思います。
私が驚いたのは、オケ全体が強奏する中でも、コバケンは弦楽器に細かく表情を指示しています。すると、かき消されるはずのフレーズがハッキリ聴こえるではありませんか。
マーラーのオーケストレーションの見事さもさることながら、マエストロの音楽作りの秘密を垣間見た気がしました。
第3楽章では、中間部の弦楽器のピチカートがたまらなく美しかった。
続くアダージェットで聴かせてくれたピアニシモの緊張感、これは何と表現したらいいんだろう。弱音の表現力ってこんなに凄かったのかと、改めて思い知らされました。
第5楽章では、楽章とおして続く長大なフーガの表現がさすがに立体的ですね。
そんな中、中間部で一瞬コラール風に響く箇所が大変印象的でした。
ラストは、もう圧倒的なクライマックスを築き、ドーシラソソドでエンディング。
楽章全体の設計が本当に見事です。
マエストロ コバケンの指揮は本当に大好きです。
どんなフレーズでも、マエストロと一緒に呼吸できるから。
まるで客席にいながら、自分でも演奏に参加しているみたいです。
うなり声も、愛すべきパフォーマンスだと思います。
「炎のコバケン」というキャッチフレーズ、半分当たっているけど、決してそれだけではありません。
むしろ、コバケンの芸術は、オペラ的というかドラマティックな描写に特徴があって、全体の造形感覚が非常に素晴らしい。
気まぐれなパッションの爆発を売りにする指揮者ではないのです。
それから、日本フィル。
とにかく熱い。「熱い」という表現は、プロのオーケストラに対して失礼かもしれませんが、それでもやっぱり熱い!
在京のオーケストラの中でも、一番ひたむきさを持ったオケではないでしょうか。
今日も、第1楽章は、少しミスもあり粗っぽいところもありました。
しかし、例の掛け声のあと、ぐんぐん集中力を増したオーケストラは、楽章を追うごとに余分なものをそぎ落として、中身のつまった充実した音楽に変貌していきます。
これは、以前私が日フィルの定期会員の時代に聴いた、マエストロ コバケンとの「復活」なんかでも、いやというほど感じさせてくれたものです。
終演後の大きな拍手に応えて、何と第5楽章のラスト30秒(本当は1~2分?)をもう一度聴かせてくれました。
いい演奏だったなあ。
最近、いいコンサートに恵まれている感じがします。
最初行く予定ではなかったのですが、たまたまチケットを譲って下さる方がいたので、久しぶりに地元大宮でコバケン得意のマーラーを聴くことができました。
☆第37回さいたま定期演奏会
<日時>2006年 9月 29日 (金) 午後7時開演
<場所>大宮ソニックシティ
<曲目>
■モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番ニ短調K466
■マーラー:交響曲第5番
<演奏>
■ピアノ:横山幸雄
■指 揮:小林研一郎
■管弦楽:日本フィルハーモニー管弦楽団
前半は、横山さんをソリストに迎えたモーツァルトのピアノ協奏曲第20番二短調。
横山さんは、タキシードではなくスーツ姿で登場。
第1楽章の出だしは少し硬い感じがします。なんでもない箇所でのミスタッチもありましたが、圧巻だったのはカデンツァ。
緊張感と美しさに溢れたカデンツァでした。
ところが、「凄いカデンツァだなあ」と聴き入っていた私は、カデンツァの最後の方で思わずあることに気づき、真っ青になりました。
それは、携帯電話です。
いったん電源を落としていたにもかかわらず、開演前にロビーでプロ野球のナイターの状況を知りたくて、電源を入れたままになっていたのです。
「マナーモード」にはしてたはずだけど、ヴァイブでブーブー言ったらどうしよう。ピアニシモの箇所も多いのに・・・。
祈るような気持ちで第1楽章終了を待ちました。
何とか第1楽章と第2楽章の間で、電源をオフにすることができました。
ようし、もう安心して聴けるぞ・・・。
続く第2楽章ロマンツェと第3楽章ロンドは、一層素晴らしい演奏でした。
横山さんの演奏との出会いは、随分前になりますが、中古ショップでゲットしたベートーヴェンの「テレーゼ」の入ったアルバム。
そのとき聴いて感じたのは、「何と瑞々しく響きが美しいピアニストだろう!」
今日初めて実際の演奏を聴いたのですが、印象はまったく変わりません。
落ち着いた抒情が何とも心地よかったです。
さて、休憩時にロビーに出て、立て看板をみてまたまたびっくり。
何とソニックシティホールは、携帯の電波が届かないようになっているではありませんか。
それを知っていたら、あんなにカデンツァであせることはなかったのに・・・。
おおぼけの私でした。(汗)
後半は、メインのマーラーの5番。
オーボエから音をもらってコンマスが音を出します。
うん?音が少しはずれてるぞ。
苦笑いしながらチューニングをやり直しました。
今度はばっちりです。オーケストラのメンバーの顔にも笑顔が・・・。
これは、ひょっとして、冒頭のソロを控えて緊張しているトランペットをリラックスさせるためのコンマスの作戦?
