ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

ラザレフ/読響 ボロディン:交響曲第2番ほか

2008-06-11 | コンサートの感想
5月のマチネーの振り替えで、6月の芸劇名曲コンサートへ行ってきました。

<日時>2008年6月10日(火)午後7時開演
<会場>東京芸術劇場
<曲目>
■ドヴォルザーク : 交響詩「真昼の魔女」
■プロコフィエフ : 交響的物語「ピーターと狼」
■ボロディン : 交響曲第2番ロ短調
<演奏>
■指 揮:アレクサンドル・ラザレフ
■管弦楽:読売日本交響楽団
■語 り:伊倉一恵
 
今年の9月から日本フィルの常任指揮者になることが決定しているラザレフ。
過去、読響とのコンビでも、濃厚で劇的なチャイコフスキーを聴かせてくれたくれただけに、彼はこれからも読響の指揮台に立ってくれるのだろうか。
そんな不安を持ちながら、開演を待ちました。

冒頭のドヴォルザーク。一本芯が通った軽快さというのでしょうか、とってもいいサウンドです。
でも、ラザレフが振ると、どうしてこんなによく鳴るんだろう。
あまり演奏されない曲だけど、聴けてよかった。

2曲目は、「ピーターと狼」。
ピーター役の弦楽器が上手い。モーツァルトを想わせる優雅な主題ですが、付点のリズムに切れがあって、いかにも聡明なピーター像を感じさせてくれました。
そして、何と言っても、伊倉さんの語りが抜群。
実に表情豊かなナレーションで、潤滑油のような役割をこなしながら、ピーター組の応援団長を見事に演じきってくれました。
オケのメンバーも、演奏しながら思わず笑顔が・・・

後半は、ボロディンの2番。
いやー、まさにラザレフの魅力全開です。
この曲は、「はったりをかませ!」とは言いませんが、なんら躊躇することなく、大見得をきって演奏できるかどうかが勝負の分かれ目。
2~3年前に実演で聴いたチャイコフスキーの素晴らしさから、大いなる期待をもって聴き始めましたが、まさに予想通り!
豪快・濃厚にして、小憎らしいまでの美しいうたも聴かせます。
聴かせ上手の面目躍如。
それとラザレフの音楽作りで見逃せないのは、内声部のリズム・音型をとても大切にしていること。
だからこそ、和音は団子にならないし、音楽に弾力性が生まれるのです。
ラストで必ず客席のほうを振り向くのは、いまや彼のステージでのお約束ですが、これはパフォーマンスというよりも、「お客様、聴衆というポジションで一緒に楽しんでいただけました?」と語りかけてくれたような気がしました。
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韓国ギター演奏旅行(その3)

2008-06-05 | その他
訪韓2日目。
いよいよメインのコンサートの日です。
済州で朝食をとったあと、チャーターしたバスに乗り込み、韓国の最高峰ハルラ山(1950m)を横目に観つつ、済州島第2の町である西帰浦へ。
時間にして一時間ほどの移動でした。

西帰浦は、韓国でも有名なリゾート地。映画「シュリ」の舞台としても有名になりましたので、ご存知の方も多いと思います。
左は、宿泊した西帰浦のホテル前の風景ですが、どこか宮崎に似た雰囲気で、その開放感がなんとも魅力的。海があって、山があって、川があって、それはそれは素晴らしいところでした。



↓ホテルのロビー。とても明るく清潔な印象です。
ホテルにチェックインした後、夕方のコンサートに向けて、早速練習開始。まだロマニリョスのご機嫌は戻りません。私自身の爪(音を引き出す右手の爪です)の状態とも、微妙に感触があわないのです。
なかなか言葉で説明しにくいのですが、本当にミクロのところで、しっくりいきません。加えて、湿度の関係でしょうか、なかなか思ったような響きになってくれません。幸い、指はしっかり回ってくれているようなので、あと数時間で「馴染んで」くれるとよいのですが・・・。
あっという間に午後2時になりました。いよいよホールに向けて出発です。

この日のコンサート会場は、西帰浦女性文化センター。
約300席のホールですが、リハーサルをしてみると、とてもいい響きがします。
ロマニリョスも少しは機嫌を取り戻してくれたような気がしますが、本番は果たしてどうなんだろう。

開演のベルが鳴り、いざ本番です。
最初の曲はアンサンブルで、初日と同様「ウィーンはいつもウィーン」。
音の感触は上々。自分の音も、とてもよく聴こえます。
ただ、後半のステージで、ブローウェルの「11月のある日」という独奏曲を弾きだすと、強いライトのせいか弦が下がり、これにはさすがに参りました。
演奏に集中できなかったのが、少々残念。
しかし、この日のメインのコンチェルトが残っています。
しかも、今回私はソロを弾くことになっていました。
すぱっと、気持ちを切り替えて、さあレッツ トライ!
曲は、古典派を代表するソルの名曲「グラン=ソロ」を、私の師匠が協奏曲風にアレンジした、名づけて「グラン=ソロ コンチェルト」。
豪快かつ華麗な編曲で演奏効果は極めて高いのですが、その分、ソリスト泣かせです。
しかし、最初から最後までほとんど弾きづめだったこともあり、緊張している暇もなく、何とか弾き終わりました。
お陰さまでたくさん拍手をいただきましたが、終わると同時に、さすがにどっと疲れがでてきました。
もう、何をするのもいやー。
風呂に入って、ビール飲みたーい!