マエストロが登場し、タクトを握りました。
冒頭のトランペットソロに対して、「どうぞ」と合図をするだけの指揮者もいますが、コバケンはしっかり最初のアウフタクトの打点を示します。
やはり少し緊張感を含んだ音色です。でも、この箇所、私は朗々と完璧に吹くのもいいけど、こんな手探りの表現も好きです。
何より真実味が感じられるじゃないですか。
第1楽章が終わって、そのまま緊張感をもったまま第2楽章に入ろうとした矢先、突然
「いいぞ、世界一」という掛け声が・・・。
ホール全体が一瞬凍りつきました。
しかし、気を取り直して、第2楽章が始まりました。
「バカヤロウ」と、ぶちきれてもも仕方ない状況にもかかわらず、緊張を切らさないところがすごい!
この楽章の充実ぶりは、とりわけ素晴らしかったと思います。
私が驚いたのは、オケ全体が強奏する中でも、コバケンは弦楽器に細かく表情を指示しています。すると、かき消されるはずのフレーズがハッキリ聴こえるではありませんか。
マーラーのオーケストレーションの見事さもさることながら、マエストロの音楽作りの秘密を垣間見た気がしました。
第3楽章では、中間部の弦楽器のピチカートがたまらなく美しかった。
続くアダージェットで聴かせてくれたピアニシモの緊張感、これは何と表現したらいいんだろう。弱音の表現力ってこんなに凄かったのかと、改めて思い知らされました。
第5楽章では、楽章とおして続く長大なフーガの表現がさすがに立体的ですね。
そんな中、中間部で一瞬コラール風に響く箇所が大変印象的でした。
ラストは、もう圧倒的なクライマックスを築き、ドーシラソソドでエンディング。
楽章全体の設計が本当に見事です。
マエストロ コバケンの指揮は本当に大好きです。
どんなフレーズでも、マエストロと一緒に呼吸できるから。
まるで客席にいながら、自分でも演奏に参加しているみたいです。
うなり声も、愛すべきパフォーマンスだと思います。
「炎のコバケン」というキャッチフレーズ、半分当たっているけど、決してそれだけではありません。
むしろ、コバケンの芸術は、オペラ的というかドラマティックな描写に特徴があって、全体の造形感覚が非常に素晴らしい。
気まぐれなパッションの爆発を売りにする指揮者ではないのです。
それから、日本フィル。
とにかく熱い。「熱い」という表現は、プロのオーケストラに対して失礼かもしれませんが、それでもやっぱり熱い!
在京のオーケストラの中でも、一番ひたむきさを持ったオケではないでしょうか。
今日も、第1楽章は、少しミスもあり粗っぽいところもありました。
しかし、例の掛け声のあと、ぐんぐん集中力を増したオーケストラは、楽章を追うごとに余分なものをそぎ落として、中身のつまった充実した音楽に変貌していきます。
これは、以前私が日フィルの定期会員の時代に聴いた、マエストロ コバケンとの「復活」なんかでも、いやというほど感じさせてくれたものです。
終演後の大きな拍手に応えて、何と第5楽章のラスト30秒(本当は1~2分?)をもう一度聴かせてくれました。
いい演奏だったなあ。
最近、いいコンサートに恵まれている感じがします。