しかし、この日はもう1ラウンド(いや正確には2ラウンド)あったのです。
ホテルのロビーで行なう1時間強のコンサートが待っていたのです。
誰だ・・・。こんな鬼のようなスケジュールを考えたのは・・・。(笑)
でも、ホテル代を無料にしてもらえるという涙が出るような嬉しい条件ですから、やむを得ないですよね。

続きは次回に・・・。










コメント (6)
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エレーヌ・グリモー &パーヴォ・ヤルヴィ/フランクフルト放送交響楽団:ブルックナー交響曲第7番ほか

2008-06-04 | コンサートの感想
韓国演奏旅行の続きが、なかなか書けないまま、また昨日コンサートへ行ってしまいました。

<日時>2008年6月3日(火)19:00
<会場>サントリーホール
<曲目>
■ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番《皇帝》
(アンコール)ベートーヴェン:ピアノソナタ第30番~第1楽章
■ブルックナー :交響曲第7番(ノヴァーク版)
(アンコール)ステンハンマル:カンタータ「歌」~間奏曲

<演奏>
■ピアノ:エレーヌ・グリモー
■指 揮:パーヴォ・ヤルヴィ
■管弦楽:フランクフルト放送交響楽団


会場は、久しぶりのサントリーホールです。
席はというと、C席にもかかわらず、指揮者や奏者と同じ舞台に立っているような気分にさせてくれる大好きなLA席。
期待に胸膨らませて、開演を待ちます。
拍手に迎えられて登場したグリモーは、すらりとした容姿で、やはりチャーミング!
一瞬の間があった後、「皇帝」の変ホ長調の和音が、心地よく響きます。
オケは予想通りピリオド奏法ですが、ほんの少しヴィブラートがかかっていました。
第1楽章で時折気になったのは、和音が十分響き終わらない間に、次の和音へ移ってしまうこと。
フレーズの終わりが少々寸詰まりになってしまうので、奏者も幾分戸惑っている気がしました。しかし、すぐに微調整するところは、さすがに放送オケです。
グリモーのピアノは、雰囲気に流されることなく充実した響きが印象的でした。
一音一音も勿論美しいのですが、「フレーズを弾くと、より魅力的な響きになる」、そんな感じです。
だからこそ、ベートーヴェンやブラームスを弾いても、まったく違和感がないし、かつゴツゴツ感のない独自の魅力がでてくるのでしょう。
アンコールで聴かせてくれたピアノソナタ第30番は、その意味でもとても素晴らしかった。
高音域のきらきら光るような美しさは、まさに格別。とても幸せな気持ちにさせてくれました。

後半は、ブルックナーの7番。
コンサートでこの曲を聴くのは、ずいぶん久しぶりです。
ブルックナーもピリオド奏法?
いやいや、パーヴォ・ヤルヴィの言葉を聞いてください。
「ピリオド奏法や様式を理解するのは大切だが、その奴隷になってはいけない。
ピリオド楽器を使うこと自体ではなく、どういう音・音楽を想像するかが重要。
ベートーヴェンはベートーヴェンらしく、マーラーはマーラーらしくということ。」

ヤルヴィのコメントどおり、たっぷりとした響きで、「ああ、ブルックナーだ」と聴きながら思わず納得。
どんな和音も、高音がさきに響くことはありません。
同時に響くか、まずバスが響いて僅かに遅れて高音、というどちらかなのです。
そして、豊かだけど決して重くならないバス。
このあたりが、ブルックナーらしいと感じた原因のひとつかもしれませんね。
それから、もうひとつ特筆したいのは、魅惑の木管群。
なかでも、フルートのソロは飛び切りの美しさでした。
終演後、ヤルヴィがすぐに彼の演奏を讃えたのもよくわかります。
私も思わず「ブラーヴォ」と声をかけてしまいました。

そして、この日嬉しかったのはアンコール。
大好きなステンハンマルの間奏曲が聴けるとは、夢にも思いませんでした。
ヘンデルのアリアをどこか思い出させる、この素敵な音楽。
聴きながら私は涙が出てきました。
派手さはないけど、思い出に残るコンサートでした。
コメント (4)
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